新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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「梅咲きぬ」

2007-09-17 19:21:10 | 読書
新刊が書店に並ぶとき、著者名を見ただけで黙って購入する作家が何人かいることは、以前お話しました。

さて別のものさしもあります。ある設定と言いますか、主人公の境遇と生き様が好きでつい買ってしまう小説があります。
簡単に言いますと、少女の頃から貧しく厳しい境遇のなかで健気にその日を精一杯に生きている。その生き方に感心した人間としての行き方を厳しく仕込む。そして、大きな人生の舞台へ大きく羽ばたいていく。こんな、女性の出世話が好きです。


本日偶然購入したのは、「梅咲きぬ」山本一力著 文春文庫590円+税 です。
深川の料亭「江戸屋」の三代目女将秀弥の一人娘玉枝が、周囲の人々の温かく、時に厳しく見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。
山本作品に度々登場する四代目秀弥の少女時代から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く。と紹介されています。「損料屋喜八郎始末控え」で登場する女将で、主人公喜八郎を応援する重要な役回りで、素敵な女性として描かれています。
この本はまだ読んでいません。明日出かけますのでそのときにと思っています。


「だいこん」山本一力著 光文社1800円
博打の好きな大工の貧しいうちに生まれたつばきは、九つで飯屋に手伝いに出る。そこで飯炊きの上手さを見込まれ、彼女も飯屋の仕事が好きになり天性の工夫と努力で、小さな店を持つ。さまざまな苦労を乗り越えて、深川に飯屋の店を出すまでの半生を描いています。


「夜明けの星」池波正太郎著 文春文庫
煙管師の一人娘お道は十三歳のとき父を浪人に殺され天涯孤独になった。江戸の商家の中でもそれと知られた小間物問屋・若松屋長兵衛方に女中として奉公に上がる。家付きの妻お徳の厳しい仕込みに耐えたお道は、一人前の女中として成長する。ひょんなことから息子芳太郎と夫婦になる。その後お徳は、小間物問屋の内儀としての教えを伝える。この後芳太郎お道の代になるまでの、一人の女性の成長とそれを見守り見込んだ姑との物語です。

どれもこれも、読了と同時にしんとした心持になります。こんな女性が今もたくさんいれば、願わずにはいられません。
コメント
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