突然政府が護衛艦「いずも」を空母に改造するという構想が出てきた。2年前、このブログで巨大な護衛艦の出現は国際常識から見れば空母だと以下のように指摘したが、国会ではこの間何の議論もなかった。北朝鮮危機を利用してこの際、空母化しようという意図が見え見えだ。集団的自衛権合憲の次はこれまで専守防衛には空母は必要ないとしてきた解釈を変更しようとするのか。戦前、日本海軍が武蔵、大和という巨艦を建造し、何の役にも立たなかったことを思い出す。かつて日本ハリネズミ論で専守防衛を唱えたが、ミサイル防御を中心にもう一度日本がハリネズミになる策を考えるべきだ。
2015-03-27 のブログ「1200億円の護衛艦?空母?いずもが進水」
海上自衛隊では史上最大の護衛艦「いずも」が3月25日、就役した。「いずも」は全長248m。空母のように艦首から艦尾まで続く「全通甲板」を持つヘリコプター搭載型の護衛艦で、5カ所のヘリポートを持っている。潜水艦を探知する哨戒ヘリコプターなどを9機運用でき、陸自が2015年度から導入する新型輸送機「オスプレイ」も着艦可能と報道された。海上自衛隊は「探知が難しくなっている中国潜水艦への対応能力を高めた」と説明している。
いずもは旧日本海軍の空母「翔鶴」「瑞鶴」とほぼ同じ大きさがあり、国際的な権威があるジェーン海軍年鑑では「ヘリ空母」に分類され、英語ではAircraft Carrierであるが、いずもは護衛艦(戦艦とは言わない)Escourt shipと海上自衛隊は言う。ここでも世界の常識では空母だが、海自の分類では護衛艦だと苦しい。
近々配備する最新のステルスF35Bなど垂直発着できる戦闘機の搭載も可能であり、いずもの運用についてはもっと国会できちんと議論をする必要がある。いずもの就役は中国での空母の運用や集団的自衛権合憲解釈にあまりにもタイミングが合いすぎて軍拡への恐れが強い。戦後70年、大和や武蔵と同じくらいの巨大艦出現が歴史を繰り返すことにつながらないことを念じる。
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