今でこそ「神様、仏様、エヴァンス様」と崇められるほどの人気ですが、本作が録音(1976年)され、リリースされた1977年辺りでは、すっかり存在感が薄れ、One Of Them的に地盤沈下していた。少し前から「そろそろやばいな」と感じていたけれど、「もうあかんなぁ」と烙印を押した一枚。ランド?、バレル?、そしてブラウン?メンバーを見たとき、目先を変える意図は理解できますが、何か異質な人選に期待より不安が先に走った。
いきなり、一曲目の”Sweet Dulcinea”の高音を多用し、キラキラした茶らしいpに幻滅。これじゃ~、カクテル・ピアノと揶揄されるのも止むを得ない。おそらくエヴァンスは時流に合わせようとしたのだろうが、もし、そうなら、ベテランを配するよりバリバリの若手をサイドに呼ぶべきだったのではないか。朝靄のカヴァが全てを物語っている。それにしてもQUINTESSENCE(真髄)とは・・・・・
と、言うのがリアルタイムで聴いた時の印象で、それ以後、ずっと二軍暮らしが続いていた。
先日、臨時に一軍に昇格させ、久し振りにターン・テーブルに乗せた。
年齢と伴に寛容の度合いと嗜好の範囲が膨らんだのか、昔、あれほど茶らしく聴こえたpに拒絶反応が出ず、一枚通して聴くことが出来た。B-1の”Child Is Born”のエヴァンスのピアノ・タッチに聴き惚れる始末です。この曲は録音がよくFANTASY時代で一番いい音かな? ランドは涸れ過ぎ(笑)ですが、居場所が定まらない気配のバレルが聴き込むにつれて良いパフォーマンスを展開してますね。
もういいでしょう、「烙印」を剥がしましょう。
ただ、ブラウン(b)にもう少し配慮されたならば、もっといい結果がでたのではないでしょうか。プィと横を向き、ご機嫌斜めの写真(裏カヴァ)がリアルです。
なお、エヴァンスのアレンジャーとしての意欲作とフォローする向きもありますが、ラストの”Bass Face”を聴けば、残念ながらアレンジャーの才は凡と分ります。
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