【現代思想とジャーナリスト精神】

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立憲民主党よ、初志は何処へいったのか~2017衆院選と2019神奈川県知事選

2019-04-07 23:29:02 | 政治・文化・社会評論
                                 櫻井智志
(*これは県知事選の前にまとめた評論である。)

Ⅰ 2017衆院選
2017衆院選の直前に、小池百合子都知事が、民進党を分裂させ「希望の党」を立ち上げたことで順調に進んでいた野党共闘は頓挫した。なかでも、分裂した民進党から、枝野幸男氏が「立憲民主党」をたちあげ、民主党=民進党の中での立憲主義と国民側に立つ政策を継承する志を示した。
 だが、国会勢力が維持されるかどうかの現実問題として危機は続いた。この時に、立憲民主党に手を差し伸べ支援したのが、日本共産党だった。従来全選挙区に候補者を擁立してきた共産党は、立憲民主党が立候補した選挙区で早くから内定し準備をしてきた候補をおろすという、驚天動地と言って大げさでない方針を決めて全国の選挙区で実施した。
  例を私が住む神奈川県の実際に焦点をあて、毎日新聞記事をデータとしてお借りする。
神奈川選挙区は18の小選挙区にわかれる。立憲民主党は、6つの選挙区に候補を出した。日本共産党は立憲民主党が候補を擁立した5つの選挙区で候補をおろした。両党が候補を出したのは、現内閣官房長官菅 義偉氏が立候補した神奈川2区だけである。
神奈川2区
当 菅  義偉 (68) 自民 南関東ブロック 前 123,218票 57.1%
高橋 野枝 (43) 立憲 南関東ブロック 新 47,191票 21.9%
橋本 久美 (48) 希望 南関東ブロック 新 28,635票 13.3%
大貫 清文 (60) 共産 新 16,699票 7.7%

 また日本共産党は、社会民主党が唯一立候補した選挙区でも、自党候補をおろしていえる。
神奈川15区
当 河野 太郎 (54) 自民 南関東ブロック 前 159,647票 67.6%
佐々木克己 (62) 社民 南関東ブロック 新 38,242票 16.2%
乃木 涼介 (53) 希望 南関東ブロック 新 38,162票 16.2%

 このような野党協力について、共産党内部でも、現在では国会議員選挙で候補をおろす必要はないと意見を表明するベテランOBの意見もある。
 2017衆院選では、そのような選挙協力によってどうなったか。2区15区は重複を避ける。
2017衆院選神奈川選挙区共産・立民協力区の開票結果

神奈川1区
当 松本  純 (67) 自民 南関東ブロック 前 103,070票 47.8%
当比 篠原  豪 (42) 立憲 南関東ブロック 前 78,019票 36.2%
長島 一由 (50) 希望 南関東ブロック 元 34,433票 16.0%

神奈川4区
当 早稲田夕季 (58) 立憲 南関東ブロック 新 67,020票 34.8%
当比 山本 朋広 (42) 自民 南関東ブロック 前 55,700票 28.9%
浅尾慶一郎 (53) 無 前 51,495票 26.7%
風間 法子 (47) 希望 南関東ブロック 新 18,618票 9.7%


神奈川6区
当 青柳陽一郎 (48) 立憲 南関東ブロック 前 86,291票 44.6%
上田  勇 (59) 公明 前 82,788票 42.8%
当比 串田 誠一 (59) 維新 南関東ブロック 新 24,424票 12.6%

神奈川7区
当 鈴木 馨祐 (40) 自民 南関東ブロック 前 103,324票 47.0%
当比 中谷 一馬 (34) 立憲 南関東ブロック 新 87,819票 40.0%
川野  案 (35) 希望 南関東ブロック 新 28,685票 13.1%

神奈川12区
当 阿部 知子 (69) 立憲 南関東ブロック 前 86,550票 43.2%
当比 星野 剛士 (54) 自民 南関東ブロック 前 83,924票 41.9%
原  輝雄 (43) 希望 南関東ブロック 新 29,852票 14.9%

5人がすべて当選している。3人は前職、2人は新人である。

Ⅱ 2019神奈川県知事選
4月7日は、2019統一地方選挙の前半、道府県知事選が実施される。
東京新聞神奈川版は候補者をこう伝える。
◆黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)さん(64) 無現<2>=自国公
 若葉台団地を未病モデルに
 横浜市旭区の横浜若葉台団地で第一声に臨んだ黒岩さんは「何の迷いもなくここを選んだ。若葉台団地の『奇跡』が、これからの日本を救うと確信しているから」と理由を切り出した。
 自らが掲げる「未病改善」の取り組みに触れ、「超高齢社会を乗り越えていく神奈川モデルが未病という言葉に象徴されている。今回の選挙を通じてその先に行きたい」と強調した。同団地の高齢化率は48%と全国平均を上回りながら、この十年で要介護認定率は12%に下がっていることを挙げ「住みよい、楽しい団地にしたいとやってきた結果だと聞いた。これこそが超高齢社会を生きていくモデルだ」と指摘した。
 さらに「笑いも重要なキーワード。笑いを増やし、元気に、健康になる。これが命輝く神奈川の具体的な姿。若葉台団地になろう、と訴え続けていく」と支持を求めた。 (北爪三記)
<略歴>知事(元)大学院教授・フジテレビキャスター▽早大
◆岸牧子(きし・まきこ)さん(62)無新=共
 健康と教育の格差是正訴え
 岸さんは横浜市西区の横浜駅西口で、大勢の支持者らを前に「貧困による格差を、健康と教育の格差にしてはいけない。誰一人取り残さない神奈川にリボーン(再生)する」と第一声を上げた。
 今の県政では、待機児童の解消や中学校給食の導入は進まず、給料も年金も少なく「どの人も苦しんでいる」と主張。
 黒岩知事が目玉に打ち出す「未病改善」は「医療を商品化し、健康を自己責任にしている」と問題視し、カジノ誘致に反対を明言しないことも批判した。
 その上で「カジノより給食」とのスローガンを掲げ、全公立中での給食の実施や十八歳までの医療費無料化、最低賃金の千五百円(時給)への引き上げ、脱原発の推進といった公約を紹介。「私たちは多数派だ。私たちが願う政治に変えられる」と呼び掛けた。
<略歴>市民団体代表・園芸業(元)中学校教諭▽武蔵野美大



Ⅲ  何処へゆく

 岸正子氏には、告示日に「緑の党」が推薦している。
私が問題として疑問に思うのは、自民党、公明党、国民民主党、の後に現知事黒岩候補を推薦して、推薦を候補から断られた立憲民主党の政治方針だ。黒岩氏に断られた立民党は、「誰も推薦しない」方針を表明した。

 一方、「緑の党」は告示日に岸氏を推薦した。岸候補自身が公式に紹介している。岸正子氏は「よこすか市民9条の会」共同代表や「よこすか・みうら市民連合」事務局を務めている。「緑の党」や「新社会党」など議席数は少ないけれども、政治運動や市民運動に日常的に国民サイドで誠意ある有意義な日常的実践を継続している。

 立憲民主党は、枝野幸男代表が「地方組織の拡充」を喫緊の課題としている。神奈川県知事選への対応にも、立民党の内部の事情があることが、横浜市市長選での自民党推薦候補支持や京都府知事選での自民党推薦候補を支持する側に回っているのことも予想できる。

 今回、北海道知事選や沖縄衆院補選では、他の立憲野党と協同して野党共闘を構成するスタンスにある。立憲民主党が、万一、市民運動候補サイドに立てば、立民と友党の神奈川県地域政党の「神奈川ネットワーク運動」も反自民候補の側にたつだろう。

 立憲民主党よ、何処へいく?!




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