自衛隊と米軍による日米合同演習が、11月10日~19日、全国で行われる。特に沖縄では、「県内で実施される共同訓練としては極めて異例の大規模な」演習となる(2022.10.22 琉球新報)。まさに、台湾有事を想定して、南西シフトを進める自衛隊と米軍が一体となって実践に近い大規模演習が展開される。
当初は、県管理の中城湾港に自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)等が陸揚げされると報道されたため、沖縄平和市民連絡会は、10月11日、「沖縄を再び戦場(いくさば)にするな!」、「自衛隊の中城湾港使用を許可しないこと」等を求める要請書を提出した(10月11日のブログ参照)。
その後、防衛省は、県民の反発を懸念したのか、中城湾港でのMCVやPAC3の陸揚げを取りやめたようだ。それでも、中城湾港では、防衛省がチャーターした大型船で、陸空自衛隊員ら400名、150台の車両が陸揚げされるという。
「県内の民間港の利用拡大に向けた地ならし」(2022.10.6 琉球新報)、「防衛省は、今後、沖縄本島のほか離島の港や空港の使用拡大も模索する」(2022.10.22 琉球新報)というのが防衛省の狙いであろう。
中城湾港は県の港であるから、県港湾管理条例に基づき、事前に知事の岸壁使用許可等を得なければならない。知事が不許可とすれば港湾使用はできないのだ。私たちは、明日の県交渉で、中城湾港の港湾使用許可を出さないよう強く求めていく。
さらにその後の報道で、与那国島でも県管理の空港に自衛隊機で16式機動戦闘車(MCV)が運ばれ、公道を走行することが判明した。米海兵隊員40名も訓練に参加するという。MCVの沖縄での公道走行や、米軍が与那国島で演習をするのは初めてのことだ。まさに、台湾有事を想定した露骨な予行演習である(空港の使用にあたっても、条例に基づき県への事前の届出が必要となる)。
明日の県交渉では、中城湾港の使用だけではなく、与那国島での演習についても追加議題とする。今、県内全域で展開される日米共同統合演習に対する県の対応が問われているのだ。
県は、「防衛省から計画概要の報告を受けた県は『住民に不安を与える可能性があるとして、政府に懸念を申し入れる方向で検討している」、「知事は、『住民の方々が不安になることがないよう、調整はしっかりとやってほしい』と述べた」(2022.10.29 新報)と報道されている。
2019年当時、本部港を米海兵隊が使用しようとしたが、大勢の人たちが現地に集まり、米軍の使用を阻止したことがある。その際、県は何度も米軍に使用自粛を要請した。デニー知事も、「緊急時以外の民間港湾や空港の使用の自粛を要請している。その方向性は今までもこれからも変わらない」(2019.9.20 沖縄タイムス)と明言した。
この基本姿勢は米軍でも自衛隊でも変わらないはずだ。デニー知事は、「懸念」にとどまるのではなく、「訓練の中止」を求めること。少なくとも、「緊急時以外の港湾や空港使用」の断念を毅然と求めるべきであろう。
中城湾港。この広い港湾が、自衛隊員400名、車両150両で埋め尽くされる。