今回のコロナウイルスのパンデミックで入国拒否、外出自粛、移動制限といった対策で、観光業、飲食業、航空、等では今まで経験したことのない需要蒸発が瞬間的に起きている。生涯経済学徒を自任している自分にとっても需要不足という現象には何回も遭遇したが、今回のような需要蒸発はおそらく経済学の中でもこれまでなかった現象だろう。
米国の新規失業保険申請件数は、21日までの1週間で328万3千件にのぼり、前週が28万2千件だったので1週間で300万人が失業したのだ。これまでの過去最大は82年10月の69万件で、リーマン危機直後でも09年3月の66万件が最高だった。米国の雇用形態は日本の非正規だから需要が蒸発すると即失業者急増となる。日本はまだ統計が出されてないが、観光業ではバスの稼働ゼロ、ホテルがら空きとなり、倒産の危機を訴えている。飲食店でも自粛が強化されれば同様だろう。
リーマン危機の時とは違い金融危機でないという安心感はあるが、倒産が増え、非正規社員が失業すれば、金融危機に発展する。先日も不動産業者から「家賃が払えない人だ出てきて、アパート経営者が資金繰りを心配し出した」と聞いた。米国政府は2兆ドルという歴史上無い対策を素早く行い、数百万の低所得者に1200ドル給付し、失業保険の延長も決めている。中小の困窮企業への融資や政府保証を決めた。英国ではジョンソン首相の英断で封鎖した飲食業への所得補償を決めている。
日本はもたもたしているが、営業自粛した観光、飲食業等には現金給付で保証し、非正規社員の雇用を確保するといったこれまでにない対策が需要蒸発には必要だ。大企業にはこれまでの制度(雇用調整給付金)で充分で、上積みする必要は無い。その根拠は賃金に配分するものまで貯め込んでいるからでフィナンシャルタイムスは「世界の企業は大きな打撃を受けているが、日本株式会社の現金の山(利益剰余金)はこの40年間で2019年末の国内総生産(GDP)の約130%の記録的な水準にまで拡大した。世界のどこを見わたしても企業がこれだけ雨の日に備えて熱心に現金を貯めたところはない」と皮肉っている。
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韓国でコロナウィルス検査キットを量産
韓国のSDバイオセンサー社では日産35万個の検査キットを量産し、目下24時間体制で100万個を目指している。既にドイツ、イラン、インド、イタリーに輸出しており、米国とは商談中とのことだ。このキットは1月に開発し、韓国政府は緊急に2週間で臨床試験を行い許可した。米国、アラブ首長国連邦、インドネシアへ優先的に供給すると同社は語っている。
日本のベンチャー企業も同様のキットを2月には開発しているけど、日本政府はどうなっているのか??