辺野古新基地建設事業の海上警備業務を沖縄防衛局から受注しているセントラル警備保障(株)は、2017年12月から2021年12月までの約4年間、沖縄県が管理する金武湾港を港湾使用許可を得ないまま違法使用を続けてきた。
本部町島ぐるみ会議は、毎月、沖縄県北部土木事務所と本部塩川港でのベルトコンベア設置許可の取消を求めて交渉を続けているが、昨年12月にこの事実が報道されて以後は、この問題についても、県の早急な対応を求めてきた。具体的には、「県港湾管理条例に基づく過料金を課すこと、4年間の無断使用期間の使用料を遡って徴収すること」の2点である。
この問題が明かになってからすでに1年が経過した。北部土木事務所は、当初、プレハブ2棟・コンテナの設置、警備艇の陸上仮置き・岸壁使用等について「無許可使用」を認めていたが、その後は、「現在、手続き中の案件であり、お答えすることはできません」と回答を拒否するようになってしまったのだ。
毎月の交渉で対応を求めてきたが、1年を経過しても回答拒否を続けているので、私たちはやむを得ず、11月11日、請求人23名で沖縄県監査委員に住民監査請求を行った(監査請求書を末尾に添付)。
2020年当時、本部塩川港にベルトコンベアが許可を得ずに放置されていたことがある。その際は、私たちの指摘により、県は、条例に基づく過料金と、放置期間の使用料相当額を徴収した。県は何故、今回、セントラル警備保障(株)に対して毅然とした措置を取らないのであろうか?
そもそもセントラル警備保障(株)は、下記のように、海上警備業務で多くの違法行為・不祥事を続けてきた。
・給与未払(労基法違反)で労基局が是正勧告(2019.7)
・酒気帯びで警備’(2019.4)、酒気帯び運転で現行犯逮捕(2019.5)
・勤務実績の偽装(2019.6)
・従業員がパワハラを受けたとして慰謝料請求(2019.7)
・救命設備未積載(船舶安全衛生法違反、2020.1)
・何回もの座礁・転覆等の船舶事故
・重油流出(2021.5)、潤滑油流出(2021.11)
そして今回の県港湾管理条例違反である。これだけの違法行為を続けているのだから、防衛局は当然、海上警備業務の契約を解除しなければならない。
沖縄県監査委員様 2022年11月11日
沖縄県職員措置請求書
第1 請求の趣旨
辺野古新基地建設事業の海上警備業務を沖縄防衛局から受注しているセントラル警備保障(株)は、2017年12月から2021年12月までの約4年間、沖縄県が管理する金武湾港を港湾使用許可を得ないまま使用し続けてきた。これは、沖縄県港湾管理条例に違反する行為である。
沖縄県知事に対し、セントラル警備保障(株)に次の勧告を行うよう求める。
- 同条例に基づき無許可使用期間の港湾使用料を遡って徴収すること
- 各違反行為それぞれに対し、同条例に基づく過料を課すこと
第2 請求の原因
1.セントラル警備保障(株)は、2017年11月16日、辺野古新基地建設事業に関連して沖縄防衛局から「シュワブ(H29)海上警備業務」を受注した。この業務は、多くの警備艇等を使用する海上警備であるが、セントラル警備保障(株)は、県が管理する金武湾港を港湾使用許可を得ないまま、業務開始から2021年12月までの約4年間、違法使用してきた(資料①~③)。
2.沖縄県港湾管理条例は港湾の使用について次のように定めている。
第7条:港湾施設を使用しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。
第8条:前条第1項の規定により許可を受けた者は、使用料を納入しなければならない。
第33条:第7条1項等に違反した者は5万円以下の過料に処する。
今回のセントラル警備保障(株)の行為は、同条例第7条、第8条に違反する。
3.セントラル警備保障(株)による金武湾港の違法使用は、2021年12月10日の新聞報道で明かになった(資料①)。そのため、本部町島ぐるみ会議は、同年12月22日、北部土木事務所長に対して、事実関係と今後の対応策等について説明を求める質問書を提出した(資料④)。
この質問に対して、北部土木事務所長は、同年12月24日、金武湾港でのセントラル警備保障(株)の下記の行為について、「無許可で使用していることを確認」と文書で回答した(資料⑤)。
*プレハブ2棟の設置(1棟は事務所、1棟は倉庫や警備員の休憩所(資料①))
*コンテナの設置(備品置場(資料①))
*警備艇の陸上仮置き
*警備艇の岸壁使用(琉球新報は、「6隻の警備艇が岸壁を利用していた」と報じている(資料③)。
また、下記の行為については、「事実を確認し、その上での判断だと考えています」と回答した。
*敷地内での連日の多人数のミーティング
*60台ほどの警備員のマイカーの駐車
4 セントラル警備保障(株)による金武湾港の違法使用を北部土木事務所が確認したのは、「2021年10月上旬頃」であったという(資料②)。すなわち、北部土木事務所は金武湾港の違法使用の実態を約4年間も把握していなかったのである。
その後、北部土木事務所は2021年12月2日、セントラル警備保障((株))を指導し、同社は同年12月9日、プレハブや陸揚げしていた警備艇を撤去したという(資料②)。
5 本部町島ぐるみ会議は、その後も毎月、北部土木事務所と本部塩川港、金武湾港の管理問題について交渉を続けてきた。
しかし北部土木事務所は、2021年12月24日には前述のような回答をしたにもかかわらず、その後は、「現在、事実確認中の案件であり、事実確認に支障がでることからお答えできません」と、いっさいの回答を拒否するようになってしまった(資料⑥、⑦)。本年10月27日の交渉でも、「現在、手続き中の案件であり、お答えすることはできません」と、やはり回答を拒否し続けている。
6 北部土木事務所は、①約4年間にわたり金武湾港の違法使用を放置してきたこと、②本件違法行為が発覚してからすでに1年以上が経過したが、今も、セントラル警備保障(株)に対してそれぞれの違法行為について過料を課しておらず、また、4年間の無許可使用分の料金を遡って徴収していない。
これらは公共財産の適切な管理を怠ったものであり、早急に是正されなければならない。
第3 沖縄県の損害
知事が、セントラル警備保障(株)に対して、無許可使用の過料、4年間の港湾使用料の賦課・徴収を怠っていることにより、沖縄県は損害を被っている。
第4 結論
以上の理由から、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、請求の趣旨どおりの勧告を行うよう求める。