世界共通通貨ビットコインの日本取引所(両替所)Mt.Gox(マウントゴックス)が消滅して、大騒動になっている。国会でも取り上げられ、現法で責任を取らせられないかとか規制できないかとか議論されている。 日本の唯一の両替業者が2月10日ハッカーの大規模なサイバー攻撃を受け、引き出し停止を余儀なくされたという小さなニュースがあったが、まさか潰れるとは思わなかった。
世界的には依然としてビットコインは健在のなので、いわば日本の地方銀行が潰れ、預金者が推定400億円パーになったと考えられ、多くの預金者は外国人のようだ。しかし、実態がよく判らないし、何故潰れたのかも両替業者が行方知れずで判らないが、両替商が猫ばばしたかハッカーに奪取されたかいろいろおもしろおかしく取りざたされている。
通貨というのは誰でも信用して受け取り、価値がなるべく落ちないで、容易に使えるというのが基本性能だが、世界でこれを完全に満たした通貨はない。米国ドルが唯一の基軸通貨として流通しているが、その価値は変動している。米国の中央銀行がドルをばらまいてきたので信用力もイマイチ、かつては金が通貨のバックボーンであったが、量が少なく増加する経済の規模に追いつけなくなり、通貨としての役割は終わった。ビットコインはかつての金と同じような役割を演じているが現物がないというところが違う。
ビットコインが拡がった背景だが、ギリシャの金融危機で預金が半分ぐらい消滅して、国の発行する通貨の信用力が疑われ、日本の円も日銀の異次元緩和でじゃぶじゃぶと刷られ、円安となりドルと同じように価値が落ちている。中国では国内であふれている元を外国に自由に資金を移すことは禁じられている。このように国が発行する通貨に対する信用がなくなり、かつ通貨の移動を制限する中国のような国が出て来ると、ビットコインのような世界通貨が誕生する。
送金コストがほとんどないビットコインは小口の貿易決済に最適だ。米国ではそのメリット故にマネーロンダリングに使われるので規制すべきだという政府部門の関与論が出て来ているが、ドルの存在を脅かされるという恐怖があるのではないか。中国では富が外国に流れるという恐怖があるのではないか。
各国が自国の通貨の価値を守らなければ、ビットコインは今後も拡がり、拡がれば信用力が増すということになり、将来基軸通貨になる可能性もある。異次元緩和で価値が下がりつつある円はイヤだビットコインで払ってくれと他国からいわれる日が来るかもしれない。