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「きいちのぬりえ」の蔦谷喜一先生、逝去

2005年03月10日 | 生活
いささか旧聞に属しますが。
数年前、進学校のCMに絵柄が使われ(車内吊りの広告でも良く見かけた)、その愛らしい少女キャラクターに再び脚光が当てられた「塗り絵作家の蔦谷喜一(つたや・きいち)」先生が、2月の24日午前、老衰のため埼玉県春日部の病院にて死去されたとの事。

享年91歳。
少女漫画家の内田善美さんが描く日本人形の原型のような、素晴らしく可愛らしい少女を描かれる方で。
主に和服のシチュエーションが多かったが、塗り絵だけでなく彩色も施されたイラストも、様式美とも言える完成度を誇り。
最近では雑貨店などで「きいち」文字の入ったイラスト和紙なども売っていたと記憶しています。

誰もが必ず見た事がある絵柄だと言えるでしょう。
また、画集やカード集なども発表されており。和服で鞠を抱きながらこちらを見ている少女の(主に上半身の)構図・・・など、心和み癒される作品ばかりで。

ご本人の「著者近影」も、優しげで品ある御老人・・・な雰囲気で。
スタイルこそ違え、「女性らしい女性」「愛くるしい乙女」を描き続けた故・中原淳一先生同様に「女性以上に“乙女の心”を持った男性クリエイター」だったと言えるでしょう。

両者とも子孫を残されておいでだから、「乙女なのは心だけ」だったのでしょうが・・・(中原シンパには女性も多いが、美輪明宏さんや、おすぎ&ピーコなどの「完全にあっち系」の人も多々いらっしゃる)。

「女は女らしく」なんて言うと、反感買いそうだが。
中原淳一先生など、戦前から既に売れっ子イラストレーターとして活躍されていたが、戦後の物も無い時代に、いち早く「こんな時だからこそ、おしゃれで美しく、たしなみを知りましょう」と欧州などの女性文化を紹介(こちらの絵柄は、最近「日東紅茶」のCMに使用されていましたな)。

人がもっと豊かに暮らす為の、もっと美しくなる方法などを提唱するため「それいゆ」や「ジュニアそれいゆ」などの雑誌を創刊し、「美学の啓蒙」を行っていかれたのですね。
決して大上段からでなく、「こうありたいものですね」「・・・して行こうではありませんか」と云った口調で。

そのイラストの女性&少女たちが、これまた蔦谷喜一先生の描く少女にも通ずる「愛らしさ」「品の良さ」で。
蔦谷少女は「和風」、中原少女は「洋風」の違いこそあるが、相通じる物は感じられるのです。

中原先生は「ジュニアそれいゆ」でも、イラストの少女たちが「部屋を飾りましょう」「身だしなみを美しく」などと当事の小中生に身を持って示しているのだから、思春期の少女達が心トキめかせたのは理解できるし、元ピチカート・ファイヴの野宮マキさんが「それいゆ」のバックナンバーを集め捲っているのも「なるほど」って感じではある(そういや、小西康陽さんも「心は乙女」系だな・・・)。

――もっとも。
女って、男が思ってるほど「乙女」じゃないんだよな・・・(苦笑)。
姉とか「身近な女」の生臭さとか体験している者なら良いが、そうじゃ無いと「現実的」「生臭い」「残酷」といった女の別の面に接して引き篭もってしまう・・・・。

そんな感じなのが、最近の「おたく文化」なんだと勝手に私は解釈してるのですが。まぁ、私も遠からずソッチ系なのですが(笑)。

そこで引き篭もらず、「女性の中にある美意識」を信じて、啓蒙に掛かったのが「それいゆ」などの中原ワールドだと、勝手に解釈しているワタクシ。

そして。
ぬりえ作家の蔦谷喜一先生は、同様の啓蒙を もっと「もの言わぬ」形で行われていたのではないか・・・とも感じられ。

提唱は、ぬりえ少女の仕草と視線だけ。
愛らしい少女を描き続け、それを見た現実の少女たちに「あぁ、こうありたい」と思わせる・・・ささやかな提唱。

勝手ながら、そんな物を感じたのです。
私も一応「心は乙女」「ひそかに美意識あり」・・・な、つもりの人間ですから(笑)。

まぁ、中原先生の「小物を飾りましょう」「クッキーなど作ってみましょう」のイラストの、小物を描く画力がイマイチとか、料理の絵がおいしそうじゃない・・・とか言って中原ファンの「連れ」に怒られたりしてるのだが(笑)。

モノによっちゃ、欧州ファッション誌のデザイン画のポーズに、自分のキャラクターの顔をくっ付けただけの構図もあって。
「これは無理があるだろう!」とか言いそうになったが、それを言ったら“連れ”に激怒されそうなので黙っていたりしているのだが(笑)。

――いかんいかん。
蔦谷先生を持ち上げて、中原先生を貶めるみたいなコト書き込みしてどうする。
故人を称える時に良くある手・・・メディアの常套手段を私が使っちゃダメじゃないか!!!!

両方、「美意識」を貫いた立派な方です。女性から、乙女の心を持った男性まで、大きな支持を集めていらっしゃる偉大な人です。

よく考えれば、長い闘病を経て80年代半ばに70才で亡くなられた故・中原先生と、05年に91才で亡くなられた故・蔦谷先生は、奇しくも同世代ではないか。

ご両人、ともに相手を意識されていたのであろうか?
そうであって欲しい。

そして、今頃は美しい場所でお互いの「美意識」を語り合っておいでだと思いたい。

蔦谷喜一先生の御冥福を、心よりお祈りしたいと思います。

◆3/9(後楽園ホール)の試合結果
○4R
山本 忍 KO3R 末原功太郎
西口正和 TKO2R 増田岳之
○6R
市毛優希 判定 中山義久
長沼亮二 引分 益山智行
○8R
大嶽正史 判定 佐藤康史
○10R
ジュン・エラハム TKO10R 横山啓介
中広大悟 判定 高橋 巧

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