久々に観た能は(清経)と(梅枝)の二つ。
清経のあらすじは「平家一門が西国での源氏との戦いに苦戦する頃、都に残る平清経の妻のもとに、家臣の粟津三郎が清経の形見の黒髪を持って訃報を伝えに現れます。
悲嘆に暮れる妻の夢枕に清経の霊が現れ、平家一門が源氏に追われて西国に逃れ、九州での戦にも敗れ、宇佐八幡の神にも見放されて、前途を儚んで自害をした経緯を語り聞かせます。
そして死後に修羅道に落ちた有り様を見せ、やがて死の間際に唱えた念仏の功徳により、成仏したことを告げるのでした」
というものです。なんてことない話です。が、当時の男の美意識がそこにはありまして、清経が雑兵の手にかかるよりはと、船から身を投げて溺死という名の自害する前にしたことが現在の私には笑えます。(都に残された妻は自分勝手な夫に「身を投げて亡くなったですって?せめて討たれたなら。又は病で亡くなったなら諦めもするが、勝てないと嘆いて自ら身を投げるとは~~。私との約束は嘘でしたか。呆れて恨む気にもなれないわっ」と恨み言を述べるんですが、これもうなずける。)
そんな妻の夢枕に清経は派手派手な衣裳で現れまして語る訳です。「敵が攻めてくると聞き、取る物も取りあえず夜に船に乗り豊前の国に着いた。宇佐八幡に参詣し、棒ものをして祈ったが託宣なく見放されてダメだった。我等一門は気を落し、そこへ長門の国まで敵が迫ったと聞き、またどこへいくともなく船に乗った。秋空の月を見ているうちに、いつまで船で漂えばいいのだろうと思い、横笛を吹き鳴らし、今様を謡って朗詠した。西に傾く月を見て、私も連れていけと念仏を唱え船より身を投げ修羅道に落ちたのだ」で、ここだけ聞くと「もののあわれかな」とも思うのですが、「でも最後に念仏を唱えたおかげで、僕、成仏出来たんだよね」と告げ清経は消えていきます。そんなんありか!残された私はどうなるの?ときっと妻は思ったと思うのね。でも能の舞台はここで終るんです。日本の昔話はそういうものだからです。
もし目覚めた妻があなたなら、まず始めに何をすると思いますか?私なら取りあえず、自分の美意識に死んだ夫の形見の髪に八つ当たりします。で、夫のことはきっぱり忘れて今後の対策に入りますよ。
清経のあらすじは「平家一門が西国での源氏との戦いに苦戦する頃、都に残る平清経の妻のもとに、家臣の粟津三郎が清経の形見の黒髪を持って訃報を伝えに現れます。
悲嘆に暮れる妻の夢枕に清経の霊が現れ、平家一門が源氏に追われて西国に逃れ、九州での戦にも敗れ、宇佐八幡の神にも見放されて、前途を儚んで自害をした経緯を語り聞かせます。
そして死後に修羅道に落ちた有り様を見せ、やがて死の間際に唱えた念仏の功徳により、成仏したことを告げるのでした」
というものです。なんてことない話です。が、当時の男の美意識がそこにはありまして、清経が雑兵の手にかかるよりはと、船から身を投げて溺死という名の自害する前にしたことが現在の私には笑えます。(都に残された妻は自分勝手な夫に「身を投げて亡くなったですって?せめて討たれたなら。又は病で亡くなったなら諦めもするが、勝てないと嘆いて自ら身を投げるとは~~。私との約束は嘘でしたか。呆れて恨む気にもなれないわっ」と恨み言を述べるんですが、これもうなずける。)
そんな妻の夢枕に清経は派手派手な衣裳で現れまして語る訳です。「敵が攻めてくると聞き、取る物も取りあえず夜に船に乗り豊前の国に着いた。宇佐八幡に参詣し、棒ものをして祈ったが託宣なく見放されてダメだった。我等一門は気を落し、そこへ長門の国まで敵が迫ったと聞き、またどこへいくともなく船に乗った。秋空の月を見ているうちに、いつまで船で漂えばいいのだろうと思い、横笛を吹き鳴らし、今様を謡って朗詠した。西に傾く月を見て、私も連れていけと念仏を唱え船より身を投げ修羅道に落ちたのだ」で、ここだけ聞くと「もののあわれかな」とも思うのですが、「でも最後に念仏を唱えたおかげで、僕、成仏出来たんだよね」と告げ清経は消えていきます。そんなんありか!残された私はどうなるの?ときっと妻は思ったと思うのね。でも能の舞台はここで終るんです。日本の昔話はそういうものだからです。
もし目覚めた妻があなたなら、まず始めに何をすると思いますか?私なら取りあえず、自分の美意識に死んだ夫の形見の髪に八つ当たりします。で、夫のことはきっぱり忘れて今後の対策に入りますよ。