政府が5年滞在の技能実習制度を更に5年延長し、2025年には倍増の50万人にしたいと検討しているとの報道が日経新聞1面に掲載された。(5月30日)長労働時間、低賃金といった処遇面での問題点がこれまでも指摘されてきた。実際最近は処遇面から中国人からは嫌われていると聞いた。従ってヴェトナムやその他のアジア諸国からの実習生が増加している。
外国人が働く上で日本語が最大の難関で、学力のない単純労働者は簡単に職に就けない制度になっているが、政府はその日本語の難関を緩めても増やそうとし、日本語レベル最低基準を建設や農業分野で適用しようとしている。報道によれば、日本語能力の基準は原則、日本語能力試験の「N4」とする。「N1」~「N5」の上位から4番目で「ややゆっくりとした会話がほぼ理解できる」水準だ。同試験を運営する日本国際教育支援協会によると「300時間程度の学習で到達できる」という。建設と農業は「N4まで求めない」として、さらに日本語が苦手な人でも受け入れるとし、例えば農業では「除草剤を持ってきて」という質問に該当する写真を選択できれば採用するという。
労働安全面を軽視したあまりにも乱暴な改悪で、労働災害が頻発する恐れが強い。特に建設現場では日本語がしっかり通用しないと現場の労働者全てに労災の危険性が増す。ものが落ちてくるとかヒヤリハットを瞬間に理解し合えるか疑問だ。農業といえども最近は機械化が進み、2001年6月に開催されたILO(国際労働機関)の第89回総会は、「農業における安全及び健康に関する条約(第184号)と勧告(第192号)」を採択し、労災防止と労災保険の必要性を訴えている。写真を選択するレベルで日本語合格とは驚きだ。