防衛局は８月３日、辺野古側への土砂仮置き工事２件の工事契約を締結した。しかし、この工事は、設計変更申請の内容である大浦湾の埋立のための土砂の仮置きであり、設計変更申請が不承認とされている今、着工は許されない。
私たちの指摘により、県も２回にわたって防衛局に質問を繰り返したが、「疑念が払拭できない」として、知事は、８月２９日、辺野古側への土砂仮置き工事の中止を求める行政指導を行った。ここまでは県も頑張ってくれたと評価する。
しかしその後も本部塩川港、安和桟橋からの土砂海上搬送が続いている。すでに辺野古側の埋立は100％に達しており、現在、続いているのは、辺野古側への土砂仮置きのための土砂搬送である。
ところが、県北部土木事務所長は今も、辺野古への土砂搬送を加速させる本部塩川港のベルトコンベア設置を許可し続けている。本部町島ぐるみ会議は、「一方で搬送・仮置きの中止を求める知事名の行政指導をしておきながら、ベルトコンベア設置許可をすることは矛盾しているではないか」と追及してきたが、北部土木事務所長は、「本庁の指示です」として我々の質問に答えようとしない。
昨日（９月２１日）、県の土木建築部長との面談が実現した。県からは土木建築部長、統括監、港湾課長、海岸防災課長らが出席、我々は、山城博治さん、私、そして本部町島ぐるみ会議をはじめ、いつも塩川港、安和桟橋で監視行動を続けているメンバーら７名がが参加した。
しかし、土木建築部長も、「行政指導は出したが、ベルトコンベア設置は許可する」という信じられないような回答に終始した。
参加者から懸命の訴えが続いたが、部長は同じような回答を繰り返すだけだった。最後に私たちは次のように訴え、知事、三役との面談を求めた。
「今、最高裁判決が出され、県は踏ん張りどころですよ。県民の支えが何よりも必要な時です。そんな時に、『県は行政指導を出したけれど、それに反する辺野古側の土砂仮置き工事を促進させるベルトコンベア設置許可を出し続けている。県はやる気がないのではないか』というようなことが県民に広まったら、知事を誰が支えるの？ これから県民あげて知事を支えようとしているのだから、各部署もその立場で頑張ってほしい。」
（Nさん撮影）
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以下、私たちの質問要請書と、昨日の土木建築部長の回答の概要である。
沖縄県土木建築部長様 ２０２３年９月２１日
質問・要請書
本部町島ぐるみ会議
１．辺野古側への土砂仮置工事についての知事の行政指導について
土木建築部長は本年６月２８日、沖縄防衛局に対して、辺野古側への土砂仮置きのための「『シュワブ（R5）造成工事（１～２工区）』について、設計変更申請が承認されていない現状では、「重大な疑義がある」として、「入札手続きの中断」を求めた。さらに、７月３１日、「疑義が依然として払拭されない」として、「造成工事に係る手続きの中断」を求めた。しかし防衛局は県の要請を無視し、８月３日、これらの工事契約を締結してしまった。
そのため知事は、８月２９日、これらの工事は、「当初願書等に示された工事内容とは認められないことから、埋立区域②において必要とする埋立土量約３１９万㎥を超える購入土砂等を搬入すること及び造成工事に着手しないこと」という行政指導を行った。
この行政指導について、防衛局はどのような対応を示しているのか？ 行政指導に従わない場合、県はどうするつもりか？
＜土建部長回答＞
・「行政指導の後、防衛局からは今までに何の反応はない。県からも行政指導の後は何もしていない。」
２．辺野古側埋立の進捗状況について
防衛局の発表している数字をもとに計算すると、本年４月以降、本部塩川港、安和桟橋に土砂を搬送しているダンプトラックの１台当りの積載量が大きく減少している。防衛局の発表している土量は実際よりも少なく改ざんされている疑いが強い。
本年５月以降のダンプ積載量をそれ以前の3.13㎥/台で計算すると、７月中旬にはすでに３１９万㎥に達したはずである。現在、搬送されているのは、すでに「シュワブ（R5）造成工事（１～２工区）」の土砂である。
県は、「シュワブ（R4）埋立追加工事 （１工区～３工区）の進捗状況をどう認識しているのか？ すでに必要土量の投入は終わったのではないか？
＜土建部長回答＞
・「防衛局は８月末時点でも辺野古側土砂投入量は98％だと回答した。現時点で辺野古側の埋立が所要の土量に達したどうかについて、防衛局から連絡はない。」
・「行政指導後、防衛局が仮置き工事に着手したかどうかは確認できていない。もし工事に着手しておれば、公有水面埋立法に照らして対応を検討していく。」
＜我々の質問＞
・「上表を見ても分かるように、防衛局の発表している土量をもとに計算すれば、ダンプ１台当りの土砂積載量が、昨年１１月以降、3.70㎥→3.13㎥→2.95㎥→2.37㎥→2.44㎥と減少している。これは防衛局の発表している土量が実際よりも少なく改ざんされていることを意味しているのではないか？」
＜土建部長回答＞
・「この点については防衛局に照会します。」
＜我々の質問＞
・「現在、辺野古側で進められている埋立工事（「シュワブ（R4）埋立追加工事 （１工区～３工区）」）の工期は何時までですか？」
＜海岸防災課担当者回答＞
・「８月３１日までです。」
＜我々の質問＞
・「工期が８月３１日までと認識していたのなら、９月１日以降に続いている工事は、「シュワブ（R4）埋立追加工事 （１工区～３工区）」ではなく、土砂仮置きのための「シュワブ（R5）造成工事（１～２工区）」ではないか？ 何故、「土砂仮置き工事が始まったかどうかは確認できない」と言ったのか？」
＜土建部長回答＞
・「---- 」（無言）
＜我々の質問＞
・「それでは教えてあげるが、「シュワブ（R4）埋立追加工事 （１工区～３工区）」の工期は８月３１日までだったが、３ケ月延長されて１１月３０日までとなっている。防衛局の発表した土量でも残りが２％となっており、通常なら１ケ月で終わるはずなのに３ケ月も延長したのは、その間の土砂搬送が仮置き工事ではなく、埋立工事を続けていると偽装するためではないか？ そもそも行政指導を出しておきながら、工期が延期されていることを知らなかったというのは信じられない。
この点についてもあわせて防衛局に照会してください。」
３．本部塩川港のベルトコンベア設置許可について
北部土木事務所長は、我々の強い抗議にもかかわらず、本年９月分についても、本部塩川港でのベルトコンベア設置のための港湾施設用地使用を許可してしまった。
知事が、「購入土砂等を搬入すること及び造成工事に着手しないこと」という行政指導を行っているにもかかわらず、土砂搬送を加速させるベルトコンベア設置を許可することは認められない。
そもそも「公の施設」は、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」であり、違法な目的のための使用申請を不許可とすることは、当然、地方自治法第２４４条の「正当な理由」に該当する。
今回のように、違法な目的のために「公けの施設」の使用を許可することは、「住民の福祉を増進する目的」と矛盾することから、不許可とすべきではないのか、見解を求める。
また、ベルトコンベア設置の港湾施設用地使用許可は、沖縄県行政手続条例第５条に基づく「港湾施設使用許可に係る審査基準」に基づく。そこでも、「所長が特に必要とする条件を満たしていること」等、所長の裁量権が認められているではないか？
＜土建部長回答＞
・「ベルトコンベア設置許可については、港湾法、港湾管理条例等の関係法令に基づき処理する必要がある。港湾施設の使用許可については、関係法令上、公物管理の観点から支障を来すおそれが高い場合を除いては許可することが適当とされている。」
・「港湾法１３条２項に、『何人に対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し、不平等な取扱をしてはならない』と定められており、それに基づいて許可します。」
＜我々の質問＞
・「知事が正式に『仮置き工事に着手しないこと』という行政指導をしているのだから、それが『不平等な取扱い』になるというのはおかしい。また、この港湾法の規定はそもそも、中小業者の保護のために定められたものだ。」
・「２０１７年当時、奥の港から辺野古への石材が搬送された。所管の北部土木事務所が許可したものだが、奥の区民の方々が懸命の抗議行動を続け、当時の翁長知事も防衛局に使用中止を申し入れた。その結果、６ケ月間の港湾使用許可が出されていたのだが、防衛局はわずか１日、使っただけでその後の使用を断念した。今回は、行政指導まで出ているのだから、使用を中止させることは当然ではないか？」
・「行政指導とそれに矛盾するベルトコンベア設置許可の関係をもう一度、明確に説明してください。
・「知事、三役の方々が十分に問題点を認識されているかどうか疑問だ。次回は、知事、三役の方々との面談を求めます。調整をお願いします。」
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