居間の窓を開ける。大きく育った軒下のコンスタンス・スプライが満開、そしてその枝に野放図に絡みつき育ったスイカズラ、これも満開、その強い香りが交じり合い流れ込む。
スイカズラに鼻を近づける。これがスイカズラの香り・・・
ずっと前、若いころフォークナーにかぶれた事があった。響きと怒り、サンクチュアリ、八月の光・・・どの作品だったか、覚えてない、が、スイカズラの花の香り・・・よく出てくる。スイカズラというとすぐにフォークナーを思い出してしまうほどだ。そのころスイカズラなどまったく知らない。ましてその花の香りなぞ。ただずっとスイカズラに未知の憧憬を抱いていた、と思う。
翻訳者はスイカズラの香りを知っていたのだろうか?今日、翻訳したらそのままハニーサックルとするするのだろうか?など余計なことを考えている。