フランスの経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏が書いた所得格差に関する書籍「21世紀の資本論」が22日、米インターネット小売大手アマゾンの売れ筋ランキングで1位に躍り出た。同書は、過去2世紀のデータを用い、経済全体の所得の多くを富裕層が蓄えており、既存の政策ではそれがますます拡大するだけだと論じている。前週、ピケティ氏は米ワシントンD.C.を訪問し、ジェイコブ・ルー米財務長官やバラク・オバマ大統領の経済顧問らと面会した。近年の経済学で最も重要な著作の一つと称賛する学者と、空想に過ぎないと否定する学者で論争を呼んでいる。
エコノミスト誌によると、ピケティ氏の主張で重要な点は、「資産と投資の収益率は常に経済成長率より高いため、自由市場システムは、おのずと富の集中を進めるという傾向を備えている」と指摘し、富裕層に対する資産課税と高所得層に対する80%の所得税を課す必要があると説いている。
グローバル化が進み、所得格差が途上国でも先進国でも拡大していることは各種データから明らかで、今年に入って貧困層からのそれに対する反撃が試みられている。米国のファストフード店働く労働者はほとんどがパートタイムで、連邦最低賃金7.25ドル(約736円)で週40時間フルに働いても、年間所得は1万5000ドル(約152万3550円)しか得られず、時給を15ドル(約1524円)に引き上げようとする運動はメディアの関心を集め、サービス労働組合(200万人)などの強い支持を得ながら、急速な広がりを見せている。5月15日にマクドナルドなど、ファストフード店における低賃金への抗議活動がアメリカ、アルゼンチン・香港、イタリア、ニュージーランド、日本、ドイツ、パキスタン、韓国など35カ国以上の国で「ファストフード世界同時アクション」として、抗議活動が展開された。
日本でも、すき家や和民のような居酒屋チェーンで人出不足による閉店が相次ぎ、5月15日の世界同時アクションデイに時給を1500円に増やしてという要求も出てきた。全世界で同額の時給1500円アピールはパートタイマーにもようやく陽が当たりだしたと期待したい。