沖縄平和市民連絡会は昨年来、環境に深刻な影響を与える海砂採取問題に取り組んできた。海砂採取は、ポンプで海底から大量の砂・泥を汲み上げ、船上で砂をふるいで別けて、残りはまた海に放出するという荒っぽい方法で行われる。そのため、沿岸海域の環境破壊が大きな問題になってきた。今回の辺野古新基地建設事業では、当初計画よりは少なくなったが、それでも沖縄の年間採取量の2年分(390万㎥)もの海砂が必要とされている。
環境への影響があまりに深刻なことから、瀬戸内海沿岸の各県はすでに海砂採取を全面禁止し、九州等の各県でも年間の総量規制を定めている。
ところが沖縄県の対応は大きく遅れている。総量規制がないだけではなく、実際の運用面でも多くの問題がある。たとえば現在の海砂採取要綱では、「海岸線から1Km以上離れること」「水深15m以上の区域」「部分的な深堀は行わない」等と決められているが、そのチェックは全くできていなかった(いくつかの県では、採取船のGPS位置情報を提出させている)。また、採取量の報告は業者から月報を出させているが、現状ではその数字が正しいかどうかも分からない(いくつかの県では、ポンプの稼働記録を提出させ採取量を確認している)。
私たちは昨年3月、9月県議会に陳情書を提出。さらに、8月30日、11月20日、本年2月13日、6月1日と県交渉を続けてきた。その中で県は、やっと「航跡記録、ポンプ稼働記録」を提出させるよう砂利採取組合等へのアンケート調査や意見交換を行うと約束した。
そして今日(6月28日)の沖縄タイムスは、下に添付したように「海砂採取 監視強化へ」と大きく報道した。6月18日に組合と意見交換し、「船の位置情報記録、砂利測定時の写真」の提出で合意したという。
昨年来、取り組んできたことの一部が実現することとなった。県の英断を評価したい。
2020.6.28 沖縄タイムス
ただ、総量規制については「有識者の意見を聴取し、必要かどうか検討したい」というにとどまっている。また、採取後の深浅測量図等も提出させないと部分的な深堀は規制できない。そもそも海砂採取については、要綱ではなく条例を制定すべき問題であろう。
これらの実現を求めてさらに取り組んでいきたい。
なお、海砂採取問題については、昨年からの本ブログを参照されたい。
・2019.3.22 辺野古・地盤改良工事で大量の海砂が必要
・2019.3.12 県議会に海砂採取問題の陳情書を提出
・2019.3.18 県議会の陳情書の審議を傍聴
・2019.8.30 海砂採取問題について、副知事、土建部長らと意見交換
・2019.9 県議会に海砂採取問題の陳情書を提出
・2019.10.4 県、海砂採取問題について他県調査を開始
・2019.10.27 海砂採取で危惧される海の環境破壊
・2019.11.7 県に海砂採取問題の要請書提出
・2019.11.27 県、海砂採取運用面の規制強化を約束
・2020.2.13 海砂採取問題等で県交渉。「組合等へのアンケートを行った」
・2020.3.1 変更計画でも沖縄周辺の海砂が採りつくされる。
・2020.6.2 海砂採取問題等で県交渉
・2020.6.22 海砂採取問題等で県に要請書を提出