気温20℃を超える。木々一気に芽吹く。エメラルドグリーンが麓から押し寄せてくる。庭のシュンラン花盛り。それにしても知らない間にあちこちに増えたものだ。林の中に数十株はあるだろう。シュンランはどのように株を増やすのだろうか?
暖かい日差しいっぱいの庭に出るのはとても楽しい。宿根草の芽吹きを探す。シュンランのつぼみを探す。近くのヤブの中でガサガサと動く物あり。目を凝らせばそれはノウサギ。すぐ近くなのにこちらを見ながら青葉を食べている。夜行性のウサギにしては大胆、無防備。昼間ノウサギを近くで見るのは最近珍しい事である。もうすっかり夏毛に生え変わっている。
庭に出ると、ビィビィービィビィーと鳥の声がする。あたりを見回す。小川のそばの潅木にキビタキがとまり、こちらを見ている。鳴き声はキビタキの地鳴きだった。キビタキは恐れず、しばらくの間、私を意識しながら庭を飛び回っていた。ありえないことだが、その飛翔は今年もどうぞよろしくというキビタキの挨拶・・・と思えてならない。それは単なる羽虫をフライイングキャッチしているキビタキの捕食行動なのであろうけれども。
昨年の春、シェードガーデンにヘレボルスを数種植え込んだ。重い雪でぺしゃんこになったが雪融けと共にしゃんと立ち直り、驚くべき速さでつぼみを付け、そして花開いた。なんと原種のヘレボルスの強いことだろうか。手元に残っているタグから種類はいずれもOrientalis であろう。
冬の室内で楽しませてくれたNiger を早速近くに地植する。
福島、郡山の桜はもう葉桜になってしまった。だが磐梯高原の桜はこれから。猪苗代の桜の名所、観音寺川堤の桜はまだ5分咲き、満開は数日後。観音寺川の桜はソメイヨシノにシダレザクラが混じり、樹齢は80年を超えている古木。樹間から磐梯山、川桁山を望み、桜並木の中を清らかな観音寺川が流れ、とても趣がある。観音寺の境内には樹齢130年のシダレザクラの銘木があり、この桜の見ごろはさらに一週間ほど先になる。
暖かい部屋に持ち込んだスヴニールドセントアンズが花開く。Souvenir de la Malmaisonの枝変わり。当然Souvenir de la Malmaisonと同じ香りであるが、たった一輪にもかかわらず、強いといわれるマルメゾンより何倍も強烈、その香りはシロツメクサの一面に咲く春の野原に寝転がっているような、そんな幸せな気分にしてくれる。
一日雨、夕暮れが早い。まだ5時前、暗い杉林の前の一本の満開の桜、そこだけがポット明るい。ソメイヨシノだろうか、猪苗代まで桜前線がたやってきた。標高差300m、裏磐梯まで登りきるのはあと何日後だろうか。(猪苗代にて)
晴天、とても暖かい。明日からは残念ながら天気が崩れ、雨になる予報。温室から残りのバラをすべて取り出す。すでに芽吹きが進み、つぼみを付けているバラも多い。これで外のバラより確実に一ヶ月以上は早く花を楽しむことができる。こんな春の穏やかな日差しの下で、伸び伸びと風にそよぐバラの若葉を見るのはとても気持ちよいことだ。表庭のツルバラ誘引、裏庭にグラジオラス球根、ベルガモット植え付け。
裏磐梯の水辺のあちこちでミズバショウが咲き始めた。オオヤマザクラのつぼみもふくらみ始めている。昨年はゴールデンウイークに間に合わなかった。この様子だとちょうどオオヤマザクラの見ごろを迎えることだろう。今年はオオヤマザクラの開花がだいぶ早いようだ。(R459桜峠付近の沼地にて)
ようやく青空が広がり、陽光燦々暖かい。一日庭仕事。汗をかく。ツルバラの誘引、去年伸びた枝の半分は寒さに耐えずことができず、枯れ込んでしまっている。ノアゼット、ティーはとくに寒さに弱い。毎年のこと、解っているのであるが、とても悲しい。Mme. Alfred Carriere の枝をひとまとめにしている紐を解いているとハラハラと散るものがある。脚立から降り、地面を見るとそれは蝶、死んだルリタテハであった。越冬に選んだバラの枝の束の中が良くなかったのであろうか、枯れたカリエールの枝と共に蝶は死んでしまった。タテハチョウの仲間は成虫で越冬する。数日前に元気で飛んでいたアカタテハは無事越冬、生き残ることができたのであったが。
ミズバショウと生育条件、開花期が同じため、ミズバショウの側で見ることが多いリュウキンカ。ミズバショウの迫力に押され、美しい花にもかかわらず本来の花の美しさを発揮できない。こうして小さな流れに孤立して咲くリュウキンカはとても美しく、存在感がある。(福島市里山の細流)
室内に置いた粉粧楼が花開く。フンショウロウ=クロチルド・スペール(Clotilde Soupert)が今や常識として定着してしまった。だが、こうしてしみじみとフンショウロウを手に取り、眺め、すばらしい香りをかぐと、果たしてこんな美しい、そして香りの強いポリアンサがあるのだろうか?とクロチルド・スペールを知らない人間は疑問に思ってしまう。
今年もようやくウッドデッキを組み上げた。今年で4年、まったく腐食、傷みがない。ウリン、別名アイアンウッド。名の通りメチャメチャに重い。この重さでは水に浮かばないだろう。ウリンはポリフェノールを大量に含み、強力な抗菌・防腐作用があり、薬剤、塗装処理なしで100年もつとも言われ、環境面からも優れた木材。並外れて硬く、重い、を覚悟すればこれ以上のデッキ材はないのではないだろうか。このデッキは40枚のウリンで葺いている。組み上げたときはクタクタ、暮れなずむ森を眺めながらビール、と思っているうちに雨。今年も残念ながらデッキ完成の儀式はお預け。
今日もとても暖かい。勢いよくカーテンを開ける。しまった。黒い鳥が庭から飛び立つ。幸いな事に鳥は森の縁の草原に降り、餌を探し始めた。静かに窓辺のビノキュラーを目に当てる。やはり・・・それはクロツグミだった。森中に響き渡るクロツグミの歌声はまだ聴いていない。が、もうその季節はすぐそこに来ていたのだ。クロツグミ、アカハラ、キビタキ、そしてオオルリ。東南アジアの森から続々すばらしい夏のシンガー達が磐梯高原にやってくる、スペシャルゲストがやってくる・・・(クロツグミ 写真中央に ボケボケ やっと確認できる)