長い眠りから目覚めた東南アジア最大級の
石像遺跡群は、アンコール朝600年の栄華の跡。
中央に5つの尖塔が聳え立つ祠堂が
配置されているアンコール・ワットは、
カンボジアの国旗の中央にも描かれています。
長年にわたる放置や内乱により崩壊の危機にありましたが、
国際的な調査、修復活動により、かつての姿を
取り戻しつつあるアンコール遺跡群は、
朝日に、そして夕陽に映えます。
アンコールワット遺跡群は、9〜15世紀までクメール王国の
アンコール王朝が栄えていたころに建てられた遺跡群。
王朝が滅ぼされた後、400年の時を経て
フランス人植物学者によって発見されました。
ゾウに乗って山を登り、ジャングルの中にある
遺跡群を見た時の感動は今も忘れがたいものです。
遺跡群の中心となるのは、アンコールワット。
12世紀前半に建設されたヒンドゥー教寺院、
中央祠堂への参拝は「神へ近づくための登山」とされ、
かなり急な階段を昇ることになりました。
10~13世紀にはインドシナ半島中央部全体を支配、
26人の王を輩出したアンコール王朝は、
正当な血縁関係によらず、実力により王位を奪取する
王位継承がほとんどであったそうです。
そのため王権を神格化し、力を都城造営で示すため、
王は即位後すぐに新しい都城と王宮、
寺院を建設していきました。
約400㎢もの広大な土地を誇るアンコールワット遺跡群は、
かつての石造寺院や都城が大小合わせると
600以上も点在し、未発掘のものを全て合わせると、
およそ1000にも及ぶというものだとか。
アンコールワットは、1113年に国内を統一した
第18代王ヌールヤヴァルマン2世によって造られました。
ヴィシュヌ神を祀るヒンドゥー教寺院であり、
亡き王を神として祀る墳墓寺院でした。
精緻なレリーフは必見です。
アンコールトムは、1181年隣国チャンパを撃退し、
王に即位した第21代王ジャヤヴァルマン7世による造営。
アンコール王朝最大の都城で、
敬虔な仏教徒であったジャヤヴァルマン7世は、
その中心に仏教寺院バイヨンを建立。
バイヨン寺院の50を超える仏面塔の仏頭は、
「バイヨンの微笑み」とたたえられています。
ヒンドゥー教から仏教へ改宗した当時の
名残りも見られます。
(現在のカンボジアは仏教徒が多い)
アンコールワットとアンコールトムを結ぶルートの
東側にある仏教寺院遺跡タプロームは、
映画「トゥームレイダー」や
「トゥーブラザーズ 」のロケにも。
世界文化遺産 1992年登録
カンボジア
訪問日 2007.1.3~1.6