行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

2018年ご愛読有り難うございました

2018-12-31 18:51:05 | Weblog
2018年はあらゆる面で激動した1年間で、ブロガーとしては書くネタの尽きない1年だった。この1年、私なりに取り上げた重要テーマを振り返ってみた。
 
ブログに登場させた人物ではトランプ大統領がトップで、このトンデモ大統領世界を引っかき回し、株価の変動率を上げ、米国の社会を分断し、米国以外の国へもそのディール外交で大きな影響を与えた。米国のヒューマニズムとか自由にして民主主義とかはどこかに行ってしまい、独裁的な政権が途上国には跋扈しだした。北朝鮮、中国といった従来からの独裁国家に加えフィリピン、ブラジル、ハンガリー、トルコなどなど、危ない国際情勢となった。来年は、専門家でも予測不能の状態で、米国人の英知を信じたいところだ。
 
米国と中国の対立は、10月4日のペンス副大統領の歴史的な「対中政策変換」演説により、かつての米ソ冷戦を思わせる局面に入った。日中間の深い経済的繋がりを考えると、今の安倍トランプポチ外交では、日本は困難な状況に追い込まれるだろう。
 
国内では地震、大雨、台風など災害がこんなに多く襲ってきたことは記憶に無い。生活の基盤であるエネルギーの分散化への提案ブログが多くの人に共感を得て、この週でも読まれている。南海トラフ大地震の対策がなされているが、何時、どのような規模か今の技術では判らないところに不安がある。
 
先端技術では、AIが話題になり、何回かブログでとりあげたが、自分の生活にはまだ及ばない。私の発音が悪いのかAIスピーカーアレクサとの会話も上手く行かないことが多く、笑いの種になっている。昨年眼科、今年歯科の医師のボランティア活動支援でラオスやベトナムに出かけたが、医療技術の発展は確実に人類の役に立っていると確信した。癌の診療でも薬と手術の発展は素晴らしく、来年はAIと結びつき更に発展すると思っている。
 
安倍政権の法案だけを先行させる強引さはひどいが、外国人労働者導入への拡大は日本の移民政策の転換で、2018年は記録に残ることになる。世論調査では依然として反対論が強く、このままでは訪日外国人労働者の融和は難しい。先進ドイツの例をブログでとりあげたが、共生社会をつくる知恵が必要だ。
 
私事であるが、103歳の母がこの春無くなった。大正、昭和、平成を生き抜き、100歳の時に簡単な自分史を編纂したが、関東大震災、2.26事件(宮内庁への通勤途上、三宅坂で反乱兵に遮られた)、赤坂の自宅大空襲(私をおぶって焼夷弾の中逃げ惑った)、戦後の食糧難、米軍横田基地騒音対策など多くの困難に立ち向かった。強い大和撫子だった。
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ついに、いずもの空母化、疑問だらけ?

2018-12-29 17:48:28 | 政治
 
やはり「いずも」の狙いは空母だった

突然政府が護衛艦「いずも」を空母に改造するという構想が出てきた。2年前、このブログで巨大な護衛艦の出現は国際常識から見れば空母だと以下のように指摘したが、国会ではこの間何の議論もな......
 

中期防衛力整備計画で、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型護衛艦を空母化し、米国製ステルス戦闘機F-35BライトニングIIを離発着させることがついに明らかになった。護衛艦→ヘリコプター搭載護衛艦→戦闘機離発着空母となし崩しに、国会でのしっかりした議論も無く国民が注目すること無く、軍拡が進行している悪しき例だ。日本は、憲法上「専守防衛」を安全保障の基本方針としてきた。防衛型空母というのはこれまで聞いたことは無い。ヘリ空母の役割は日本に侵入してきた潜水艦の捕捉にあったが、戦闘機が発着するとなるとアジア諸国への充分な説明が必要だ。

第2次世界大戦の時の巨大戦艦「大和」が空爆により悲劇的な最後を遂げたことは映画やドラマで何回も見てきた。いずもが大和に重なって見える。対戦艦ミサイルや無人航空機の空爆には空母は弱いからだ。空母を守るために多くのイージス艦が必要になり、費用がどのくらい必要なのか見当もつかない。こうしたことは国会で明らかにしてもらいたい。いずれにせよ専守防衛にとって最も効率の良い軍備はどうなのかも国会で国民に判りやすい議論が必要だ。

沖縄県民の反対を押し切り辺野古での強行埋め立てが始まり、基地を拡張しているが、外国から見ると何故だという疑問が起こっている。その中で気掛かりなのはプーチンが「日本は米国の言いなりになっている」と言ってることだ。周囲にいくらでも基地や空港があるのに辺野古を強行していることは米国の圧力に屈したと見ている。今回の空母問題にしても垂直離発着のF-35Bという高価な戦闘機を追加購入せよという米国の圧力が背景にあるのでは無いかと疑問が湧いてくる。

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ゴーン事件と司法制度

2018-12-27 22:07:55 | 経済
ゴーン元CEOとケリー元CEOの逮捕で、拘留期間の長さや、拘置処遇のあり方で、出身国のマスコミ等から人権侵害だとか日本の制度はおかしいといった不協和音が聞こえいる。特に米国人のケリー元CEOについては異例と言うべき保釈を条件を付けながら地裁は認めた。しかも入院先の病院でパソコンまで認めている。もう彼は世界中の誰とでも自由にやり取りができる。ゴーン元CEO再逮捕の焦点となっているサウジの16億円販促費支払先とも裁判対策が可能となった。
 
以上のことは素人の私でさえ、推測ができることで、そうしたことを全て承知で保釈したのには、米政府の働きかけがあったと考えざるを得ない。明治時代の不平等条約下、治外法権問題を想起させる。日本の弁護士でも「世界では逮捕後の身体拘束期間は1-5日の国が多い。異常に長い取り調べのために長期拘留を許すのは日本独特だ」と日経で秋田弁護士が語っている。しかし、最近起きた自動車業界の事件でドイツのフォルクスワーゲン・アウディ部門スタッドラーCEOは不正燃費事件で5か月拘留され、取り調べを受けた。この間、保釈は認められなかった。この時は今回のように、ドイツの制度はおかしい等と言う議論はなかった。ドイツの司法制度下で行われたのに、
 
日本の司法制度は外国の圧力でゆがめられることは、独立国家として許されない。
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今月のワイン クリスマスはカバ

2018-12-25 22:12:27 | ワイン

クリスマスは骨付きチキンのローストなのでカバのフレシネ・ロゼ(この時期特売で1000円以下で買える)で乾杯!赤ワインはちょっと気張ってボルドーにしたが、普段飲みのローヌIGTレオン・パルディカル・コリン(グルナッシュ、シラー)の方が口に合う。

今年1年通じて、我が家のハウスワインはローヌのコリンとなった。白はシャルドネ、ヴィオニエの辛口で赤と白2本で1300円の値段をキープしてくれてる。昨年までの家飲みの基準はオージーワイン、イエローテイルだったがシャトーヌフパフ産地のIGTレオン・パルディカル・コリンに替わった。

今年はフランスワインの攻勢が強く、1000円以下で買えるラングドックやプロバンスのIGT赤ワインは素晴らしい。来年2月からEUとのEPA協定が発効するとワイン関税はゼロ、更に安くなり、イタリアのキャンティ等も1000円以下で買える銘柄が続出し、家飲みワインに加わることになる。チリワインは白のワンコインで買えるシャルドネがコストパフォーマンスが良いので、これに加わることになるだろう。

ダイレクトメールでシャンパンも5本まとめ買いで2000円で買える案内が来た。来年はワイン愛好家にとって素晴らしい年になりそうだ。

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際立つマック カサノバ社長とゴーンCEOの違い

2018-12-23 18:01:43 | 経済
 
日本マックドナルドのサラ・カサノバ社長の日本的経営

テレビで日本マックドナルドのサラ・カサノバ社長のインタビューを見て、感動した。中国工場での不衛生なチキンナゲット生産過程がネットに流され、日本ではマックの商品に異物が混入してたりし......
 

マクドナルドは36カ月連続成長、過去最高益更新という未踏の領域に入っている。最近の分析だと、カサノバ社長の強烈なリーダーシップより優秀な人材に任せると言った大きな袋に包み込むような手法が評価されている。原点は徹底的な現場主義で、マーケッティングの基本をひたすら走っているようだ。

話題のゴーン元CEOはその強烈なリーダーシップにより、日産を立て直したが、やり方はコストカットによるリストラで、有無を言わせぬところがあった。それがやがて神のような存在となり、他の役員や従業員には口をはさむ余地もなく、企業を私物化してしまった。販促費と称して16億円もサウジの一代理店に払うなど信じられないし、その費用はサウジでの利益で回収されたのだろうか?

マックのカサノバ社長とは正反対の手法で、どちらが正しかったかは明白だ。

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大相撲、付け人制度を廃止すべし

2018-12-21 22:45:02 | スポーツ
日本相撲協会は貴ノ岩が付き人に暴力を振るった事件を受けて、関取を対象に「付け人は関取の小間使いではない」、「互いに感謝の気持ちをもって接する」ことを認識させる特別研修をしたが、付け人は当に小間使いでは無いか?貴の岩の引退は誠に残念だが、暴力の被害者が弱者に暴力をふるった背景には旧態依然とした大相撲の組織にも問題がある。被害者だった貴の岩は精神的なダメージに対するリハビリはキチンと受けたのだろか?事件後、貴の岩はかくされたのか隠れていたのか私達には不明であった。
 
対称的に日大による悪質タックルで被害にあった関学大QBの奥野耕世選手、その後はオープンにされ、日大の責任が追及され、奥野選手の症状も、回復も伝わってきた。そしてアメリカンフットボールの大学日本一を決める「甲子園ボール」が2018年12月16日、阪神甲子園球場で行われ、関西学院大学が2年ぶり29回目の優勝を飾った。しかも関学大QBの奥野耕世選手が活躍し、MVPに選出された。
 
テニスでも野球でも一流選手に付け人などいない。トレーナーやマネージャーとチームを組んでいる。同じ相撲取りを付け人にするなど親分子分の関係で、付け人の相撲稽古や研究に悪影響を来す。自分の身の周りのことは自分でするのが人間としての関取だ。20代で何人も付け人を付ければマネージもできないから往々にして小間使いとして扱う。この際相撲協会は付け人制度を見直すべきだ。横綱など必要なら同じ力士からでなく、キチンと賃金を払いその道のプロを雇い、チームを創ったらどうだろう。
 
かつて、PL学園でレギュラーに下級生を付け人にしたら、下級生が練習する時間が少なくなり、戦力が落ちたという事例があった。結果、付け人制を取らない大阪桐蔭の台頭を許した。
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女性の地位が低下してる社会

2018-12-19 21:29:51 | 生活
「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げて5年の安倍政権、実際は女性の地位は、輝くどころか錆びついている。「世界経済フォーラム」が18日、2018年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった149か国中、110位だった。前年から4ランクアップしたが、先進7か国(G7)では最下位。政治、経済分野では、依然として女性の進出が進んでいないと報道された。

今年、象徴的な出来事は医学部入試における女子受験生の差別問題で、こんなことが人間の健康を預かる最高学府で続けられていたことが明らかにされ、世間を唖然とさせた。その理由が出産に絡んでいることが何ともやりきれないことであった。(大学側は女子の方がコミュニケーション能力があるからなどと、訳の分からないことを記者会見で言っている。)
 
世界経済フォーラムの男女格差報告は、各国の女性の地位を経済、教育、健康、政治の4分野で分析、数値化するもの。首位は10年連続でアイスランド。次いでノルウェー、スウェーデン、フィンランドと北欧諸国が並んだ。G7ではフランスがトップで12位。米国は5番目の51位で日本は最下位。G20に範囲を広げても日本より低かったのは韓国、トルコ、サウジアラビアの3か国だけだった。

報告書によると、日本は女性の議員や閣僚の少なさから政治分野(125位)が低評価、熊本市議会で緒方議員が7か月の赤ん坊を議場に連れてきたところ、同僚の男性議員が追い出した事件は、ニュージーランドの首相が産休明けに赤ん坊を抱いて登院したニュースと対称的で、レベルの低さが際立った。経済分野(117位)ではボードに入っている女性役員の活躍はめざましいが、世界レベルでは幹部社員の少なさで順位が低い。「依然として男女平等が進んでいない国の一つだ」と指摘され残念だ。
その主因は出産、育児における女性の負担が日本は際だって大きいことで、これが解決されない限り、女性の社会的地位向上は永久に不可能だ。
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都民の税金収奪に加担した国会議員

2018-12-17 18:47:48 | 政治
これまで都民の税金を収奪し、地方にばらまいていたが、2019年度はそれが加速され、その額は9000億円に達すると予想され、小池知事は14日に記者会見で反発した。与党税制委員会の言い分は都債の発行が減額されてるから都の財政は余裕があるという理屈だ。つまり借金を減らしたのだから都からその分収奪して地方に回しても大丈夫だろうという屁理屈だ。
 
400万も人口を抱える、23区以外の都下三多摩地区は工場団地はたくさんあるが、インフラの整備もままならない。例えば国内空港、人口70万足らずの島根県には2つも空港があるが,三多摩地区にはゼロ、羽田空港までの高速も無く、都内を経由しなければならない。多摩川べりに高速道路が無いこと自体不思議だ。都の財政は豊かなのではない。これまでやるべきことをやってないだけだ。
 
人数だけは多いがボーとしてる都民選出の国会議員のおおいこと、今回の都民の税金収奪に加担した国会議員
2区 辻清人(自由民主党)3区 石原宏高(自由民主党)4区 平将明(自由民主党)5区 若宮健嗣(自由民主党) 8区 石原伸晃(自由民主党)9区 菅原一秀(自由民主党)10区鈴木隼人(自由民主党)11区下村博文(自由民主党)12区太田昭宏(公明党)13区 鴨下一郎(自由民主党)14区 松島みどり(自由民主党)15区 秋元司(自由民主党)16区大西英男(自由民主党)17区平沢勝栄(自由民主党)19区松本洋平(自由民主党)20区 木原誠二(自由民主党)22区伊藤達也(自由民主党)23区小倉將信(自由民主党)24区萩生田光一(自由民主党)25区井上信治(自由民主党)
比例代表選出議員 自由民主党 山田美樹(東京1区)越智隆雄(東京6区)松本文明(東京7区)小田原潔(東京21区)安藤高夫、高木啓
公明党 高木陽介、高木美智代
参議院議員
2019年改選 丸川珠代(自由民主党)山口那津男(公明党)武見敬三(自由民主党)
2022年改選 中川雅治(自由民主党)竹谷とし子(公明党)朝日健太郎(自由民主党)
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2018年世界で最も住みやすい都市、大阪3位、東京8位

2018-12-15 18:11:32 | 生活

英エコノミスト誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」がまとめた2018年度版「世界で最も住みやすい都市」ランキング。EIUの本調査は世界140都市を対象に行われ、安全性、医療、文化・環境、教育、インフラの5項目を評価し総合的な点数でランク付けをおこなったもの。上位10カ国と下位10カ国に選出された「住みやすさランキング・ベスト&ワースト都市」で、ワースト都市はアフリカ、南アジアに限定されている。
ベストテンは以下のとおりで、大阪と東京が入っている。この中で私が行ってない都市はアデレートだけで、ジュネーブが入ってないのが唯一疑問だが、概ね賛成できる内容だ。内訳で、文化・環境の点が判らないので推測だが、ウィーン、メルボルン、シドニー、カルガリーは医療、教育、インフラで満点を取っており、その差は文化が影響してるのだろう。大阪と東京の差はインフラの差で、京都が入っていないのはやはり交通関連のインフラの差ではないか。憧れのパリ、ロンドン、ニューヨークはベストテン入りにならず、安全性の面で劣ったと思われる。
1位:ウィーン(オーストリア)/総合点: 99.1点,医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 100
2位:メルボルン(オーストラリア)/総合点: 98.4点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 100.0
3位:大阪(日本)/総合点: 97.7点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 96.4
4位:カルガリー(カナダ)/総合点: 97.5点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 100.0
5位:シドニー(オーストラリア)/総合点: 97.4点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 100.0
6位:バンクーバー(カナダ)/総合点: 97.3点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 92.9
7位:トロント(カナダ)/総合点: 97.2点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 89.3
8位:東京(日本)/総合点: 97.2点、医療: 100.0 | 教育: 100.0 | インフラ: 92.9
9位:コペンハーゲン(デンマーク)/総合点:96.8点、医療: 95.8 | 教育: 100.0 | インフラ: 100.0
10位:アデレード(オーストラリア)/総合点: 96.6点、医療: 100.0 |教育: 100.0 | インフラ: 96.4

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「産業革新投資機構」の挫折は役人根性が主因

2018-12-13 18:50:35 | 経済
官民ファンドの1つ、「産業革新投資機構」(JIC)、トップの高額報酬に絡み、所管する経済産業省との間で内紛が表面化。両者の確執は解消しそうになく、産業革新革新機構では田中正明社長をはじめ、民間出身の取締役全員が辞任する見込みだ。という報道だが、本質は高額報酬でなく、事業のやり方で齟齬を来したという理解が正しい。
 
「産業革新投資機構」の前身2009年に設立された産業革新機構は、2016年度末までに114件の支援を手がけ、1兆2483億円の利益を上げた。ただ、その利益は、半導体大手のルネサスエレクトロニクスの株式の含み益が多くを占めるとみられる。他方、当初のもくろみだったベンチャー投資では、多くの案件で収益の回収に苦しんでる。そこで、世界で活躍する強力な助っ人をスカウトして革新機構の間に「投資」を入れたのがみそだった。
 
「産業革新投資機構」は民間ファンドだけではできないリスクテイク機能を果たすべく、民間とともに政府からも出資し、中長期のリスクマネー、すなわちエクイティー投資の出し手となり、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)バイオなど革新的な分野に投資して新規事業を創造したり、「ユニコーン」と呼ばれる企業価値の高い非上場企業にも資金を供給することが目的だ。米国経験の長い田中社長を招き、シリコンバレーでの分析から事業内容毎に子ファンドを設け、即効性と自由度を持たせるやり方を採るもくろみだった。取締には各分野の一騎当千の専門家を集めた。田中社長は記者会見で、報酬は1円でも結構だ。子ファンドを設けるやり方に経産省の横やりが入った以上事業は不可能と辞任の弁。
 
経産省は不透明性が問題と指摘した子ファンドの問題、大株主だから全てに認可を求めたいという役人根性が災いした。前身の「産業革新機構」のように傾き掛けた企業を日本にとって潰せないとして、ルネサスを救済した役割ぐらいは従来の経産省がふさわしかったが、ベンチャー投資で苦戦したので「産業革新投資機構」に作り替えたわけだ。しかし日本の官の歴史的な行動からすると「ユニコーン」を生み出すことは不可能だ。
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