奥港とともに、本部港からも辺野古への石材が海上搬送されることが大きな問題となっている。15日は、県民会議として奥港を所管する沖縄県への申入れを行ったが、今日(17日)は、本部町島ぐるみ会議の皆さんと一緒に、本部港を所管する本部町との交渉を行った。町からは前回に続いて建設課長、港湾管理事務所所長らが出席した。
最初に、前回の交渉で明らかになった、県の港湾管理条例に基づく岸壁使用許可申請の手続なしに岸壁を使用させてきたことについての釈明を求めた。課長、所長らは、「県からも指導がありました。これからは条例に基づいた申請書を提出させ、許可書を出します。不備があったことについては、今後、きちんとしていきます」と、従来の本部町がとってきた手続の誤りを認めた。しかし、すでに業者から辺野古への石材搬送のための岸壁使用許可の申請書を提出させていたことが判明し、交渉は紛糾した。
(本部町の課長・所長らとの交渉)
交渉の中で次のような事実が分かった。
・本部港(塩川地区)について、条例が定める申請書の提出を求めないまま岸壁を使用させ、その取りまとめを琉球セメントにまかせてきたことについては、「その経過は今、分かりません。あの港は産業港湾でほとんどが石を運ぶために使われており、出入りも激しく、町の担当者も少ないことから、昔から琉球セメントさんに手伝ってもらってきたようです。経過を調査中です」と弁明した。
・本部町は岸壁使用許可申請書を提出させてこなかったことについて各方面から批判を浴びたため、方針転換。今回の辺野古への石材海上搬送のための岸壁使用許可申請については、11月15日、業者に申請書を提出するよう連絡した。業者からはその日のうちに申請書が出されている。このままでは何時、許可されるかも分からないという状態にある。
・許可手続は1ヶ月毎に行う。今回の許可申請は、11月〇日(15日以降)から11月末までのもの。12月分の許可申請は未だ出されていない。
・この岸壁使用許可申請の内容は、台船と引船の2隻のセットが4組(奥港は3組。やはり本部からの搬送が中心になるようだ)。ところがその行き先は、なんと「辺野古港」とされていたのだ。まさか辺野古漁港に石材を陸揚げするのではないから、これはひどい間違いだ。このような杜撰な申請書は、受理することなく、取下げさせなければならない。
そして、今日の交渉で最も大きな問題になったのは、岸壁使用許可申請の審査にあたって「審査基準、標準処理期間」などが制定されていないことだった。国が行政手続法が定めたことにより、本部町でも行政手続条例が制定されて、様々な申請に対して「審査基準、標準処理期間」を公にしなければならなくなっている。申請書を受け付ける窓口には、これらを備え付けておく必要がある。
課長らは、当初、この本部町行政手続条例のことすら全く知らなかった。もちろん港湾施設使用申請の審査基準等は作成されていない。本部町のこの条例は20年も前に制定されたものだが、全く無視し続けているのだ。追求の中で、「今日、総務の方と規則を制定するよう話し合ったところです」と明らかにした。そして、「審査基準、標準処理期間」についても定めていきたい」と表明した。
何故、業者から残り少ない今月いっぱいの許可申請をわざわざ出させたのか? 我々は、「規則や「審査基準、標準処理期間」を制定するまで申請を受け付けるな!」、「どのような審査基準で審査するというのか?」と追求したが、課長らは、黙りこくってしまったまま、返答ができなかった。
こんな杜撰な町政だが、おそらくは様々な圧力の中で、本部町は来週にも今回の岸壁使用姿勢を許可してしまう可能性が高い。さらに取組みを強めていく必要がある。
(本部港塩川地区。現在は、那覇空港第2滑走路埋立のための石材搬出が続いている)
(港の真向かいが琉球セメント安和鉱山。やはり多くの違法ダンプが使われている)
来週22日には、本部町で、この問題についての学習会も予定されている。