チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古最高裁判決に抗議するオール沖縄会議の集会に300名が集まった! 沖縄平和市民連絡会ら9団体は、知事宛に、「最高裁判決後、設計変更申請を承認しないよう求める要請書」を提出(要請書全文掲載)

2023年08月28日 | 沖縄日記・辺野古

 辺野古・設計変更申請不承認をめぐる裁判は、最高裁の9月4日の判決で、県の敗訴が確定すると言われている(詳細は8月24日のブログ参照)。

 今日(8月28日・月)の昼休み、オール沖縄会議が「知事、頑張れ! 沖縄県民は屈しない」という緊急抗議集会が開かれ、300名ほどの人たちが集まった。

 国会議員さん、各会派の県会議員さんらによる、「最高裁糾弾! 判決に屈せずに頑張ろう」という力強い挨拶が続いた。ただ、今、問題となるのは、最高裁判決後の知事の対応だが、その点に触れる発言は仲村みお議員を除いてほとんどなかった。

 もし知事が最高裁判決後、「司法の最終判断は重い。行政として従わざるを得ない」として、辺野古設計変更申請を承認してしまえば、県が今後取り得る法的対抗策はほとんどなくなってしまう。大浦湾での地盤改良工事や沖縄南部からの遺骨混りの土砂搬送等が始まり、辺野古新基地建設反対運動も「壊滅」的な状態になってしまうだろう(もちろん、それでも県民は闘い続けるのだが)。なんとしても知事には、設計変更申請を承認せずにとことん頑張ってもらわなければならない。

 今、辺野古新基地建設反対運動は最大の正念場を迎えている。

 

 

 集会後、沖縄平和市民連絡会の呼びかけで集まった9団体連名の要請書(下記参照)を知事公室秘書課に提出した。秘書課からの連絡で、辺野古新基地建設問題対策課の担当者らも来てくれたので要請書を手渡し、内容を説明した。

 要請内容は次の2点である。

1.最高裁で敗訴が確定しても、設計変更申請を承認することなく、再度の不承認、又は、埋立承認を再撤回すること。 

2.再度の設計変更申請不承認、埋立承認の再撤回の事由を検討するために、2015年、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。

 

 私たちは県が、最高裁の判決が出る9月4日までに、この要請書に対する意見交換の場を持つよう求めている。

 

 沖縄平和市民連絡会は、8月31日(木)にも、徳田博人琉球大学教授を迎えて学習会を予定している(午後6時半~ 那覇市・教育福祉会館)。

 (今日の要請書提出行動)

 

沖縄県知事 玉城デニー様                                                                                                                    2023年8月28日                

辺野古・設計変更不承認に係る関与取消訴訟の最高裁判決後の対応についての要請  

--- 設計変更申請を承認することなく、再度の不承認、又は埋立承認の再撤回を!

   沖縄平和市民連絡会、沖縄環境ネットワーク、ジュゴン保護キャンペーンセンター、PFAS汚染から市民の生活を守る連絡会、Okinawa Environmental Justice Project、反戦地主会、一坪反戦地主会、ヘリ基地反対協ダイビングチーム・レインボー、嘉手納ピースアクション   (8月28日現在)                          

 

 日々の県政運営、とりわけ辺野古新基地建設反対のためにご尽力いただいていることに心から敬意を表します。

 さて、県が提起した辺野古・設計変更申請不承認をめぐる2件の関与取消し訴訟は、本年8月24日、最高裁が、①国土交通大臣が不承認を取消した「裁決」については「不受理」、②「是正の指示」については9月4日に判決を言い渡すと指定しました。高裁判決の変更に必要な弁論が開かれないため、県の敗訴が確定するといわれています。これは、司法が地方自治をないがしろにする国の強権姿勢を追認し、その責務を投げ捨てるに等しいものであり、とても納得できません。 

 最高裁の判決を受けて、知事の対応には次の3つの選択肢があります。

① 「国の指示は適法という司法の最終判断には従う」として、設計変更申請を承認する。

② 判決は受け止めるが承服しがたいので、県としてはなお設計変更申請を承認しない(その場合、国が代執行訴訟を提起するので、この訴訟で争う)。

③ 再度の設計変更申請の不承認、又は埋立承認の再撤回をする。 

 最悪の選択は、「行政の長として、最高裁の判決は重い」として、上記①のように設計変更申請を承認してしまうことです。この場合、大浦湾の工事が始まり、大浦湾の環境は壊滅的に破壊されてしまいます。南部地区からの遺骨混りの土砂の搬送も始まるでしょう。県が、実質的に、「辺野古新基地建設反対」を県政の柱から降ろすことになり、辺野古反対運動もきわめて厳しい状況を迎えます。この選択だけは絶対に避けてください。

 知事は8月25日の記者会見で、「技術的にも法律的にも県の判断は正しい」、「辺野古新基地建設に反対する思いはいささかも変わらない。その思いをどう具現化していくか、努力を続けていきたい」と強調されました[注1]。私たちは、知事は最高裁判決の後も、これに屈服して設計変更申請を承認するのではなく、辺野古新基地建設を阻止するためにあらゆる手法をなお駆使して頑張っていただけるものと確信しています。 

 そして私たちは、最高裁判決後、知事が上記③の再度の設計変更申請不承認、又は埋立承認の再撤回に踏み切られるよう要請します。

 この点について、県は、「再度の不承認、再撤回の理由はほとんどなく、できない」と考えておられるのかもしれません。しかし、そのようなことはありません。

 設計変更申請の審査の過程で、県は防衛局に452件もの質問を出しました。しかし、防衛局の回答は全く杜撰なものでした。また、環境部からも89件の問題点を指摘した意見書も出されました。ところが県は、これらの問題のほとんどを、何故か、2021年11月の設計変更申請不承認の理由とはしませんでした。2021年の不承認理由は非常に少なかったのですから、それ以外の理由[注2]で、設計変更申請を再度、不承認することは可能です[注3]。また、耐震設計の不備等、埋立承認以後に新たに明らかになった、埋立承認の再撤回[注4]に該当する問題もあります。

 9月4日の最高裁判決後、「最高裁判決に従い、設計変更申請を承認せよ」という圧力が強くなると思われます。しかし、今回出される最高裁判決は、あくまでも2021年11月の不承認理由に関する判断であり、別理由での再度の不承認や、まして、新たな事由による埋立承認の再撤回は、今回の最高裁判決に拘束されるものではありません。

 以上の立場から、最高裁判決後も知事が毅然とした対応を講じられるよう、下記のとおり要請します。 

            記 

1.最高裁で敗訴が確定しても、設計変更申請を承認することなく、再度の不承認、又は、埋立承認を再撤回すること。 

2.再度の設計変更申請不承認、埋立承認の再撤回の事由を検討するために、2015年、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。

 

 私たち県民は、デニー知事の毅然とした対応を支持し続けます。国の理不尽な攻勢に対して、知事と県民が一体となって、辺野古新基地建設を阻止するために粘り強い闘いを続けましょう。    

 

[注1]また知事は、本年4月22日、高裁判決後の辺野古訴訟支援研究会のシンポジウムでも、「不退転の決意で、この辺野古不承認に断固として取り組んでいく」と言われています(『辺野古裁判と沖縄の誇りある自治』 p.74)。

[注2]たとえば次のような問題が再度の不承認・再撤回の理由として考えられる(これはあくまでも例示であり、さらに他の問題の検討、また、「不承認」、「再撤回」のいずれに該当するのか等について、有識者との検討作業を行う予定)。

① 辺野古の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されている。しかし、2022年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表し、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となった。(「沖縄県地震被害想定調査」(2014.3)でもM8.8の巨大地震を想定)

 「沖縄県津波浸水想定」(2015.3)では、津波の最大遡上高が、辺野古で16.0m、辺野古崎で11.7mと想定されており(辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1m)、計画の再検討が必要。

 また、地質・土木の専門家から、「レベル1」の設計としても、護岸の安定性を評価しただけで、基礎地盤の地震時安定性照査をしておらず、震度1~3の地震で崩壊するおそれがあるとも指摘されている。

② 2019年、辺野古新基地建設について問うた県民投票で72%もの人たちが反対の意思を表明したこと。

③ 「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という、「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定(2023.3.31)

④ 海面下70mまで施工可能なSCP工法の作業船が国内に1隻しかないことや、他の特殊作業船の配置も難しい。また、工事区域内に同時に100隻以上の作業船を配置することはできない等、非現実的な施工計画                               

⑤ 自衛隊との共同使用等、琉球弧の軍事力強化による辺野古新基地の位置づけの変化

⑥ 南部地区の遺骨混りの土砂問題(これは環境問題だけではなく、人道上の問題であり、審査項目の「法4条1項各号の全てに適合しても、公益上の観点からの特別な事由」に該当する)。                                       

⑦ 2023年4月、埋立地近くの久志沿岸でジュゴンの糞が見つかったことから、徹底的な調査が必要となったこと。

⑧ 辺野古側への大浦湾の埋立のための土砂仮置き。また、「細粒分含有率40%」の埋立土砂も、当初の環境保全図書の内容に抵触(下記のように、県は2019年当時、土砂の性状問題が再度の承認撤回の理由になると検討していた)。

[注3]県も設計変更申請不承認をめぐる抗告訴訟の中で、「埋立変更不承認処分を取消しても、埋立変更承認申請中の状況に戻るだけで(当然、別理由での申請拒否処分もありうる)、依然として埋立事業を適法に実施することはできない」(抗告訴訟県第1準備書面P28)と、別理由による再度の不承認について言及している(下線は筆者)。

[注4]2019年当時、県は、埋立土砂の性状問題やK9護岸からの土砂陸揚等を理由として、再度の埋立承認撤回を示唆した(謝花副知事「(国が土砂投入に着手した問題等)国の姿勢はあまりにひどく、第2の撤回を視野においている。」、デニー知事「再度の撤回は理論上可能だ。」(2019.1.17 琉球新報))。

 

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