投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2008年11月 9日(日)22時42分16秒
>筆綾丸さん
おかえりなさい。
イリヤ・プリゴジンは『貨幣の複雑性』には出てきませんが、『複雑さを生きる』では若干の言及がありますね。
私はここ暫く、竹森俊平氏の『世界デフレは三度来る』を読んでいました。
上下巻合計1100ページの大著ですが、130年に及ぶ「通貨のドラマ」の迫力は大変なもので、一気に読んだ後、重要部分を再読中です。
上巻では金本位制への復帰を旧平価で行った井上準之助の思想、その背後にある井上と欧米金融エリートとの人間関係などが詳細に描かれていますが、私にとって特に気になったのは深井英五の果たした役割ですね。
以前、少しだけ深井英五について調べたことがあるのですが、一般的な評判と違って、深井英五にはずいぶん謎めいたところがあります。
深井の内面を追求する竹森氏の手腕はすごいですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E4%BA%95%E8%8B%B1%E4%BA%94
下巻は歴史というより、ごく最近の生々しい出来事の分析です。
講談社の公式サイトから内容を紹介すると、
--------------
魔性の怪物「通貨」をめぐる大河ドラマ
国を挙げて熱病に罹った如くバブルつぶしに狂奔した日本。待っていたのは悲惨なデフレだった。用意周到にバブルとデフレを制御したアメリカとの好対照は、日本銀行とアメリカ連銀の違いだけなのか。ポピュリズム政治に撹乱される中央銀行家たちの苦悩の半世紀。
われわれは、「非合理な熱狂」が資産価格を押し上げ、それがやがて、日本において過去10年にわたって起こっているような、長期にわたる予想外の景気後退の原因となることを、どのようにしたら早期に予測することができるのでしょうか。またそれが予測できたとしても、その予測をどのように金融政策に織り込んだらよいのでしょうか。われわれは、中央銀行家として、金融資産価格の暴落が、実体経済や、生産、雇用、物価安定に影響を与えなければ、そのことに注意を払わなくてよいのでしょうか。――<1999年12月5日、アラン・グリーンスパン講演>
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2820072
といった具合ですね。
ま、グリーンスパンが「非合理な熱狂」(irrational exuberance)という表現を使ったのは1996年12月5日の講演であって、この紹介とは3年ずれてますが。
もちろん、竹森氏の著書では正確に記述されていて、講談社の宣伝担当者が粗雑なだけですので、念のため。
http://en.wikipedia.org/wiki/Alan_Greenspan
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/speeches/1996/19961205.htm
>筆綾丸さん
おかえりなさい。
イリヤ・プリゴジンは『貨幣の複雑性』には出てきませんが、『複雑さを生きる』では若干の言及がありますね。
私はここ暫く、竹森俊平氏の『世界デフレは三度来る』を読んでいました。
上下巻合計1100ページの大著ですが、130年に及ぶ「通貨のドラマ」の迫力は大変なもので、一気に読んだ後、重要部分を再読中です。
上巻では金本位制への復帰を旧平価で行った井上準之助の思想、その背後にある井上と欧米金融エリートとの人間関係などが詳細に描かれていますが、私にとって特に気になったのは深井英五の果たした役割ですね。
以前、少しだけ深井英五について調べたことがあるのですが、一般的な評判と違って、深井英五にはずいぶん謎めいたところがあります。
深井の内面を追求する竹森氏の手腕はすごいですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E4%BA%95%E8%8B%B1%E4%BA%94
下巻は歴史というより、ごく最近の生々しい出来事の分析です。
講談社の公式サイトから内容を紹介すると、
--------------
魔性の怪物「通貨」をめぐる大河ドラマ
国を挙げて熱病に罹った如くバブルつぶしに狂奔した日本。待っていたのは悲惨なデフレだった。用意周到にバブルとデフレを制御したアメリカとの好対照は、日本銀行とアメリカ連銀の違いだけなのか。ポピュリズム政治に撹乱される中央銀行家たちの苦悩の半世紀。
われわれは、「非合理な熱狂」が資産価格を押し上げ、それがやがて、日本において過去10年にわたって起こっているような、長期にわたる予想外の景気後退の原因となることを、どのようにしたら早期に予測することができるのでしょうか。またそれが予測できたとしても、その予測をどのように金融政策に織り込んだらよいのでしょうか。われわれは、中央銀行家として、金融資産価格の暴落が、実体経済や、生産、雇用、物価安定に影響を与えなければ、そのことに注意を払わなくてよいのでしょうか。――<1999年12月5日、アラン・グリーンスパン講演>
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2820072
といった具合ですね。
ま、グリーンスパンが「非合理な熱狂」(irrational exuberance)という表現を使ったのは1996年12月5日の講演であって、この紹介とは3年ずれてますが。
もちろん、竹森氏の著書では正確に記述されていて、講談社の宣伝担当者が粗雑なだけですので、念のため。
http://en.wikipedia.org/wiki/Alan_Greenspan
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/speeches/1996/19961205.htm