あるBOX(改)

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思い出のKO:山岡正規vsサンチャゴ・カバジェロ

2002年02月18日 | ボクシング
山岡正規vsサンチャゴ・カバジェロ

1991年8月10日 後楽園ホール 

バンタム級10回戦

山岡は日本王者としては防衛ゼロなのだが、それが意外に思えるほど
国内トップを張っていたイメージがある。

ホープとして台頭後 岡部繁と引き分け、尾崎恵一に判定勝ち、宮城盛作に
TKO勝ちで王座奪取。
そして今回取り上げる南米の技巧派サンチャゴ・カバジェロ戦のインパクトが
強いせいだろう。

ベネズエラ人の元世界フライ級ランカー、カバジェロ。
実際は協栄に身を置く輸入ボクサーだが、同時期に日本で試合していたミゲル・
アンヘル・ゴンサレスに比べれば峠を越したボクサーで将来性は低く、技巧で
日本選手の壁となる存在であった。

とはいえ、岡部と引き分けたばかりの山岡には荷が重いかとも思われたが、
いやいや山岡の肝は座っていた。

1Rから両腕を立てて大きく上げる独特のガードで前進。
カバジェロにプレッシャーを掛ける。
身長リーチに恵まれない訳では無いのだが、足腰が強くて馬力がある山岡は
ファイターに徹している。

身体が堅い為、ウィービング・ボビングこそ出来ないが、堅いガードとタフネスで
それを補っている。

カバジェロも左右に動いて迎え撃ち、中南米ボクサーの上手みを見せる。
やはり左ジャブ・フック・アッパーは多彩だ。

しかし山岡は良く手が出る。よく あんなに高く上げたガードからスムーズに
出るなぁと感心する程。左レバーも重そうだ。

カバジェロも山岡の圧力を持て余している。
5Rあたりから、真っ向からの迎え撃ちも辞さなかったベネスエラーノが、
あからさまに足を使い出した。

鼻血も流れ、顔が腫れ始めた山岡だが、上下の打ち分けでカバジェロをロープに詰める。

山岡はハートが強い。
多少打たれてもガンガン反撃して相手を黙らせてしまう。

6Rの終盤にはボディアッパーで、カバジェロのカフェオレ色の身体がズルズルと
ロープに後退。ここぞと連打する山岡。
カバジェロ、ダウン。

ゴングに救われたカバジェロだが、消耗は激しく次の第7Rそうそうに山岡の連打に
捕まってしまう。
左フックで2度目のダウン(イヤ倒れ?)すると同時にタオルが投入されて試合は終わった。

見事なラテンアメリカン狩りを見せてくれた山岡に、当時のファンは中南米コンプレックスを
癒して貰った気がしたものだ。

山岡は この後、前述の尾崎戦(実質日本タイトルのような試合だった)を経て国内王座を奪取。
グレート金山戦のKO負け(これは当時番狂わせとも言われた)の後 ブランクを作ったものの
一階級上げて葛西裕一のJフェザータイトルに挑戦。

これまた熱戦(葛西も山岡の圧力を持て余し、連打でグラつかされていた)を繰り広げた。

残念ながら葛西戦の敗戦で「世界」の可能性が無くなってしまい、それを理由にか引退と
なってしまったが、葛西返上後の同階級レベルダウンを防げるのは山岡だと思っていた私は、
大変残念に思ったものです。

とにかく、尾崎戦から最後の葛西戦まで、全てが好ファイト。熱戦でした。

どの試合も全力で戦う山岡正規は、素晴らしい日本王者だったと思う次第です。


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