【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

安倍晋三と橋下徹の強靱な盟約は壊滅されたか?

2015-05-19 19:59:21 | 言論と政治
安倍晋三と橋下徹の強靱な盟約は壊滅されたか?
櫻井智志

以下に二つの資料を掲げる。
その後に見解を述べたい。
①孫崎享のつぶやき
②日刊ゲンダイ新聞記事(webには掲載されていません,)
③見解
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①孫崎享のつぶやき
橋下氏の敗北と日本の政治:「維新の党」を第2党、第2党と持ち上げ。第2党の消滅を歓迎
2015-05-19 06:393



「大阪都構想反対多数」と朝日新聞は報じた。

 しかし、本当に僅差であった。

 賛成69万4844票、反対70万5585票、どっちに転がってもおかしくない現象である。

この勝敗が今後の日本政治に与える影響は大きい。

私は、大阪都構想で反対多数になり、橋下氏が政界引退表明したことを歓迎する。

日本の政治で、自民党に対する対立軸は決して「維新の党」ではなかったはずだ。

日本国民が重要だと思っている問題、原発再稼働、集団的自衛権、憲法改正。TPP,秘密保護法、これらでは、世論調査で批判が

多い。「維新の党」はこれらに決して反対の立場ではない。

その中で、マスコミは「維新の党」を第2党、第2党と持ち上げてきた。

マスコミの援護がなければ、「維新の党」は決して第2党の地位を得なかったであろう。

それは、逆にいうと、原発再稼働、集団的自衛権、TPP,秘密保護法これらの反対を軸とする政党を第2党にしないためのマスコ

ミの動きであったといえよう。

まず、大阪の自民党は都構想に反対である。

この中、安倍首相、菅官房長官は別の動きをしてきた。

・2015年01月18日 09時13分 読売新聞

「安倍首相と維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長が、憲法改正などを巡って互いにエールを送り、改めて「接近」する動きを見せて

いる。                             

 首相は14日に出演した関西テレビの番組で、橋下氏が進める「大阪都構想」について「二重行政をなくし、住民自治を拡大する

意義はある」と持ち上げた。また、衆参両院の3分の2以上の賛成が必要な憲法改正の発議について、「与党だけではできない。維

新の党の賛成で多数を構成できればいい」と述べ、連携への期待感を示した。

 安倍首相と維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長が、憲法改正などを巡って互いにエールを送り、改めて「接近」する動きを見せて

いる。」

「菅義偉官房長官は5月11日の記者会見で、17日に住民投票が行われる「大阪都構想」に反対する自民党大阪府連の国会議員が

民主、共産両党と合同街頭演説を行ったことに関し「個人的には全く理解できない」と批判した。都構想に関し産経新聞社が9、1

0両日に大阪市民に行った電話世論調査では、自民党支持層のうち反対は53.3%、賛成は36.6%で、前回4月の調査から反

対が7.9ポイント減る一方、賛成は9.6ポイント増えている。」最終段階で自民党票が揺さぶられたことは間違いない。

今度の選挙の影響を朝日新聞は次のように記載している。

「安倍首相がめざす憲法改正への影響も大きい。来夏の参議院選後に改憲を発議するには、衆参各院で3分の2以上の賛成が必要で

、維新の協力は不可欠。橋下氏が退くことで維新の党勢が衰える可能性もあり、首相は戦略の練り直しを迫られそうだ。

 大手マスコミは巧妙に「維新の党」を育てた。

 それは、原発再稼働、集団的自衛権、TPP,秘密保護法などへの反対を主張する党派の勢力を削ぐ意図があったと思う。

 国民は「自民」か「非自民」の選択を迫られる。

 その時、胡散臭い「維新の党」という逃げ道がほぼ消去されることになったのは喜ばしいことと思う。

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②日刊ゲンダイ2015年5月20日新聞2面

『仰天情報  橋下徹民間大臣として入閣プラン
 安倍官邸と密約があるのか』

 「大阪都構想」の住民投票で大阪市民からノーを突きつけられた橋下徹市長。12月までの市長任期を全うしたうえでの「政界引

退」を宣言した。


 「政治家は僕の人生から終了です」と断言してみせた。

 ところが、「民間大臣として入閣するという仰天情報が流れている。もともとは改憲を狙う安倍首相が、衆参で3分の2以上を確

保するために「自民・公明・維新」の3党連立を組む時、橋下徹を入閣させるプランだったという。

 「維新とタッグを組み、改憲しようと考えていた安倍首相にとって、橋下徹の政界引退は痛手です。橋下さんがいなくなったら維

新の党は、野党色を強めるか、空中分解する可能性が高い。維新が消滅したら、安倍首相の野望は消えてしまう。そこで、いまの人

数を保ったまま、維新の党を野党よりにしないウルトラCが、橋下徹の入閣だというのです。たしかに、たとえ民間人としてでも橋

下さんが入閣すれば、維新は政権よりになるだろうし、分裂することはないでしょう。むしろ、維新の議員は政権入りを意識し、ま

とまるはずです」(政権関係者)


 すでに、橋下市長と安倍官邸の間では「密約」があるという情報も流れている。菅義偉官房長官が、自民党府連の反発を覚悟して

「大阪都構想」を後押ししたのも、橋下市長に「貸し」をつくるためだったという。橋下市長にとっても、政界に影響力を残せる入

閣は決して損じゃない。


 「橋下さんは政界引退を表明しましたが、民間大臣は厳密には政治家ではないから、約束を破ったことにはならない。恐らく、橋

下さんは、そういう理屈を持ち出すはずです。もし、維新の党が分裂するとしたら12月末です。だから、維新の分裂を防ぐために

は、橋下さんの入閣があるとしたら、年末がタイムリミットになるでしょう」(政界事情通)


 大阪市民はハッキリとノーの意思表示をしたが、「2万%ない」と口にしながら知事選に出馬した男だけに、いつ息を吹き返すか

分からないから要注意だ。
(*櫻井注:このことを投票日当日にマスコミから質問された橋下氏は、当時出演していたNTVの番組で、録画撮りしていた番組の

影響で出馬すると言ったら、公開された時に既に政界出馬後のテレビ放映ということになるから、と答えていた。今度入閣したら、

橋下徹氏の沽券に関わるが、おおよそそのようなことには一切頓挫しないことは明らかである。)


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③《見解》

 孫崎享氏の言うように、非常識な若手弁護士をここまで「ビッグ・モンスター」化したのは、マスコミの報道の結果である。政権

権力に擦り寄り、そのお先棒を担ぐ。マスコミの動向を決めるのは社会の影響でもあるが、まともなマスコミ人もジャーナリストも

いる。権力と野合するマスコミのゆくえによっては、橋下徹氏入閣による自公維新の3党による改憲国会突破もないとは言えない。