お気に入りの酒器、どういうわけか気に入っていたものから割れていく。
安価なものだが赤地健の赤絵の盃が特に気に入っていた。
それが欠けてしまった。東京に居たとき、もう30年近く前になる。
爾来、ずっと捨てることができず、食器戸棚の隅にひっそり存在し続けた。
最近、金継ぎという補修技法の存在を知り、お気に入りだった酒器の復活に挑戦した。
無骨ながら漆と金を施され、酒器は味わいを増しつつ見事蘇った。
赤地健の赤絵の盃、砥部の山水の杯、九谷の赤絵徳利で20数年ぶり、酒が飲める・・・
ああ、なんと幸せなことだ。