アメリカ大統領の行き詰まりと日本首相の稚戯と想定外の予測
櫻井智志
まず、孫崎享さんの見事な分析をお読みいただきたい。その後に私見を述べたい。
【孫崎享のつぶやき】
《「米上院、貿易促進権限法案の審議入り否決 TPPに暗雲」、国民非公開、主権侵害が新争点》
2015-05-14 07:5041
A:事実関係
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のカギを握る米国の「貿易促進権限(TPA)」法案をめぐり、米議会上院(定数100)は12日、審議に入るための動議を否決した。月内の両院での可決は困難となり、TPP合意も早くて6月以降にずれ込む可能性が強まった。
可決には60票必要だが、賛成52票、反対45票だった。法案は、大統領に貿易交渉を一任するもの。この権限があれば、米政府が外国と合意した貿易協定に議会が修正を加えることができなくなり、交渉相手国が譲歩しやすくなるとみられている。だが、与党の民主党が為替条項などを盛り込んだ関連法案と合わせた審議を求めるなど慎重で、民主党議員のほとんどが審議入りに反対した。与野党幹部は、審議の進め方について引き続き協議する見込みだ。
米政府は月内にTPA法案を可決させ、直後にTPP参加12カ国の閣僚会合を開く道筋を描いていた。だが、甘利明TPP相は、12カ国の合意にはTPAが「必須条件」としており、法案が可決されるまではTPPの合意が難しい状況となっている。(14日朝日新聞)
B:評価
・米国憲法では貿易法案は議会権限とされている。
したがって成立した合意も議会は修正ができる。そうすれば交渉の意味がなくなる。それで、一括して承認させるようにするのが、「貿易促進権限(TPA)」法である。
・従来、「貿易促進権限(TPA)」法をめぐっては、上院では承認を得るが、下院では苦戦するというのが、一般の認識であった。しかし、事態は大きく変わり、上院でも可決できなかった。
・その背景には、ここ1、2週間で急に政治問題化した。
発端はウォーレン上院議員(元ハーバード・ロースクール教授)はTPPは国家主権を侵す、経済界の利益のためと批判した。
これに対して、オバマは「ウォーレン上院議員は嘘をついている。実態を知らない」と攻撃した。
これに対して「実態を知らないとは何か。隠しているからでないか。そもそも国民に知らせない協定とは民主主義の原則に反する」と再攻撃した。
・現在民主党では次期大統領候補はヒラリーの圧倒的優勢となっているが、本人の否定にもかかわらず、ウォーレン上院議員の出馬を強く望む声がある。それだけの評価を得ている人物を「嘘をついている」ということで強い反発を食らっている。
・オバマ大統領は、そもそも民主党のリベラル派を軸に、ヒラリー・クリントンを破り大統領候補となった。しかし、安全保障政策であれ、貿易政策であれ、政策はほぼ共和党の政策と言えるものになってしまった。「我々が支援したから大統領になった。それを忘れたのか」という強い反発がある。かつ上院議員は各々大変な自負心を持っているが、その仲間のウォーレン上院議員をうそつきといったところで、オバマへの反対が急速に盛り上がった。
・こうした中で民主党の次期大統領候補と目されるヒラリーはTPPに関して、ほとんど発言していない。しかし、民主党の反発が強い中、「TPP賛成」とはまず言えない。
米国のTPP承認をめぐる動きは一気に反対が盛り上がってきている
======================================
私見
日本では「馬鹿殿様」が幼稚で危険な「亡国法案」に夢中になって、憲法平和立国など理解もできず、口先だけの「平和安全法制」などと名称さえ変えて、有頂天になっている。
その親玉アメリカでオバマ大統領が、とうとうノーベル平和賞を清算するような親共和党路線で、足元のアメリカ民主党からそっぽを向かれてしまった。
安倍晋三が卑屈なまでに隷従して日本国民沖縄県民を売り渡して売国ドレイの路線を驀進しているが、肝心の「自由民主党」内から安倍批判ないしは安倍懸念表明の声が出てきた。「大阪市解体」投票で、自共共闘が成功したなら、全国地方のあちこちから、沖縄、大阪に続いて反安倍の動きが出てくるかも知れない。
祇園精舎の鐘の色、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の華の色、盛者必衰の理を表す。
いよいよ安倍独裁は盲従しているアメリカでもどんづまり、国内でも世論も自民党「まともな保守派」の疑問の連続で、もうすぐ政権は大きな岐路に立たされることだろう。
その前に大弾圧に撃って出て、国民世論大弾圧の予想はあり得る。大きな国民的批判が盛り上がっている時に権力の定石がある。
大規模なフレームアップである。跳ね返りや挑発者を悪質に使って、その謀略行為をもとに、一気に国民を弾圧する。それは国内の場合もあるしも、外国でのたとえば9.11事件のような破壊行為をもとに、国内の反政府勢力に広く縄をかける策略もありうる。安倍晋三とその黒幕とは、そのようなことを平気でやってのける連中である。そうでなければ、オリンピック誘致のIOC総会で福島原発の汚染水は完璧に閉じ込めた、とか、日本人ジーナリストが人質になっている最中にイスラエルとの親交を見せつけ、カイロでは挑発的な駄弁を弄した。そんなこと、まともな首相なら、あまりに馬鹿馬鹿しい稚戯で、思いもしないような愚策である。そんな愚策を平気でイケイケドンドンとやってしまう人物なのだ。
何が起きるかわからない。
全ての想定をしておいたほうがよい。
櫻井智志
まず、孫崎享さんの見事な分析をお読みいただきたい。その後に私見を述べたい。
【孫崎享のつぶやき】
《「米上院、貿易促進権限法案の審議入り否決 TPPに暗雲」、国民非公開、主権侵害が新争点》
2015-05-14 07:5041
A:事実関係
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のカギを握る米国の「貿易促進権限(TPA)」法案をめぐり、米議会上院(定数100)は12日、審議に入るための動議を否決した。月内の両院での可決は困難となり、TPP合意も早くて6月以降にずれ込む可能性が強まった。
可決には60票必要だが、賛成52票、反対45票だった。法案は、大統領に貿易交渉を一任するもの。この権限があれば、米政府が外国と合意した貿易協定に議会が修正を加えることができなくなり、交渉相手国が譲歩しやすくなるとみられている。だが、与党の民主党が為替条項などを盛り込んだ関連法案と合わせた審議を求めるなど慎重で、民主党議員のほとんどが審議入りに反対した。与野党幹部は、審議の進め方について引き続き協議する見込みだ。
米政府は月内にTPA法案を可決させ、直後にTPP参加12カ国の閣僚会合を開く道筋を描いていた。だが、甘利明TPP相は、12カ国の合意にはTPAが「必須条件」としており、法案が可決されるまではTPPの合意が難しい状況となっている。(14日朝日新聞)
B:評価
・米国憲法では貿易法案は議会権限とされている。
したがって成立した合意も議会は修正ができる。そうすれば交渉の意味がなくなる。それで、一括して承認させるようにするのが、「貿易促進権限(TPA)」法である。
・従来、「貿易促進権限(TPA)」法をめぐっては、上院では承認を得るが、下院では苦戦するというのが、一般の認識であった。しかし、事態は大きく変わり、上院でも可決できなかった。
・その背景には、ここ1、2週間で急に政治問題化した。
発端はウォーレン上院議員(元ハーバード・ロースクール教授)はTPPは国家主権を侵す、経済界の利益のためと批判した。
これに対して、オバマは「ウォーレン上院議員は嘘をついている。実態を知らない」と攻撃した。
これに対して「実態を知らないとは何か。隠しているからでないか。そもそも国民に知らせない協定とは民主主義の原則に反する」と再攻撃した。
・現在民主党では次期大統領候補はヒラリーの圧倒的優勢となっているが、本人の否定にもかかわらず、ウォーレン上院議員の出馬を強く望む声がある。それだけの評価を得ている人物を「嘘をついている」ということで強い反発を食らっている。
・オバマ大統領は、そもそも民主党のリベラル派を軸に、ヒラリー・クリントンを破り大統領候補となった。しかし、安全保障政策であれ、貿易政策であれ、政策はほぼ共和党の政策と言えるものになってしまった。「我々が支援したから大統領になった。それを忘れたのか」という強い反発がある。かつ上院議員は各々大変な自負心を持っているが、その仲間のウォーレン上院議員をうそつきといったところで、オバマへの反対が急速に盛り上がった。
・こうした中で民主党の次期大統領候補と目されるヒラリーはTPPに関して、ほとんど発言していない。しかし、民主党の反発が強い中、「TPP賛成」とはまず言えない。
米国のTPP承認をめぐる動きは一気に反対が盛り上がってきている
======================================
私見
日本では「馬鹿殿様」が幼稚で危険な「亡国法案」に夢中になって、憲法平和立国など理解もできず、口先だけの「平和安全法制」などと名称さえ変えて、有頂天になっている。
その親玉アメリカでオバマ大統領が、とうとうノーベル平和賞を清算するような親共和党路線で、足元のアメリカ民主党からそっぽを向かれてしまった。
安倍晋三が卑屈なまでに隷従して日本国民沖縄県民を売り渡して売国ドレイの路線を驀進しているが、肝心の「自由民主党」内から安倍批判ないしは安倍懸念表明の声が出てきた。「大阪市解体」投票で、自共共闘が成功したなら、全国地方のあちこちから、沖縄、大阪に続いて反安倍の動きが出てくるかも知れない。
祇園精舎の鐘の色、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の華の色、盛者必衰の理を表す。
いよいよ安倍独裁は盲従しているアメリカでもどんづまり、国内でも世論も自民党「まともな保守派」の疑問の連続で、もうすぐ政権は大きな岐路に立たされることだろう。
その前に大弾圧に撃って出て、国民世論大弾圧の予想はあり得る。大きな国民的批判が盛り上がっている時に権力の定石がある。
大規模なフレームアップである。跳ね返りや挑発者を悪質に使って、その謀略行為をもとに、一気に国民を弾圧する。それは国内の場合もあるしも、外国でのたとえば9.11事件のような破壊行為をもとに、国内の反政府勢力に広く縄をかける策略もありうる。安倍晋三とその黒幕とは、そのようなことを平気でやってのける連中である。そうでなければ、オリンピック誘致のIOC総会で福島原発の汚染水は完璧に閉じ込めた、とか、日本人ジーナリストが人質になっている最中にイスラエルとの親交を見せつけ、カイロでは挑発的な駄弁を弄した。そんなこと、まともな首相なら、あまりに馬鹿馬鹿しい稚戯で、思いもしないような愚策である。そんな愚策を平気でイケイケドンドンとやってしまう人物なのだ。
何が起きるかわからない。
全ての想定をしておいたほうがよい。