10月17日、早朝の豪雨の後、大浦湾では赤土が広がり、一面に真っ茶色に濁ってしまった。下が、沖縄ドローンプロジェクトが撮影した当日の写真。ああ、大浦湾の生き物たちは大丈夫だろうかと心配になるような衝撃的な写真である。
この写真は、18日の沖縄タイムス、19日の琉球新報でも報道されたので、フェイスブック等でも大きな話題になった。中には、「辺野古側の埋立に用いられている赤土が原因だ」「工事が原因だ」というような書き込みも見られたが、この一面の汚濁は、豪雨のために大浦湾に流れ込んでいる大浦川や瀬嵩川から赤土が流れ込んだことが原因である。
この写真の中央部にまっすぐ延びているのは今回の工事で設置された汚濁防止膜である。汚濁防止膜の右側には、一部、汚濁が広がっておらず、青い海面が残っている。
19日の琉球新報にもコメントを寄せたのだが、汚濁防止膜は部分的にまっすぐ設置しても何の効果もない。上の写真のように汚濁防止膜の端の部分から汚濁が回り込んで広がっている。汚濁防止膜は、汚濁発生源の周囲を囲むように設置しなければならないのだ。
下の図の赤線・青線部分が、今回、設置されている汚濁防止膜である。部分的にしか設置されていないのは、「工事作業船の航行の支障にならないため」である。しかし、広い開口部を作ってしまっては、汚濁防止膜の役割を果たさない。汚濁発生源の周囲を囲むのではなく、直線的な汚濁防止膜をいくら設置しても全く意味がないことが、上の写真からも分かる。
大浦湾では、以前から、豪雨の後、赤土で一面に濁ってしまうことがよくあった。最近では、2016年6月にも同様の事故が発生している。その時は、瀬嵩のゴルフ場の建設工事現場から大量に赤土が流れたためであった。
新基地建設に反対する理由の一つが、大浦湾の豊かな自然を守るためである。そうであるなら、農地や開発行為現場からの赤土流出を防ぐためにも、沖縄県は毅然とした対応をとらなければならない。
2016年には、沖縄県はすぐにゴルフ場の建設現場への立入調査を行ったはずである。沖縄県は、今回の赤土流出を受けて、原因究明のために現地調査を速やかに行うべきである。