学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

THE WARBURG INSTITUTE

2008-11-28 | 近現代史
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2008年11月28日(金)23時24分14秒

ロン・チャーナウの"The Warburg"(邦訳『ウォーバーグ ユダヤ財閥の興亡』、日本経済新聞社)には、パノフスキーとアビ・ヴァールブルクの出会いが次のように書かれてますね。(邦訳(上)p388)

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 ウォーバーグ文庫にとって大きな刺激となったのは、アビーの心深くに抱かれてきた念願、つまりハンブルク大学の創設であった。一九二一年八月十九日、アビー・ウォーバーグは、不在のまま同大学の名誉教授に任命された。やがて、学生たちがウォーバーグ文庫に徐々に集まり始めた。ユダヤ人学者たちは、ワイマル共和国の各大学にユダヤ人を教職に迎える、新しい受け入れ口が開いたのに気づいた。ハンブルク大学で教授に任命された、著名なユダヤ人学者たちの中には、美術史のエルヴィーン・パノウフスキー、哲学のエルンスト・カッシーラーがいた。ザークスルは、両者に文庫でセミナーと研究を担当してほしいと懇願した。二人は、文庫と非公式な関係しか持たなかったが、結局は文庫で著作、教育、講義に大いに携わることになった。ワイマル共和国時代の学者の知的成果の大部分は、このような民間研究機関から生まれることになる。
 パノウフスキーは、一九二〇年にハンブルク大学講師として着任してから、文庫をザークスルの案内で見学したが、意外な感慨に打たれた。何列もの書物が天井近くまで積み上がって、文庫の隅々までぎっしり詰まってきりがないかに見えた。「延々と並ぶ書籍が、魔法の杖の一振りで魔法をかけられたように、眠ったままそこにあるかに見えた」という。パノウフスキーがその後にアビーと初めて会ったとき、アビーは、それに負けず劣らぬ強い印象を与えた。パノウフスキーはアビーのことを、「見事な才気と陰気なふさぎ込み、最も鋭い理性的批判精神と非常に他人に頼りがちな態度」が交じり合っていて、「合理性と非合理性との間の非常に大きな緊張感」がそれらを目立たせている、と述べた。アビーと同様、パノウフスキーも、絵画の持つ意味と象徴の解明が専門であって、それこそが鑑定や形式的分析よりもずっと深い、絵画作品とかかわり合う手段だ、と考えていた。そして、彼は、一九二一年からウォーバーグ文庫でセミナーを開き始めた。
 新カント派の哲学者、エルンスト・カッシーラーは、一九一九年にハンブルクに着任した(最初、彼と妻のトーニは、右翼の学生たちがユダヤ人教授たちのボイコットを促すユダヤ人排斥のビラを配っているとの知らせを受けて、赴任をためらった経緯があった)。ウォーバーグ文庫を隈なく見学して、カッシーラーも、魅了された。迷路のような書棚に見とれてさまよううちに、元の場所に戻れないのではないかと心配になった、と彼はザークスルに言った。アビーの文庫は、夫(カッシーラー)にとっては、埋もれた財宝に光り輝く鉱山の立て坑にようなものであった、とトーニは語っている。カッシーラーは、最後にはウォーバーグ文庫の文献をもとにたくさんの著作をものすことになる。
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翻訳に少し癖がありますね。

ヴァールブルク研究所
http://warburg.sas.ac.uk/institute/institute_introduction.htm
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Jacob Cornelisz など。

2008-11-28 | 中世・近世史
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2008年11月28日(金)01時12分21秒

>筆綾丸さん
>パノフスキー
そうですね。
講師は概説の時にパノフスキーの基本的な考え方を紹介していました。

筆綾丸さんご紹介のサイトは Jacob Cornelisz に特化しているようで、ずいぶんマニアックですね。
http://www.jacobcornelisz.nl/
http://www.jacobcornelisz.nl/index.php/stichting

この人も謎の多い人物ですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jacob_Cornelisz

Noli me tangere については、日本語のウェブサイトでも、熱心に事例を集めている方がいました。
この方は「とはずがたり」についても少し書かれてますね。

http://www.geocities.jp/traumeswirren1212/art/fine3x
http://www.geocities.jp/traumeswirren1212/

今日は若干疲労気味なので、とりあえずリンクだけ貼っておきます。
あしからず。
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