新星堂で購入した3枚のうちの最後の1枚です。昨日じっくり観ました。
【物語】
死後の世界とコンタクトできるアメリカ人の肉体労働者(マット・デイモン)と、南海の行楽地で津波に遭遇し臨死体験をしたフランス人の女性ジャーナリスト、双子の兄を事故で亡くしたイギリス人の少年。死後の世界に引き寄せられるように三人の人生が交差していきます。
死後の世界との交流をクリント・イーストウッド監督がどう表現するのか関心がありました。
まず最初に取り上げられなければならないのが、大津波のシーンです。パッケージにもその大津波のシーンについての見解が述べれれています。
映画冒頭に大津波のシーンが出てきます。この撮影時点では東北大津波は起きていないのですから、特殊撮影による大津波はインドネシアなどの映像を参考に作られたたのでしょう。世紀末のパニック映画でも大津波はよく取り上げられていますが、あの3.11の画像を見てしまった、それもハイビジョンで見てしまった日本人にとってはこのシーンは何も感想は起きませんでした。津波がきれいすぎます。
海底のヘドロを巻き上げた真っ黒い津波の恐ろしい姿を見てしまったからです。
日本では上映中止になったような話ですが詳しいことは知りません。女性ジャーナリストの数メートル周辺の画像ですから、日本のあの黒い大きな津波を見てしまった、そして身内を亡くされた方々にとっては、「津波はこんなものではない」と言った気持ちになられるでしょう。
本編自体は特殊効果と言う観点からそんなものだと言えますが、メイキングで特殊効果の技術者たちが、得々とその苦労を語るシーンは大変違和感を感じました。でもそれも、3.11以前の時点でのインタビューですから仕方ありません。
さて本題の死後の世界との交流にテーマですが、宗教観とか死生観の違いでしょうか微妙に物足りなさを感じました。
「シックスセンス」と言ういい映画がありました。こちらは亡くなったばかりの死者の霊と生きている現世の人間との交流を書いていました。
「ヒアアフター」は霊能力者の男と臨死体験をした女性と、一卵性双生児の兄を亡くした少年の霊感のエピソードを並べただけで終わったような感じです。三者のそれぞれのラストシーンもよくわかりません。彼らにどんな未来があるのか描かれていません。
三人が交差して、それぞれまた自分たちを白い目で見た社会から逃避してしまうような気がします。
3.11が起きなければ、あの現実を見なければまた違った感想になったかもしれません。
それにつけても、死後の世界を語るならまだ数千人の行方不明者の方々をどうやって家族に戻してあげられるか考えてしまう毎日です。
映画としてはよくできていましたよ。クリント・イーストウッドも年を取るとこんな映画も撮ってみたくなったのでしょうか。