KAMIKAZE興行観戦記④
2008年5月19日に行われたWBA世界ライト級タイトルマッチ興行。
再度思い出しながらUP中。
ここらでドン・キングさんが登場。
やっぱ目立つな。大柄だし、あの独特なヘアスタイルだし。
リングサイドでJ小泉氏と握手されておる。
取材陣や一般人から、カメラでパシャパシャ撮られておる。
大きな声で話しながら移動。WBA立会人も帯同。タキシ-ドの男性も居るが、外人リングアナも連れて来てるのか?
「ファハハハ、ドン・キングTVドットコム!」と高笑いが聞こえる。
ははぁ、ネットTVで、この興行を流してるんだな。
「KAMIKAZE」や「キモノガール」は、あっちで視聴している人間向けか・・・。
プログラム的には、セミが早く終わったために休憩中。
リングの広さを測定し、関係者がリングにあがり、さて、いよいよメインイベントだ。
「大変長らくお待たせしました」と
お馴染みの冨樫リングアナがメインイベント開始を告げる。
ドンキングお抱えのパナメーニョ・リングアナも、スペイン語と英語の両方で選手を紹介する。
なんか、得した気分だ。特にエスパニョール・ヴァージョン。
佑介を「ジュースケ」と言ってしまったのは御愛嬌か。
(Reyesは、レイエスじゃなくて「レイジェス」だもんねぇ・・・・)
場内が暗転し、レーザー光線が飛び交い、たいまつ状の炎が上がる。
生で見たら、けっこう迫力ある炎だった。小堀応援団の幟に燃え移るんじゃないかと心配なくらい・・・。
「ドンッ!」と天井で花火が散った。
パナマ人のリングアナが「ビクッ」と驚き、顔に振ってきたススを拭った。
なかなか派手な演出だ、これも萩森プロデューサーの嗜好か?
ゆっくりと時間を掛けて挑戦者が登場。ガウンのフードを目深に被っての入場。
リングに上がった小堀は、なんか風格がある。
そしてアルファロ。
リングアナが「ニカラグア、マナグア」と紹介するから、あの貴公子の事を思い出してドキドキしたじゃねぇか。
アルファロは「レオン出身」じゃなかったのかよ。
駐日ニカラグア大使呼ぶならアルゲリョさんも来日させてよ。
そんな事を考えていたら、王者が精悍な姿を表わした。
端正な顔だ。褐色の肌が、また精悍さを際立たせる。
国歌が場内に流れる。
起立して、ニカラグアの国歌が聞けるなんて、感無量だ。(←オマエはどっちの応援してるんだと・・・)
国旗の真ん中も、ピラミッドみたいなのがあるのな。
精悍な王者と、色白の挑戦者。
アルゲリョvsロイヤル小林が頭に浮かぶ。
評価の定まらない新王者に挑むのは、日本人挑戦者の常だが。
それが吉とでる時もある。
挑んだ王者が、あとから考えたら「そりゃ勝てね~よ」ってな名王者に育つ事もある。
小堀は今回の挑戦をギャンブルに例えてるが
ファンの生観戦も、ある意味バクチです。
凡戦か、名勝負か、惨敗か・・・開けて見なけりゃ分からない。
WBA世界ライト級タイトル。
あのロベルト・デュランが持っていた王座です。
IBFやWBOが出来て、スーパー王者だレギュラー王者だと、昔と価値は違うけれど。
やっぱライト級タイトルです。
そして
前哨戦で拙戦やってても、挑戦試合で絶好調だったりするのが日本人挑戦者です。
階級上げて不安視されてても、なんとか持ってしまう事があるのも日本人挑戦者。
まぁ、8-2の割合で惨敗している気もするが。
試合は、あの通りです。
1Rから小堀が手を出して、王者は「こいつパンチあるな」って顔しました。したように見えました。
アルファロの振りぬくアッパーの間隙をぬって小堀の左フック・右ストレートが当りました。
(しかし、あのアッパーを顔前で振られたら、普通は怖いだろうに)
王者は初回からグラつきました。
チャンスの連打を仕掛けた挑戦者は、一旦は落ち着いた後、初回終了間際にもタイミング・ドンピシャの左フックを当てました。(深すぎたけど)
2回は相手が出てきて押され気味の小堀。
反撃がヒットして、「いける」と思いきや、アルファロの左フックが逆にカウンターになってグニャリと後退。
そのままパンチの勢いで弾き飛ばされ、ロープに背中を打ちつけ、ダウンを宣告される。
ああ・・・と一気に消沈する会場。
やっぱ一発はあるわ。しかも短いパンチだったぞ。
試合再開。
王者は仕留めに掛かっている。ああコワイ。
小堀もパンチを返すが、力ない・・・事は無い。
左フックの合い打ちでガクッと顔が上がる王者、場内大歓声。アルファロの「仕留める姿勢」にブレーキ。
攻める事が先に立つ両者、必然的にぶつかり合いに。
ダウンした小堀だが、打ち合いの中、コンビ+1が出ている。
大振りでもワンツーで終わらず、スリーまで出ている。
この「余計なパンチ」が相手の攻め手を削いでいる。
終盤、左フックを浴びたアルファロが、右足を引き攣らせながら後退。追う小堀!
まだ分からない!
ピンチでもロープを背負って暫らくカバリングに専念、
その後に反撃に出る王者には、効いててもまだ余力があるように見えた。
パンチも生きている。
終盤、打撃戦の中で王者のパンチもヒット。
小堀も打ち返すが大振りでワイドオープンだ!恐い!
そして第3R。
なおも前進してくるアルファロ。
やはり身体のパワー、前進力は相手が上か。小堀は下がりながら応戦。
右ストレート、左フックがヒットするが、やはり押されている(ように見える)。
リングの中で、アルファロが前に出て、小堀が下がっているのだ。
しかも、アルファロはボディブローも織り交ぜて来る。
両者、手負いにも見えた。
序盤でグラつき合っているのだ。
「もう強打して、相手を早く制圧するしかない」そんな切迫感を覚えた。
先のある試合には思えなかった。
小堀もどこかで前に出て打ち込むしかない。
出鼻に打ってても、「決め」は踏み込まないと!
左フックを当てた小堀が下がる足を止めた。
打たれた王者が前進を止めた。
両者が対峙した。ここが勝負だ。
小堀が一段と速い切り返しで左フックを振った。
頭部を揺らしながらアルファロが倒れた!!!
会場は凄い騒ぎになった。
十字を切って立ちあがったアルファロだったが。
小堀のハイテンポな連打で力なく後退。
ロープに追われて被弾したところで、レフェリーのラファエル・ラモス氏は試合をストップした。
なんてこった!小堀が勝った!KO奪取だ!逆転KOだ!
参った!小堀のパンチがライト級で通用した。
リーチはあるが、スタンス広げて前に出てくるアルファロは、小堀のパンチが当りやすい標的だったが、危険も大きい相手だった。
小堀と萩森氏のバクチは吉と出た!
参った。大したギャンブラーだ。
興奮醒めやらぬ場内。
勝者インタビューで女性インタビュアーに「何をしたいですか?」と聞かれ
「いや何もしたくないです」
「帰って寝たいです」
~と小堀節を炸裂させて、会場を笑わせた新王者。
萩森氏は「パッキャオ戦を」と壮大な夢を膨らませておいでだが
(これを試合前に言ってるのがスゴイね)
それはそれで素晴らしい構想だが。
私は、モセス戦を凌ぎきって、米国でアルファロ再戦を行って欲しい。
この両者は、おそらく何度やっても打撃戦の面白い試合になる。
お互い、左フックの距離がドンピシャだから。
(ルイ・カジェハスvsロリス・ステッカと同様・・・)
米国で今回のような好試合をやれば、人気とファイトマネーが跳ねあがる。
負けてもナイスファイトなら第3戦がある。
I・バスケスvsラファエル・マルケスのように、試合を重ねるたびにファイトマネーが、
倍から5倍~10倍(憶!)に跳ねあがるのも夢ではない。
だから、「初防衛は日本人と」とか頼むから言わないでよ。
やっても、たぶん拙戦に逆戻りだよ・・・。
まぁ、小掘が指名挑戦者と対戦するとして
モセスも前に出てくるから、やはり打ち合いになりそう。
モセスの速いパンチに苦戦すると思うけど、ワンツーを力強く打って行けば戦局打開なるかも。
あと、ボディーブローね。アフリカンにはボディは効きそう。
小堀チャンプは、ボディ・パンチャーの印象ないけど、まぁ逆に言えば「伸びしろあり」って事で。
腹を打つのは勇気がいるけど、「連打してくる相手と一緒にパンチを繰り出し、コンビネーションでカウンターを取ってしまう」小堀選手なら大丈夫・・・かな?
※その観点で言うと、小堀には「イイ意味での鈍感さ」があると思います。
連打が飛んでくる距離でも一緒に打つ勇気・・・というか、その恐怖への鈍感さ。
辰吉も持っていた、その鈍感さ。(彼は、ありすぎたけど)
4回戦選手などが持つ「ガムシャラさ」とは別な・・・。
キャリアを積むに従って、「怖さ」が分かってしまい、一緒に手を出す事がなくなるのが
普通なんだが、
小堀チャンプは、それが出来てしまう。強打の中南米ファイター相手にやってしまった。
そして自分のパンチをヒットさせた。
凄い事だと思いますよ。
「アップライトで標的を遠く感じる相手」が苦手な小堀選手ですが、
有明で見たモセスは攻撃型で、相性は悪く無さそうに感じました。
しかし、
メインの前にモセスの試合を観た時点で、「もし小堀と戦わば」なんて考えるんだから、
ファンってヤツぁ・・・。
もっとも
モセスも小堀の強烈な奪取劇を見て、本番では作戦変更してくるかも知れませんが。
アマ歴もある選手だけに、引き出しは多いでしょうからね。