行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

労組組織率大企業は4割へ上昇、中小は1割に減少、全体では16.1%

2024-12-24 23:18:17 | 労働
厚労省の労働組合基礎調査(2024年6月末時点)が発表された。推定組織率は16.1%(前年比0.2ポイント減)となり年々減少の歯止めが掛からない。
推定組織率は、1千人以上の企業は40.0%(前年比0.2ポイント増)となった一方で、100~999人の企業は9.9%(前年比同0.3ポイント減)、99人以下は0.7%(前年比0.1ポイント減)と、中小企業の推定組織率はさらに減少し、極めて低水準となっている。

女性の労働組合員数は350万6千人で、前年に比べ3万2千人(0.9%)の増、推定組織率(女性雇用者数に占める女性の労働組合員数の割合)は12.4%で、前年と同水準となっている。

以上のことから、労組は中小企業の組織化と毎年増え続ける女性労働者の組織化に重点対策をうつ必要が有る。連合によれば、年間約2万件にのぼる労働相談が寄せられ、その多くが労働組合のない職場で働く仲間からの相談とのことだ。組織化のきっかけは日常からある。
女性の多いパートタイム労働者についてみると組織人員は146万3千人となっており、前年に比べて5万3千人(3.8%)の増、全労働組合員数に占める割合は14.9%で、前年より0.6 ポイント上昇している。女性就労者は毎勤調査でも増えていることが判り、組織化のポテンシャルは高い。
中小企業の労働者やパート労働者は企業別に組織するより、地域で組織する方向だろう。


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実質賃金プラスなど課題は山積み、政労使は一層努力を

2024-12-06 16:55:05 | 労働

大合唱「デフレからの脱却」そして鍵は賃上げ

岸田内閣は13兆円という巨額の補正予算でデフレからの脱却を目指すとしているが、更に確かなものにするには「賃上げと物価の好循環」が必要だと強調している。公正取引委員会も賃上げが......

岸田内閣が掲げた賃上げと物価の好循環、春闘の5%越えで達成できたかに見えたが、未だ実質賃金はマイナス、石破内閣もそれを引き継ぐと意気込む。政府は11月26日、政府と経済界、労働界の代表が協議する政労使の会議を首相官邸で開き、石破茂首相は来年の春闘に向け「33年ぶりの高水準の賃上げとなった今年の勢いで、大幅な賃上げのご協力をお願いする」と要請した。
更に、2020年代に最低賃金の全国平均時給を1500円に引き上げる政権の方針については、政府が来春までに対応策をまとめるとした。

連合を始め各産別労組は労組の春闘要求案をまとめつつあり、中心となる金属労協はベースアップ(ベア)の要求額を月1万2000円以上とする要求方針案を発表した。過去最高だった24年の「1万円以上」を上回る。率にすると、傘下加盟産別では6~7%の昨年を上回る要求案を発表している。
昨年と違うのは103万円、106万円などの壁問題も、手取り賃金を増やすという国民民主党の公約が取り上げられ、実質賃金上げへのサポートとなっていることだ。
また、現国会でも取り上げられた労働分配率の低下だが、まだまだ賃上げの原資は残されていることが提起され、政労使は一層の努力が要請される。
石破首相は「賃上げの流れが雇用の7割を占める中小企業、地方で働く皆さまにも行き渡ることが重要だ」と語ってるが、極めて重い課題だ。
どこでも人手不足状態の日本経済、先ず働きたくても壁があることを解決しなくては最賃を引き上げても解決しない。

 政労使会議の開催は石破政権になって初めて。経済界から経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の小林健会頭、労働界からは連合の芳野友子会長らが出席した。
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古賀伸明元連合会長に旭日大綬章

2024-11-09 17:08:18 | 労働
秋の叙勲で、大綬章の親授式が6日、皇居・宮殿「松の間」で催され、旭日大綬章の古賀伸明元連合会長(72)と小沢鋭仁元環境相(70)に、天皇陛下が勲章を手渡された。式後、代表して古賀氏が「それぞれの分野において一層精進を重ねる決意です」とあいさつした。陛下は「長年それぞれの務めに励まれ、国や社会、人々のために尽くしてこられたことに感謝します」とねぎらわれた。とのビッグニュース。

昨日の金属労協顧問会議で、早速祝杯を挙げた。古賀さんは松下労組委員長から電機連合委員長、金属労協議長を経て、連合会長を勤め上げた。労働界では初めての旭日大綬章、ご本人は「自分への受賞ではなく、自分がたどった組織への受賞だ」と謙虚に挨拶された。

栄典制度は2003年に改正され、勲章の授与基準の一つに「労働者の働く環境の整備に寄与した者」がある。古賀さんは永年にわたりたどってきた各組織のリーダーとして努力されて来たことが評価されたと思う。心から御祝いしたい。

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ボーイングの賃上げ回答、4年間で38%、これでまとまるか

2024-11-02 21:54:48 | 労働

UAW異次元の賃上げ、4年間で25%増、初任給でも年収720万円

全米自動車労働組合(UAW)は28日、フォードに続き、クライスラーの親会社であるステランティス、30日にはGMとも労使交渉で合意に達し、9月からの1ヶ月半にわたる長期ストは終......

昨年UAWの賃上げを異次元の25%と書いたが、それをはるかに上回る38%、
全米機械労組(IAM)組合幹部は、ボーイング社の3度目の賃上げ案に対して中立の立場を保っていたが、この提案は投票したIAM第751地区組合員の64%によって拒否された。そして8週目に入る長期ストにたいし同社は4度目の提案として「賃金を38%引き上げ、承認されれば時間給労働者に1万2000ドルの契約金を支給し、退職貯蓄プランへの拠出金を増額する」内容となっている。
破格の回答だが、IAM第751地区組合員の承認投票はこれからだ。ストライキ中の組合員3万3000人に対しIAMの幹部は承認するように求めている。
ボーイング社は長期ストにより、株価は今年に入り40%下落しており今回の提案に会社の命運をかけている。
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「虎と翼」の現代版

2024-09-14 22:55:35 | 労働
朝日新聞で、元最高裁判事桜井龍子氏のインタビューが掲載されていた。桜井氏の経験そのものが現代の「虎と翼」だと以下のインタビュー記事から肯ける。
 「壁」のようなものに初めて会ったのは、大学3年生の時でしょうか。卒業後を考えた時、女性には多くの道がないと知りました。司法試験か公務員試験か、の2択でしたね。
 大学の学生課に、求人は山ほど来ているんです。でも言われました。「全部男性用です。女性求人はありません」って。
 つてをたどって民間企業の情報を集めもしました。ある銀行は、女性は短大卒の採用で「4、5年経ったらやめてください」という方針でした。そんな馬鹿な。一蹴しました。

1986年に男女雇用機会均等法が施行するまでの奮闘は大変だったのだと再認識した。桜井氏は1985年までは戦前だったとインタビューで強調している。

というわけで桜井氏は労働省に入った。当時電機連合の役員だった私の知ってる桜井氏は藤井龍子氏でいろいろな課題で労働組合と丁寧に接していただけた。1990年11月には私自身、日米構造協議の一環で労働省チームのメンバーとして、高梨晶教授や新日鐵の阿南副社長(いずれも当時)らとワシントンに乗り込み、日本の大企業の競争力の秘密は人材育成に有りと論陣を張り、米国企業よ見習えと圧力をかけた記憶がある。その労働省チームの事務局として藤井龍子課長は松原坦子局長の下でチームの使命を果たすことに力を注いでくれた。

その後、月日が流れ、2008年最高裁判事桜井龍子氏はあの藤井龍子さんと知って、今話題の「夫婦別姓」を実行していたことが判った。労働省では旧姓で通されたが、最高裁判事では旧姓が使えないというもう一つの「壁」があるのか?

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金属労協結成60周年記念式典

2024-09-06 15:27:35 | 労働
私が1994年から8年間事務局長を勤めた金属労協が60周年を迎え、ホテルニューオータニで所属する国際組織インダストリオールの海外代表も含め盛大に御祝いした。自動車、電機、機械、鉄鋼などものづくりの中心として日本経済の発展に尽くしてきた。しかし、今や中国、インド、タイ、ヴェトナムなどの発展で日本のものづくりは厳しい状況だ。
祝辞をされる来賓の芳野連合会長、芳野さんは金属労協JAMの出身

赤坂のホテルニューオータニは赤坂見附から弁慶橋を渡った処にある。
赤坂見附はかつて私が2歳の頃、母の背中で焼夷弾が降りそそぐ中、逃げ惑った場所だ。
表赤坂の実家から永田町小学校まで待避した坂(青山通り)

伯父一家はこの弁慶橋の下で水を掛け合って戦火を逃れたと母から聞いた

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中央最低賃金審議会が最低賃金の目安として時給を50円引き上げ、全国平均で1054円に

2024-07-30 15:11:33 | 労働
厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会の小委員会は24日、2024年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1054円とすることでまとまった。現在の1004円から50円の引き上げで、22年連続での増加となる。上げ幅は2023年度の43円を上回って過去最大となった。物価上昇への対応を重視したものだ。

24年の春季労使交渉の賃上げ率が連合のまとめで平均5.1%と33年ぶりの高水準となり、最低賃金も同程度の引き上げが必要と判断した。消費者物価指数(持ち家の家賃相当分を除く総合)は前年比で3%前後の伸びが続いており、物価上昇への対応も求められていた。

最低賃金は都道府県ごとに異なり、+50円の目安額をもとに各地の地方最低賃金審議会で実額を10月中に最終決定する。最低賃金は企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、去年、全国平均の時給が初めて1000円を超えて1004円となり、政府は2030年代半ばまでに1500円に引き上げることを目標に掲げている。
最低賃金が上がると即時給が上がる労働者は最近では2割ぐらいになっており、雇用者約6000万人の内120万人に影響し、この層の消費性向は高いので景気にもプラスに働く。

1054円に上がったとしても、日本の最低賃金は1ドル160円時代、海外の主要国の水準と比べると先進国の中では大きく見劣りしている。米国(カリフォルニア州)は2560円、フランス2128円、ドイツ2176円、英国1888円、韓国1520円となっている。


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実質賃金がプラスになるのはいつ頃だろうか

2024-07-04 22:53:17 | 労働
連合が3日発表した2024年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給分を合わせた平均賃上げ率は5.1%となった。前年同期よりも1.52ポイント高く、1991年以来、33年ぶりの高い水準となった。規模の小さい企業の対応も注目され、組合員が300人未満の中小企業の平均賃上げ率は、4.45%だった。

4月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比3.0%減と、市場予想(2.0%減)に反して前月の2.3%減からマイナス幅が拡大した。減少は13カ月連続。
名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は同1.0%増の28万5176円。16カ月連続のプラスだが、伸び率は前月(1.3%増)から鈍化した。

春闘の結果が実際の給料袋に反映されるのは6月ぐらいからだから、実質賃金がプラスになるのはもう少し後になるだろう。

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賃上げの焦点は最低賃金 へ

2024-04-23 18:18:39 | 労働
連合の 第4回 集計 によると 平均賃金方式で 賃金の 引き上げを 決定した 組合は 加重平均で 5.2%の 引き上げとなった。 昨年の 同時期の 賃金引き上げ 3.69% に比べると 大幅な 賃金改善となった。

 このブログで 年末より 今年の春闘は 5%以上の 賃上げ が予想されると 書いたが ほぼ その方向になっている。 いつもだと 集計の 回数が 増えると 賃上げ率が 下がるが 今年は その傾向がない。 その要因は 岸田首相が リーダーシップを取り 財界も それに乗った 結果だ。 政府が 大きな影響力を 発揮したわけだが 最低賃金 こそ その影響力を 発揮すべきだろう。

 最低賃金は 昨年 歴史的な 物価高 を受けて全国加重平均が 1004 円と 政府が目標としてきた 1000円を超えた。 岸田首相は 2030年代半ばに1500円を目指すと 表明しているが 円安もあり 欧米の 最低賃金は1700円~ 2000円程度になっている。 最低賃金の 水準も 1500円を 2030年代とは言わず 前倒しに 目標を 設定すべきだろう。

 さらに 最低賃金制度の 問題点として 何回か ブログでも取り上げた 地域格差があるということだ。  E コマース時代には 地域格差は 存在しない。アマゾンで購入すれば日本全国同一価格だ。しかも日本は狭い国土に人口が集中している。東京高尾から10分のトンネルをこえると山梨県だ。 多摩川の橋を渡ると神奈川県だ。その度に最低賃金が変わるというのはどうなのか?制度 自体を 見直す 時期になっているのではないだろうか。

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ルネサス社長の認識不足に驚く

2024-03-28 15:19:19 | 労働
今時こんなことを株主総会で公言する経営者がいるとは驚いた。
ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は26日、日本の賃上げが画一的だとして苦言を呈した。「日本企業は『グローバル』と言う割に、賃上げの議論だけはすごくローカルだ」と指摘。「何年か後には日本企業の発想が変わると期待し、ルネサスが日本を誘導することに貢献したい」とし、古い慣習を見直して国際競争力を高めるべきだと訴えた。
柴田氏は「ベースアップなど日本以外ではほぼ聞かない。海外では事業環境が軟調な中で賃上げを実施することは考えられない」と述べた。
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日本の企業は長い間、賃金引き上げについては定期昇給とベースアップで対応してきたが、欧米の企業は定期昇給というのは無く、ジョブ対応の賃金なので賃上げはジョブが変わるか、あとは全てベースアップとなる。この30年間、日本企業はほとんど定期昇給のみの対応で、G7で見ると、グラフのように他国はきちんと毎年ベースアップをしてきたので日本の労働者は企業の業績に較べ割を食らってきた。それが日本のデフレ経済脱却ができなかった原因で、本年30年ぶりで政労使呼吸あわせで遅まきながら大幅ベースアップが実現した。


賃上げが画一的という指摘もおかしい。同一労働同一賃金というのが欧米をはじめ先進国の労働組合の目標で、賃上げもそれを目標とした画一的なものが理想だ。人間が生活していくためには最低賃金も画一的に決められなければならない。ドイツ等では地域での賃金が労働協約により画一的に決められているケースも有り、毎年の賃上げも画一的だ。

日本には欧米企業とは違い、年間のボーナス制度が歴史的にあり、企業経営者は業績に応じて従業員に報いており、自動車産業では6ヶ月~7ヶ月支給されている。この部分こそ画一的で無い部分であり、欧米企業と違うところだ。

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