あれって「弾丸登山」て言うんだ

もうかれこれ30年前のこと。したがって記憶は定かでないが。
お客さんで一緒に仕事をしていた方が西ドイツ（当時）に駐在することになり、日本から来たなら富士山は登ったことがあるだろう、と聞かれたら返答に困るので、と仲間を募って何人かで富士登山をした。

皆、まだ若かった。仕事を終えて車に分乗して中央高速を走り河口湖からの富士スバルラインの入り口に着く。
時期は9月中旬でシーズンオフなのかゲートが開くのが深夜0時だったと思う。
同じように開門待ちの車が何台かあり、しかも某落ち目のテレビ局も取材に来ていた。

噂によると翌日9月15日（多分）富士山が☓☓するという話がまことしやかに囁かれていた。
私たちにも取材が来て、あっさり「☓☓するんでしょう」と答える。
この受け答えじゃ全くニュース素材として不適だ。翌日夕方のニュースを見たが、当然私たちの取材分はカットされていた。もう少しテレビ受けする対応をすべきだったかな、と皆で反省したものだ。

閑話休題

で、5合目で車をデポして朝方のご来光を拝もうと0時過ぎに登り始める。
車なら、多分、30分ほどで5合目に着くはず。
私が、自転車で上った時は9時から2時か3時までかかったような。歩くのより遅い？

シーズンを外しているので登山者は少ないが何せ初めての山道と深夜だ。結構きつい。
それに寒い。やがて霧雨のような天候になる。
途中でご来光を拝める時間になったが霧雨状態で視界不良である。
それでも多分、7時くらいには山頂に達することができたと思う。一応、目的を達したということだ。

ややあって下山に。こちらはスムーズに下れたと思う。
一度はご来光を拝みたいものと思っていたが未だに果たせていない。

こういう、泊無しで登山するのを「弾丸登山」というのを今日の夕刊の記事で初めて知った。
家内も、以前あなたが富士山登ったやりかたは「弾丸登山」というらしいわよ、と記事を見て言う。
はいはい、9月になれば山小屋も閉じられるし、あれしか方法がないんだよね。
シーズン中だって山小屋の収容数に限界があるだろうから入山料込の宿泊予約制にするのが山の保全にはいいのかも知れない。山のことだから天候の良不良は諦めてもらうより仕方なかろう。

----------------毎日新聞　2013年06月05日　20時09分--------------------
富士山:弾丸登山の自粛要請　事故や高山病など招く恐れ

　富士山の世界文化遺産登録が確実となり、登山者増加が見込まれるなか、
山梨、静岡両県は５日、観光庁に対し、徹夜で登る「弾丸登山」の自粛を
旅行業団体などを通じて呼び掛けるよう求めた。

　弾丸登山は、富士山５合目から夜間に登り、頂上でご来光を見てすぐ
下山するスタイル。山梨県によると、２０１１年夏の研究者の調査では、
下山者の３割が弾丸登山だったという。

　山梨県の横内正明知事と静岡県の大須賀淑郎副知事がこの日、井手憲文
長官に要望書を提出。弾丸登山について、十分な休息を取らないことで、
事故や高山病などを招く恐れがあると指摘した。井手長官は登山口に弾丸
登山の危険性を伝える看板を設置することを提案した。

　昨年の夏山シーズン（７〜８月）の富士山登山者は約３１万８５００人。
今夏はさらに増えると見込まれている。【山口香織】