裏磐梯 秋元湖にほど近い森の中から・・・

裏磐梯の森の中の家、薪ストーブ、庭、山、酒、音楽を愛する独居老人の日常生活の記録、綴り続ける備忘録。

 

老いの品格

2023年12月08日 | 本を読む

気温5℃、驚くほど温かい、気になっていたダイニングルームの除雪を行う。

昨夜偶然YouTubeで「老いの品格  品よく、賢く、おもしろく 」を観た。

70代、80代を安心して快活に生きる方法を説く本、老いることに勇気が湧き、

老いを楽しみたくなる、かもしれない、

和田秀樹著、『老いの品格』を読んでみようと思う。

高齢者が金使う、現役の消費者でありつずける、お金を世に回すために金を浪費する、

金を持っているのに使わない、世のため、人のためにならない、単なるケチ老人、

確かに、確かに・・・

そんなことを考えながら鬱陶しいダイニンの窓の風景を塞ぐ落雪、

1時間ほどママダンプを使って小川に捨てる肉体労働に励む、

思いの外、短時間で除雪作業が完了した。

12月7日

裏磐梯ラビスパで開催された長寿会の忘年会に初めて出席、

30名ほどの老人が集まった、そして食べ、飲み、歌い、

皆、明るく元気に人生を楽しんでいる、私などはこの集まりではまだまだ若造、

見習わなければならない、と心底から思う。

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弥生 近づく春

2023年03月02日 | 本を読む

昨日も裏磐梯は暖かく気温7°c、三寒四温、吹雪の日も何日かあろう。

餌台のヒマワリの種が今日も残っている、野鳥たちは自然の餌を採って満腹、これも近づく春の証拠。

窓辺のシクラメンにつぼみ発見、ミニシクラメンだろうか、冬中咲いていたヘリオトロープ、ますます花を咲かせ、

甘い香りを部屋に漂わせている。ヘリオトロープ、思い出すは漱石の『三四郎』

淡い恋心を抱く美禰子に店で香水「ヘリオトロープ」を選んあげる主人公三四郎、

学生時代読んだ時、深く私の心に焼き付いた「ヘリオトロープ」その香り、名前すら知らなかった。

やがて美禰子と決別の時(失恋)

結婚するそうですね。手帛が三四郎の顔の前にきた。鋭い香がぷんとする。「ヘリオトロープ」と女が静かに云った。

三四郎は思わず顔を後へ引いた、ヘリオトロープの壜、四丁目の夕暮、

ストレイシープ、ストレイシイプ、空には高い日が明かに懸る・・・

数日前、福島からの帰りの車の中で東京にいる孫娘からLINEが入った、

今「紀伊国屋」にいる、なにか面白い本を教えてと。

同時代の本に限らず、ほとんど本を読まない私に咄嗟に20歳の孫娘に推奨する本などない、

『三四郎』と一瞬思ったか今の若者にバカな、

老人の貧しい読書経験から思いついたのは情けなくも春樹の『ノルウェイの森』

店を出る前にLINEせねば、隣に座っている妻に返事を送ってもらった・・・

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雪解け急 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』読了

2022年03月15日 | 本を読む

小雨、気温4°c、雪解け、急激に進む。

昼過ぎ傘をさし、毘沙門沼周辺を1時間ほど散策、激しい雪解けを確認する。

昨夜、やっと『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』読了、随分時間がかかった。

2つの異なる世界での物語、

「世界の終わり」そして「ハードボイルド・ワンダーランド」が交互に展開する不思議な国、おとぎの国の物語。

「世界の終わり」の各章の一つのサブタイトル、「ハードボイルド・ワンダーランド」の3つのサブタイトル、

エレベーター、無音、肥満、脈絡不明、読み飛ばすことができず、なにか?をついつい考え、先に進むことができない。

酒を飲みながら、音楽を聴きながらではあるが・・・

「やみくろ」は小学生の時読んだ部分的であるが非常に強い記憶として残る「手塚治虫」の『地底国の怪人』

そのオマージュではないか、とか?モーツアルトが出てくるとそれを聴き、春樹特有の漢字、カナ、かなの使い分け、多数、なぜ?

手風琴「てふうきん」とわざわざルビを振るのは風、小さな楽器の強調(熟字訓アコーディオンは✖解りやすい)

手風琴を奏で、長いあいだ「僕」が失っていた唄、『ダニー・ボーイ』

「ロンドンデリーの歌」ではいけないのか?『ダニー・ボーイ』の英文の歌詞を調べ、理由を探ろうとしたりする。

村上作品はどうしてもひっかっかる所が多く、読み飛ばすことができない。

『ノルウエイの森』あとがきに『世界の終り・・・・・』が「自伝的とある」がこれも理解不能。

私は同時代の作家の作品をほとんど読んだことがない。「村上春樹」が初めてといってもいい。

だからだろうか、「村上春樹」は偉大なハッタリ屋、偉大な詐欺師の感が未だ拭えない。

とはいえ、読者が途中で投げ出すことなく、グイグイと読み切ってしまう作品の魅力、力はずば抜けている。

是非、ノーベル文学賞受賞、そして古典として生き残り100年、200年読み継がれる作家であって欲しい。

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また激しい降雪 

2022年02月27日 | 本を読む

どうなっているのだろう、天気予報、午後から激しい風雪。

もういい加減にしてくれ!!!

夕食後またしばらく手にしなかった『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』続きを読む。

読み始めるとやめられない、10時までと決める。『ハードボイルド・ワンダーランド』の文中に

(ベッドに寝転んで、カサドシュがモーツアルトのコンチェルトを弾いた古いレコードを聴いた。

モーツァルトの音楽は古い録音で聴いた方がよく心になじむような気がする。でももちろんそういうのも偏見かもしれない)

(主人公「私」が聴くカサドシュの弾くモーツァルトのピアノ・コンチェルト24番、気になるのでリンクを張る。

愛読者はお聴きになればと思う)

閑話休題、明日はなんとしても太平洋の青い海、潮風、と思う。

Mozart: Piano Concerto No. 24, Casadesus & Szell (1961) モーツァルト ピアノ協奏曲第24番 カサドシュ&セル

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791) Piano Concerto No. 24 in C minor, ...

youtube#video

 

 

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村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』読了

2022年02月16日 | 本を読む

薪ストーブ前で『ねじまき鳥クロニクル』3部、鳥刺し男読了。

11時半を目安にここ数日酒を飲みながら、音楽を聴きながら読みふけった。

主人公が「井戸」の底に潜り込み、無意識に悪、憎悪と戦う「井戸」はラテン語 id(人格構造に関する基本的概念、

人間が生まれつき持っている無意識の本能的衝動、欲求など精神的エネルギーの源泉)のメタファー、

逸れるが機会があったら「イドの怪物」私の好きなSF映画『禁断の惑星』ご覧あれ。

象徴的な『根源的な悪』とし2人、間宮中尉が語るモンゴル、シベリアで暗躍する皮剥ボリス、そして主人公岡田トオルの義理の兄、綿谷ノボル。

トオルの妻(クミコ、ノボルの実の妹)と交わり、『根源的な悪』(ねじゆるめ鳥)の継承者を生もうとする綿谷ノボル、

(クミコの堕胎、姉の自殺理由)トオルの元から失踪したクミコ、最後は「イドの怪物」と化したトオルによって瀕死状態の兄、

『根源的な悪』として存在する綿谷ノボルの止めを刺す。

『ねじまき鳥クロニクル』作品に込められた村上春樹の主意はおおよそ理解でき、一気に読ませる面白さもあった。

次は『1Q84』を読むつもりだが春樹マジック、仕掛けられた罠、ハマってはいけない、騙されてはならない、という警戒心、

未だ心許して春樹ワールドを心底がら楽しむことができない、なぜだろうか?

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ドライブ しぶき氷 村上春樹

2022年01月31日 | 本を読む

猪苗代湖のしぶき氷をここ数年見たことがない。

朝の気温-6°c、風が強い、見に行こう、と出かける。

残念ながら期待を裏切られたしぶき氷、強風、寒い。車の窓から撮影。

そのまま湖畔を走り、三森峠トンネル、出来たばかりの新しい2つのトンネルを初めて抜け、

R49と違った郡山に向かう快適なドライブウエイが完成。今日もまたまたナビにBOOK OFFをセット、向かう。

さすが郡山、品揃え豊富、『ねじまき鳥クロニクル』2,3巻、『1Q84』第ー巻、手に入れる、5冊、550円、

作家、出版社、書店を裏切る、こんな流通が許されていいものか、自分の首を絞める行為と、思いつつ。

その他買い物後、また三森を抜け、帰路につく。

昨夜はハードカバー、雨だれ(改行)多き『ノルウェイの森』を自室石油ストーブ前の座椅子、くつろいで時間の経過を気にしつつ読んだ。

確かに面白い、だが出版された当時、各書店店頭に大量に平積みされ、けばけばしい装丁、今、手にして解った出版社が講談社

1000万部売れたベストセラー、当時感じた流行作家ムラカミ、不信が間違いなかった、と思う作品。

理解力のない私は混乱するとしばしば戻り読みする、が『ノルウェイの森』は全く必要がない。

読みながら久しぶり、Bruckner - Symphony No.4 “Romantic” をBluetoothイヤホン、フル・ボリュームで聴きながらでも。

思えば、アメリカでの出版時、出版社との細かいやり取り、駆け引きを短編集で読んだ覚えがある。

主なる春樹の出版社は慎重社(山口瞳流に言えば)だが『ノルウェイの森』は講談社から出版している。

確か『1Q84』?の発売時、春樹が小賢しいことをした記憶がある。

計算高い、自身の書を売り込む手法、そんな村上春樹に共感できない。

年甲斐もなく「ハルキスト」になりつつ、作品に深い思いをもちつつある自分、

堂々とノーベル文学賞、受賞していただきたい、と願うし、その資格十分あり、と思う。

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村上春樹 再び読み始める

2022年01月29日 | 本を読む

シューベルト『ピアノソナタ17番』がきっかけで昨年冬、

全く関心のなかった村上春樹作品数冊、ヴァンブランの奥様にお借りして読んだ。

特に『海辺のカフカ』鮮烈な記憶として残った。

時間を持て余している今、急に春樹を読もうと思う。

数日前、福島市に行ったとき、初めて「ブックオフ」に足を踏み入れた。

店内の仕組みがわからず、村上作品の棚にたどり着くのに10分ほど要した。

目標の『ねじまき鳥クロニクル』は残念ながら1巻のみ、再読のつもりで『海辺のカフカ』

文庫本でさえ今日1000円近いが、驚くことに@110円、計330円。

ここ数日間、夕食後赤ワインをゆっくり飲みながら薪ストーブ前で『ねじまき鳥クロニクル』

読了、中、下巻が欲しい。安い本に味をしめ、昨日米沢の「ブックオフ」に立ち寄り、探すもなし。

春樹コーナーで『1Q84』5冊、1巻欠『ノルウェイの森』上下巻2冊、計7冊、

なんと1000円でお釣りがきた。安すぎる。

本は新品、読まれ、汚れている気配がない。

果たして作者に支払われる印税は法的にどうなっているのだろう?

今宵は全巻揃った『ノルウェイの森』から読もうと思う。近いうち郡山ブックオフで探し、

なければ本屋で・・・すぐにでも『ねじまき鳥クロニクル』続き2,3巻読みたい。

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谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

2021年02月02日 | 本を読む

夕食前、必ず入浴の習慣、スマホは脱衣場に置き、Tao Tronic BluetoothスピーカーTT-SK09

(防水、シャワーがかかっても問題ない。充電MicroUSBを壊し2台目、現在は販売中止)

を風呂場に持込み、朗読を聞きながら3,40分は入る長湯。

最近では、谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を聞き、浴槽から出られなくなるほど感銘を受ける。

単行本は1939年(昭和14年)に出版された名著と知りつつも一度も読んだことがなかった。

蔓延するグローバリズム、グローバリゼイションによって得られたもの、

反面失ったもの、世界中の国家、民族の芸術、建築、文学、美意識、文明、社会システム、思想、

諸々がずたずたにされてしまっている悲惨な現状にあることも意識しなければならない。

この書は日本人としての拠り所、大切なアイデンティティを改めて気付かせてくれる日本人たるもの必読の書である。

書は「試しに電燈を消してみることだ」と結んでいる。

今度、私は骨董店巡りして古い趣ある燭台を探し求めたい、と思う。

朗読 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』

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海辺のカフカ 読了

2021年01月09日 | 本を読む

薪ストーブの前、『海辺のカフカ』結末に向かってこれ以上ゆっくり読めない程に読み進める。

昨日の混濁したした表現できぬ不思議な世界にまた引き込まれ始める。

流れるはMP3に焼いたケンプ、シェリング、フルニエのピアノ三重奏曲、作品番号なき曲含め11番 ト長調まで全曲。

聴き慣れた7番『大公』も聴いた覚えもなく全曲CDは終わっていた・・・読了、そして音のないことに気付く。

現実と夢の世界の縁を彷徨うような感覚、読み終わっても現実の世界に夢の世界を引きずっている。

これはボケ老人の戯言では決してない。

作品全部がメタファー、キリリと表現できぬ危うい世界、今は春樹について、作品について語れる状態にない。

いずれ時間を置いて再読することになるだろう。冷静に語れるのはその後だ。

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一日 春樹とベートーヴェン

2020年12月25日 | 本を読む

野鳥に餌を与えるために朝一回外に出ただけ。

朝10頃から自室に閉じこもり『海辺のカフカ』を読み始める。

部屋に流れるは本を読むに邪魔にならぬベートーヴェン、MP3で焼いたCD、3枚。

一枚で通常のCD6枚,6時間以上収録できる。フルニエ、グルダのチェロソナタ、

イッセルシュテット、ハイティング指揮の2種の『シェリングのバイオリン協奏曲』

そしてグリュミオー、ハスキルのバイオリンソナタ、モノラル録音、いずれも古いベートーヴェン。

メガネを外して降り続く窓外の雪を眺めるたり、美しいベートーヴェンの調べに思わず聴き入り、本を閉じてしまったり、

昼食、夕方のルーチン、長い入浴時間までに読んだページ、150ページほどか。読書スピードの落ち、驚く程。

だが、長い持て余す時間、オムニバス風に展開される、おそらく青年期の春樹の投影、創造された田村カフカの成長、成り行き、

展開された物語の絡合をゆっくり楽しもうと思う。

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野遊びの道具

2020年04月14日 | 本を読む

小さな斧一本で巨木を切り倒す、名前さえ知らないデンマーク人?ソロキャンプの驚くべき達人、よく彼のサイトを見る

比べ日本人のソロキャンプのお粗末さ・・・

Viking - cutting down big tree with axe - how to

巧みな斧の使い方に驚く。日本のフィールドにはスケールは全く違うがキャンプには鉈がある。

ふと田渕義雄の「野遊びの道具」という本があったという事を思い出し、探す。意外に自室の本箱にそれはあった。

薪ストーブの前、今日もDiana Krall、wall flowerのアルバム(何度聴いても飽きない)を聴きながら「野遊びの道具」読み続けている。

ストーブグリドルトップの温度計は振り切れ、500℃。夏の陽射しのように暑い、ソルティー・ドッグを飲みながら。

亀井菊次郎の日本刀に通じる美しい鉈、私も鉈の愛用者、グレンスフォシュの手斧の使ってみたいと思うものの。

斧の映像が引き金になり「野遊びの道具」を読み続ける。

フォンテーヌの錫製のランプそしてメンパ。

最近妻が幕の内弁当をよく作ってくれる。秋田杉を使った曲げわっぱを手に入れようと話していたのだ。

ああ、なんと美しい弁当箱だろうか・・・

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一日庭で

2020年04月11日 | 本を読む

天気が良い。バラアーチ、トレリス取り付け、雑草取り(妻)などなど。

気になっていた10年い以上前だろうか、伐採したシロヤナギの切り株、春になると途中から芽が吹き、とても目障。

さらに短くする切ることに。026チェーンソーの50cm程のガイドバーの先端が見えなくなるほど太い切り株、

1時間ほどの作業にクタクタ、そんな作業中にもまた思っている、田淵義雄のこと、樵仕事のこと。

夕食後、薪ストーブの前、オイルランプの光の下で田渕義雄、最後の著書、「森からの伝言」を読み返している。

(氏の使っている素晴らしく優雅なフォンテーヌのオイルランプが欲しくて探し回ったが手に入らず、

今はガーダードのオイルランプで我慢している)

50数ページ読むのに3時間以上、数行読んでは燃える炎を眺め、考え巡らせ、思いに耽る。

数年前読んでなぜ気づかなかったのか、田渕義雄の我々に残した最後のメッセージはこの書だったのか・・・

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さて 本でも読むか

2020年01月19日 | 本を読む

断捨離で本箱を整理し、本棚が空っぽになてしまったのはいつだったか・・・

それでもまだ2,300整理しきれない本、再読したい本が残っている。

その本の多くが学生時代、50数年ほど前に手に入れた冒険、探検、登山、遭難などのノンフィクション。

筑摩書房、世界ノンフィクション全集50巻のうち処分しきれなかった10数冊、それさえ半分も未だ読んだことがない。

時間を持て余す今、そんな未読の本をだらだら読んでみようと思う。

手始めに5巻の剣沢に逝ける人々を読み始める。

昭和5年剣沢で雪崩に巻き込まれ6人が遭難死した事件。

読み進めると、かの加藤文太郎が遭難前に一行に同行していたことを驚き知る。

読み終わるや、直ちに文太郎の単独行を探す。

捨てられずそれはあった、単独行、1月の思い出ー剣沢のことー 文太郎の懺悔。

当時はまだ登山は大学出身者中心の金のかかる、ハイソ、贅沢なスポーツだった。

一方、貧しい社会人の単独行者、文太郎は彼らに対して複雑な感情、コンプレックスを抱いた迷惑、不可解な同行者だった。

命を失った6人、パーティからはじき出され、命拾いした文太郎、そんな両者の記録を読むことによって遥か昔の事件にも関わらず、

起きたばかりの悲劇のように生々しく迫ってくる、数年後文太郎も北鎌尾根で命を失うのではあるが・・・

読書は楽しい。

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菊 クリサンセマム?

2019年10月14日 | 本を読む

台風で荒れた庭の芝生を刈る。

いつ植えたものだろうか、白い小菊がとても美しい。

確か菊あるいはクリサンセマムという題名のスタインベック?の掌編小説をふと思い出す。

放浪に疲れた男が立ち止まって、生垣越しに庭で菊の手入れしている女に見とれている。

男に気付いた女は男に向かって菊が好きなの?男はああ、と。詳しい男女の会話は忘却した。

女は生垣越しにホースの水を男に飲ませる。手で口を拭きながら、なんと言っても故郷の水はうまい、

と言って立ち去ろうとする男に女は菊の苗を手渡す。礼を言って菊の苗を持って男は立ち去る。

数日後、女は男の立ち去った小道に投げ捨てられ、枯れた菊の苗を発見し、呆然とする。

四、五十年前に読んだ掌編、スタインベックの他の掌編がごちゃまぜになっているかもしれない。

だが、たったこれだけの内容の掌編にもかかわらず、傷つけられた女の心情を想像し、

親切を平然と踏みにじる男の残忍な行為を何故か忘れることができないでいる。

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朗読を聴く・・・ 眠れぬ夜に

2019年08月20日 | 本を読む

ここ数年枕元には必ずIphone、あるいはタブレットがある。

睡眠導入のため朗読を聴くのが習慣になっているからである。

といってもほとんど数分で眠りに落ちてしまうので夜中に目覚めた時、聴くことが多いのではあるが。

最近よく聴くお気に入りは漱石の初期作品、草枕と夢十夜。

三四郎以降の作品は精神、肉体を病んでいた漱石の心情が作品に大きく投影され、行人、こころなどは不健全そのもの、読み続けることが辛い。

草枕は漱石の深遠な美意識、人生論、芸術論が作品に華やかに散りばめられ、後期作品のような病的に暗い影を落としていない。

私には漱石の最高傑作に思える。

眠れぬ夜に漱石、お聴きあれ、読書と全く違った楽しさがある。

 

朗読「草枕(前篇)」

 

朗読「草枕(後篇)」

朗読 夢十夜 

更に時代小説のお好きな方、ロウドクソウコの扉、お開きあれ、武葉槌嬢がお待ちですぞ。

私は吉川英治、宮本武蔵、岡本綺堂、半七捕物帳全巻読了?しました。

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