これってやはり化石? 私のライフスタイル!

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新訳 茶の本  … 読むとわかる茶道の歴史

2013-09-16 | とっても日常
今度の台風 日本列島にまたも大きな爪痕を残しそうです

いつも思うのは 一年の流れの中で収穫目前の稲作農家 果樹農家の方々のこと

お天道様次第の労働って ほんとに大変だと 少々土いじりを始めた私がこの頃特に思うことです

今この時点で 雨はさほど強くなく 外出も控えてはいるけど 外出禁止するほど危険な状態にも思えない当方の居住地ですが、大人しく本を読んでいます

避難生活を始めたり 冠水した被災地の方々には ごめんなさい なのですが…

読み始めたのは 岡倉天心著 『茶の本』 です

新訳 茶の本 (明石選書)
岡倉 覺三
明石書店


茶道検定の本に あるいは 過去の問題に繰り返し出てきている『茶の本』ですが 検定本や過去問では ニューヨークで初めて出された茶に関する本ぐらいの扱いだし、四択の問題をクリアするのには その程度の知識でも十分と考えている向上心のない私です

ところが 図書館の新刊コーナーで見つけてしまいました

西欧人に発せられた本なので原作は英語です

今回 借りた新訳 茶の本には 後ろに英語版も併記されています

茶道の世界は あまりにも奥が深いし 間口も広い 総合芸術なので 頭で理解するよりも まずは体で覚えましょうということだと思うのですが、 還暦カウントダウンに入った私にはなかなか覚えることが多すぎる難儀な世界です

お稽古自体は楽しいのですが…

そんな私にとってこの新訳『茶の本』は なるほど そういうことなの と改めてわかることの多いたいへんいい本に出会えたようです

歴史苦手な私でも歴史のある部分はわかるような内容です

茶道の精神面について語るには この本を数回読み返さなければならないと思うのですが、歴史についてはわりとわかりやすいので ちょっとご紹介です

芸術と同じように、茶にも時代と流派があります。 その展開は大きく三つの段階に分けられます。
茶を煮て飲んだ段階、茶を点てて飲んだ段階、茶を煎じて飲んだ段階、の三つです。 
現代のわたしたちが属しているのは最後の段階です。
この飲み物を賞味するそれぞれの方法は、それが普及していた時代の精神を表しています。というのも人生は表現であり、無意識のうちにしている行動は、心の奥底の考えをつねにうっかりと表しているものです。
…(一部省略)… 茶の理想も、いろんな異なる東洋文化の様相によって特色づけられています。
団茶は茶を煮立て、抹茶は泡立て、葉茶は煎じて飲みますが、それぞれ、中国王朝の唐の時代、宋の時代、明の時代の思想と感性の働きを特徴づけ代表しているのです。
 …(一部省略)… この茶の三種の飲みかたは、それぞれ、古典主義、ロマン主義、自然主義に該当するといえましょうか。


このあと、中国では王朝が変わるたびに(民族が異なるので)前の王朝の文化はことごとく破壊されていったので 宋の時代に始まった抹茶法が日本では茶道という芸術として花開いていったが 中国では廃れてしまったといように書いてあります。

現代の中国のお茶は、美味しい飲み物ではありますが、理想の茶ではありません。
この国の長い悲惨な歴史が、人生の意味を探求する情熱を奪ってしまったのです


なるほど なるほど 抹茶法が中国から渡来したものなのに その中国では今では見られない飲み方であるのは そういうことだったのね (抹茶は日本独特のものと お稽古するまでは思いこんでいた無知な私です)
 
こういうふうに『茶の本』にかかれてあると、宋時代の歴史を知りたくなります

この辺りを読んでいて、 なかなか理解出来なかったお茶の歴史がすーっと頭に入っていきました


その後、中国の道教 儒教 禅の関係についての記述が続きます

完全性について 
完全であることそのものより、完全を求めて行く過程をより重要視する とか  
茶室のなかでは、一人ひとりの客が、自分自身との関わりのなかで、想像力によって全体の美を完成させるに任せる。とか
極東の芸術は、表現のありかたとして、完成した形のみならず、反復という形でも、対称的であることは、できるだけ避けるようになりました。
均一な意匠は、想像力の新鮮な働きを破壊させると考えたのです。
 などと記されています

そして

茶室のなかでは、繰返しを避けることが、つねに心がけられています。
 いろいろな品が茶室を飾るために選ばれますが、色彩や意匠は決して繰り返しのないように選ばれます。
もし、生きた花を活けた場合には、花の絵はいけません。
丸みを帯びた釜を用いるときには、水差しは角のあるものを選びます。
黒釉の茶碗と黒い漆の棗をいっしょに使うのは避けるべきです。
 床の間に花瓶や香炉を置くときは、空間を二等分することのないように、まんなかには置かない。
床の間の柱は、それぞれに異なった種類の木材を用い、部屋の単調さを暗示するのもは避けるようにします
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ああ そういうことだったのね と お稽古で習ったことがまたも簡潔に説明されていました

次のお稽古の時から お道具のくみかたが今までよりよく理解出来そうです

唐物 和物の扱いが違うのも こういう考え方からきているのですね


『茶の本』の半分まで読んできましたが 

さらに読み進めていきたいと思っています


まさか この私が『茶の本』を読むことになるとは 茶道のお稽古を始めたことぐらいに 自分でもびっくりです

                                                       太字部分は明石書店から出されている新訳 茶の本からの抜粋です



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