防衛局は5月初めからK9護岸の基礎工の捨石投下を開始した。工事用仮設道路も出来ていないため材料の搬入が追いつかず、捨石投下は遅々としたペースだが、それでも埋立本体工事が始まったことは事実である。
5月17日、参議院議員会館で、本体工事着工について防衛省交渉を行った。多くの問題点が明らかになったが、その一つが現在、海に投下されている石材が洗浄されていないのではないかという疑惑だ。
下の写真を見てほしい。捨石が海に投下されるたびに、粉塵が巻き上がっているのが分かる。海が白濁している写真もある。
(2017.5.10 沖縄タイムス)
また、工事用ゲートから入る車両をチェックし続けているTさんが撮影した写真では、石材に赤土がこびりついていることが、再三、確認されている。
(工事用ゲートからは、赤土がこびりついた石材が搬入されている。5月19日 Tさん撮影)
1.採石場での洗浄は行われているか?
防衛局は、今回の事業では、海に投下する石材については予め洗浄すると約束していた。
・「石材の投入については、予め石材を洗浄し実施します」(アセス評価書 4-1-44)
・「海中に投入する石材は、砕石場において洗浄し、濁りの発生が少なく なるようにして使用する」(埋立承認申請願書 6-14-163)
しかし、きちんと洗浄されている石材なら、粉塵が巻き上がったり、海が白濁することなどあり得ない。赤土が付着した石材が搬入されることもあり得ない。5月17日の防衛省交渉でこの点を追求し、「砕石場で洗浄しているというのなら、何秒ほど洗浄しているのか、また、業者任せではなく、防衛局として洗浄の実施状況をどのようにチェックしているのか」と問いただした。
ところが、出席した防衛省の担当者は、これらの質問に対して全く答えることができなかった。「防衛局から、採石場で洗浄をしているという報告は受けています。しかし、洗浄時間等の具体的な内容などについては把握していません」というのだ(この点については、改めて追加質問で回答を求めている)。
那覇空港第2滑走路増設の埋立事業でも、大量の石材が海に投下されている。この事業でも、ダンプトラックに石材を乗せた後、採石場内の洗浄施設でシャワーで水を流して石材を洗浄するとされている。この洗浄にあたっては、「洗浄水のSSを測定し、洗浄後の水のSSが洗浄水と同等になるまで洗浄するため、洗浄時間は1台あたり120秒以上、洗浄水量 600~800㍑」と具体的に定められているのだ(沖縄総合事務局からの開示文書より)。
今回の事業で海に投下されている石材の採石場での洗浄の実態についてとことん追求していきたい。
2.2次洗浄は行われているのか?
今回の事業では、採石場における洗浄だけではなく、シュワブ内での仮置き場でも石材を2次洗浄するとされている。たとえば、K9護岸の設計図書である「シュワブ(H26)傾斜堤護岸新設工事」の工事打合せ簿(2015.9.15)には次のように記載され、この濁水処理プラントについての詳細な資料が添付されている。
ところが、5月17日の交渉では、防衛省の担当者は、「石材の2次洗浄について防衛局から連絡は来ていません」「石材洗浄のためのプラントは設置していません」などと説明した。つまり石材の2次洗浄は行っていないというのだ(この点についても防衛省に再質問中である)。
このように石材の採石場での洗浄、そしてシュワブでの2次洗浄は、まったく行われていないか、きわめて杜撰にしか実施していないのだ。
すでに沖縄県にもこの問題について資料を渡し、説明した。沖縄県の毅然とした対応を期待したい。
<追加>
昨日の沖縄タイムスweb版にも粉塵が沸き上がっている写真が掲載されている。あまりにひどいではないか!