ベル・イシスが咲く 言葉を失う美さある にもかかわらず個性的なバラの多いガリカのなかでは注目される存在とはいえない ベル・イシスはイングリッシュロース第一号 コンスタンス・スプライの片親であり そのコンスタンス・スプライに美しさと共にミルラの香りを伝えたということで有名である その後 特有のミルラ香はチョーサーを初め フェアビアンカなど多くのイングリッシュローズへ受け継がれていくこととになる (庭にて)
ノリウツギ(バラ科)ウツギ(ユキノシタ科 別名ウノハナ)ドクウツギ(ドクウツギ科) タニウツギはスイカズラ科 といった具合にウツギと名の付く植物が大変多いので戸惑う タニウツギは磐梯高原にとても多い花で この時期 あちこちで見ることができる大変美しい花である 別名 タウエバナ(田植え花) (猪苗代にて)
鉢植えのラ・フランスが咲く 1865年フランス ギヨーのナーサリーで育種された 初めはハイブリット・パーペチュアルとして登録されたが著しい反復開花性など 明らかに従来のハイブリット・パーペチュアルと一線を画す品種である言うことが認められ ハイブリット ティー 第一号となった 一般的にラ・フランス誕生以前のバラをオールドローズ 以後のバラをモダンローズと呼ばれるようになる モダンローズの登場によって特別階級の人達のものであったバラは一般的 普遍的 園芸植物となってゆくのである(庭にて)
太陽が輝く 持ちかねたようにエゾハルゼミがいっせいに鳴き出す エゾハルゼミの鳴き声が森を満たすと時 磐梯高原が光り輝き 一年で最も美しい 穏やかな 過ごしやすい季節を迎えるのである 今 裏磐梯はまさに地上の天国 (庭にて)
庭のリンゴが開花すると決まって開高健が好んで色紙に書いた言葉を思い出す「あした世界が滅ぶとも今日リンゴの木を植える」 後にこの言葉はマルティン・ルターからパクッたものと知ったのだが ともあれ私は開高健が好きであった この地に移住したときすぐに植えたのがこのリンゴだった 主だった作品はすべて読んだ 生前 幸運にもお会いする機会があった 早速彼の著書の見返しに彼 独特の書で次の言葉を書いていただいた 「朝露の一滴にも天と地が映っている」 うむー そこにコピーライターとして超超一流の開高健があった(庭にて)
庭の片隅のスズランが咲き始め あたりにすばらしい香りを漂わせている このスズランは正確にはヨーロッパ原産のドイツスズラン スズラン属は1属1種 わが国に自生するスズランはその変種で花が葉の下のほうに隠れるように咲く ドイツスズランは花が葉と同じ高さで咲くので見分けは容易である 英名は lily of the valley なんともいい名前をいただいたものである(庭にて)
ウドはタラの芽と並んで人気がある サラダ 煮物 てんぷら あえ物 キンピラ 味噌汁 酢の物 焼き物 これほど多くの料理に利用される山菜はほかにないといっていいだろう その高貴な香りと苦味 まさに山菜の王者である 山ウドと称して売られている栽培品は一番大切な香りにおいて天然の物に比べ 著しく劣るようである (庭にて)
カワラヒワが植物の種をついばんでいる 東京で生活していた時 冬のフィーダーにやってくる常連の野鳥だった 裏磐梯に居を移して数年経った春 庭に野鳥の雛を見つける 巣から落ちたものだろう 羽がまったく生えてない雛なので鳥の種類がわからない パンを水に浸し喉に押し込む 種子類食べる鳥だろうと推測 ムキ粟をスポイトを使って与える ピィッピィと名前を付ける ピィッピィは10日ほどで羽が生え揃い カワラヒワと解る 部屋の中を飛び回るようになる 名を呼ぶと差し出す指に止まる かわいい が野性に返さなければならない 外に連れ出し放す 名を呼ぶと近くに戻ってくる 半日ほど家近くで飛び回っていたがそのうち見えなくなる カワラヒワを見ると今でもそんなピィッピィの思い出が 指に止まったピィッピィの爪の温もりがよみがえる(窓越しに)
オオヤマザクラが散るのを待っていたかのように 遅咲きのカスミザクラが咲き始めた 甲府沼のカスミザクラはすでに満開 水面に枝を広げたこのカスミザクラは毎年白い花をいっぱいにつけ見事 とても美しい(甲府沼にて)
モダンローズの名花でオフェーリアの血を引かぬものはない 1912年イングランド生まれの歴史的銘花 オフェーリア その名前はシェークスピア ハムレットの悲劇のヒロイン オフェーリアに由来する 父の仇をうつために狂気を装うハムレット そんな恋人の狂気に思い乱れるオフェーリア 父親がハムレットに殺害され 狂気に捉われ川に落ち水死し流れてゆくオフェーリア・・・ 今宵は久しぶりにハムレットでも読むとするか(庭にて)