偉大な元ボクシング世界王者が亡くなった。
1952年4生まれ。
ニカラグアの首都マナグア出身。
生涯成績は80勝8敗(64KO)。1992年ボクシング殿堂入り。
1974年にFe級で初王座、1981年にL級を獲得して3階級制覇を果たす。
当時の他階級制覇としては最高記録だった。
H・アームストロングの「J階級なし、同時制覇」は驚異的な記録だが、
アルゲリョは保持する全ての階級で防衛を果たし、それにおいて敗れた事はなかった。
より強い相手を求めての転級は、ただのタイトルコレクションとは明らかに異なった。
階級を上げる毎に長身でじっくり構えるスタイルが定着。
速く動き回る相手を苦手としたが、終盤捕まえて倒すことも多かった。
1979年に母国ニカラグアがサンディニスタ革命によって共産化すると、アルゲリョはそれまでの防衛戦で稼いだファイトマネーを没収されたために、米国に亡命。苦渋の選択。
ただし、英語も習得したアルゲリョは、世界的な人気を獲得する事になる。
既に日本でも防衛を果たし知名度はあったが、グラブメーカーWININNGの広告にも登場、専門誌の背表紙を飾った。(これは異例なことで、日本でのアルゲリョ人気を物語る)
以降も現役を継続し、4階級制覇にも挑んだが、無念の敗戦。
ただし、もっとも強いと言われたプライアーへ続けて挑んだ姿勢は彼の名声を貶めるものではなかった。
その後、軍服に身を包んでニカラグアの反政府活動に参加した事もあったが。
ファンの心配の声が届いたか、1985年にボクシングへと復帰。
ただし、4冠のチャンスは訪れず引退となった。
引退後は政治家へ転身。
2008年、遂に出身地であるニカラグアの首都マナグアの市長に選出された。
豊かではなかった幼少時代を過ごしたマナグア、
そこで喧嘩を繰り返していた少年が、ボクシングで身を立て、遂にそのマナグアの市長にまで上り詰めた。
なんというサクセスストーリー。
そして、大統領は親友。
アルゲリョ氏の前途は順風満帆だと思われたが・・・。
彼は亡くなった。
マナグアの自宅で、胸は銃弾で貫かれていた。
自殺という説もある。
市長就任前に失踪騒ぎも起こしている。精神状態に不安要素があったとも言われた。
彼に何が起きたかは分からない。
アレクシス・アルゲリョ氏の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
ニカラガの軍艦よ、安らかに。
ニカラガの英雄よ、永遠に。