よくファスナーのことを「チャック」という人がいますが、これは日本だけで言われているもので、海外では通じません。
もともとチャックという言葉は、日本で出来た「商標登録」で、その語源は「巾着」からきたものと言われています。
ハングで使われるファスナーには大きく分けて二つあります。
一つは「コイル」タイプ。ファスナーがコイル状のものをいいます。
もう一つは「ビスロン」タイプ。以前はチェーンと言っていました。
このビスロンはここ数年でハングでは使われなくなったため、今回は説明を省略します。
まず、上の写真の右側にあるのが#10コイルといわれるファスナーで、その下にはこの#10コイルで使用されているスライダーを並べました。
そして、左側にあるのは#8コイルのファスナーで、下にあるのは同じくこれに使われているスライダーです。
ハングでは主にこの二つのサイズのファスナーが使われていますが、これよりも小さい#5コイルというファスナーが、唯一グライダーのセールの中のリブをつなぎとめる目的のためだけに使用されています。
さて、ファスナー本体はその大きさで#10と#8がありますが、スライダーもこのようなサイズの違いはもちろん、もう一つ「ロックタイプ」と「ノーマルタイプ」の二つが存在します。
ロックタイプのスライダーは写真右、#10コイルの下の左端にあるもので、持ち手が四角いことで見分けがつきます。
これはその名のとおり、スライダーがロックするもので、持ち手を持つことによりスライダーの中にある「ツメ」が持ち上がり、ファスナーを開けることが出来ます。
逆に持ち手を持たない限りはスライダーはロックしています。
このタイプのスライダーは昔のハーネスに使用されていましたが、最近ではめっきり使われなくなりました。
理由は、スライダーが動かないためにランディング時体を起こすと、体のずり下がりと同時に体重がファスナーに集中してしまい、ファスナーを壊してしまうトラブルが起こるからです。
昔のハーネスを使用している方で、この「ロックタイプ」がフロントファスナーに使用されている方は、あまり、スライダーを下まで閉めない(せいぜいおへその位置)くらいまででとめておいてください。
ファスナーがいたんでしまいます。
余談ですが、初期のウチのハーネスのファスナーに下まで下がらないようにストッパーがあったのはこの理由のためです。
ノーマルタイプのスライダーにも二つ種類があり、一つは持ち手が片方だけのシングルタイプ、もう一つは持ち手が二つあるダブルタイプです。
最近のレースタイプのハーネスのフロントファスナーは表裏ひっくり返して使用されているため、ダブルタイプのスライダーが主に使用されています。
ちなみに、なぜ最近の最近のレースタイプのハーネスは、ファスナーを表裏逆にしていると思います?
正解は、ファスナーは引き手となる側をファスナーも表側にもってこないと、ファスナーがスムーズに開閉しないから…。
つまり、現在のレースハーネスではファスナー開閉のロープがハーネスの内側にあるため、ハーネスの内側にファスナーの表側を向けないとスムーズに開閉できないのです。
これを間違える、つまり、ファスナーの裏側にある持ち手でファスナーを開けようとすると、スライダーが動くときにファスナーが曲がって(波打って)しまい、その場でスライダーが動かなくなる現象が起こり得ます。
ファスナー、スライダーにはこのようにいろいろと種類があり、それぞれの
役割、目的に応じて使い分けられています。
ファスナーはかなり奥が深く、現在でも一流のハーネスメーカーでもファスナーの性質を十分理解していないのでは?と、思えるところも正直あります。
皆さんも、ファスナーの部品をご注文するときは注意してくださいね。