【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【「JNN報道特集」からの啓示 2018/03/03】

2018-03-03 20:09:07 | 政治・文化・社会評論

            櫻井 智志




■或る少女の涙とうたごえ~東日本大震災の復興~

 会津藩の昔から福島県は高い文化と豊かな自然と収穫に恵まれたコミュニティだ。戊辰戦争の試練も乗り越え、原発事故でさえ驚く忍耐と勤勉さで我慢し続けてきた。
 けれど住民が味わった悲惨な苦闘は全国で沖縄県以外例がない。小二の海音(かのん)さんが両親と姉を津波で失った。悲しみの背景の詳細は深い。津波で屋上に避難。近所の親が車で避難。後からきた母と姉は車で探している途中に津波で亡くなった。姉の死骸を見た海音さんは号泣した。胸に深く「私を探していて姉も両親も死んだ」と心沈めながら、二度と涙を見せなくなった。
 周囲の支援で素晴らしい歌声を聴かせるようになった。機会があってカナダに留学。心を開けるひとに「私を探していて姉も両親も死んだ、私のせいでみんな家族が死んだ。」この言葉をじっと聴いていたひとが「そんなことないわ。お父さんもお母さんもあなたが幸せで暮らせることを一番のぞんでいるから、自分を大事にして生きてね。」このことばで海音さんから涙がこぼれた。
 このような本人と周囲の営みが本物の復興だ。海音さんを長期取材し続け、その事実の重みを取材し続け、視聴者に伝えてくれた記者とテレビ局の取り組みは、大手のマスコミやメディアの体制翼賛状況の危機が伝えられる中、ほんもののジャーナリズムそのものだ。感謝し私もこのような報道人のことをもっと学んでいく切実感を感じる。日本のジャーナリズムは死んでいない。視聴率や売れ行きを第一義とする大手マスコミとは別に、いま国民に伝えることを伝えようとするジャーナリストたちは、草の根に実在することを感動とともに実感した。




■官僚制の頽廃
 リニア建設に伴う巨大利権の容疑がある談合と逮捕。国土交通省はどのような指導や対応をしてきたのか疑問に思う。森友学園の小学校建設に伴う財務省の文書捏造。
 戦後日本を建設してきた(議会制)民主主義は、戦前の「官僚亡国」と言われてきた官僚制の改善をも視野に入れていた。全く異なる構造の社会が別に同時併存していることが明らかになり、それが戦後の日本の再出発を空洞化させつつある。

■女性の政界進出
 ドイツのメルケル首相を尊敬する。日本でも市川房枝さんや土井たか子さんが思い浮かぶ。野党に政治家としても意義ある人々が目立つ。自民党からは多くの女性閣僚がでているが・・・・野田聖子議員の自立的姿勢は良い。私は女性政治家が増えることに賛成だが男女問わずまともな人物が大切。


■習近平主席の権力強化
 中国はあまりに統治するには広大すぎる。政治思想とは別に、充分に民衆や国民の権利と福祉を保障するには、矛盾や不十分さが多い。かって封建制度下の中国国民の悲惨さは減ったと思うが、人権思想は困難を抱えている。どんなによくとも長期権力は、腐敗する、日本の自民党政権もだ。