【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

リベラリスト本澤二郎氏の評論と私見

2015-03-28 22:52:48 | 転載と私見
【転載】
福田家と岸・安倍家<本澤二郎の「日本の風景」(1950)

<中国テレビに福田元首相がさっそう登場>
 3月28日の中国CCTVは、海南島のボアオ・アジアフォーラムを生中継した。冒頭に福田康夫が壇上に上がって挨拶を始めた。彼が同フォーラムの理事長だったからである。彼が親中派の役割を果たしていることを、多くの日本人は知らない。先代の福田内閣は、いうなれば岸信介の力添えがあって実現したものである。そのA級戦犯の岸内閣は、CIAの支援で、ワシントンの傀儡として誕生した。岸・安倍家と福田家は、予想されるほど親密ではない。


<二階総務会長を習国家主席に紹介>
 福田の紹介で5月に旅行団を率いて北京入りする二階総務会長が、習国家主席と立ち話をした。
 フォーラムのテーマは、目下、国際経済の中心となっているアジアインフラ投資銀行のことである。経済衰退に歯止めをかけたい欧州は、こぞって参加を表明した。
 バスに乗り遅れた日本とアメリカである。置いてきぼりを食った日本の孤立化は、経済面でも明らかである。反共・中国敵視を貫く東京を、これ見よがしとばかりに、世界経済は北京を軸に動き出している。
 中国封じ込めを狙った国家主義外交は、気付いてみれば、日本が封じ込められていたのだ。

<日中平和友好条約を締結した福田内閣>
 福田康夫の実父・赳夫は、岸の後継者として政権を担当したが、それでも日中平和友好条約を締結した。実際は大平正芳と田中角栄が、実質、取りまとめたものだが、福田をそれを受け入れた。岸の意向に反した。
 代わりに岸の娘婿の安倍晋太郎を福田派後継者にした。深夜マージャン好きの安倍は、体調を壊して挫折した。晋太郎は新聞記者経験のため、岸の国粋主義に傾倒することはなかった。
<非宗教施設墓苑建設に取り組んだ福田>
 極右にそそのかされたのであろう、小泉純一郎が靖国参拝を繰り返した。側近の安倍晋三もそれを突き上げていた。
 反対に福田康夫は、靖国神社は宗教法人だから、政府が関与できない、という憲法論から、非宗教施設の建設に取り組んだ。靖国排除の公正な対応である。これに小泉は反対しなかったようだが、安倍が大反対した。
 結果、実現を見ることなく退陣した。サラリーマン生活の長かった福田は、世間の空気をよく感じ取っていた。官房長官時代には、よく宮澤喜一を訪ねて、教えを請うている。
 福田の父親は、派閥は異なったが、宮澤の才能にほれ込んでおり、彼を閣僚に起用していた。そんな関係が二人にある。両者とも改憲軍拡派ではない。

<国粋主義の岸に反発した福田>
 筆者は現役政治記者時代、よく田中龍夫の部屋に出入りした。福田側近NO1は、安倍晋太郎ではなく、この田中だった。田中の実父は、軍国主義時代の田中義一首相である。
 龍夫は暇さえあれば、赳夫の傍に従っていた。彼の口から、岸と福田との微妙な軋轢を知ることが出来た。現に総裁選挙で安倍と中川一郎が争ったとき、福田は心情的に中川を支持していた。岸の後継である安倍を内心、嫌っていたようだ。
 選挙制度が中選挙区制のころは、安倍晋太郎と田中龍夫は同じだったため、犬猿の仲だった。そのころ、安倍家の内情を田中事務所で聞いたものである。むろん、晋三のことも、である。
 まさか、こんな人物が首相になろうとは、思いもよらなかったろう。一番驚いているのは、安倍の父親のはずである。

<A級戦犯を2人かかえにる安倍>
 福田家には、戦争のにおいがしない。福田のライバル・中曽根康弘は海軍主計中尉が戦後も引きずってきている。
 原発と核武装にこだわりを持ってきている。大日本帝国の怨霊が彼にはある。福田にはそれがない。岸・安倍家とは波長が会う筈もない。
 親類の松岡洋右がA級戦犯として、ただ一人完全無罪を主張していたということを、昨日知ったばかりだが、シンゾウには二人のA級戦犯がいたことになる。戦争を肯定・正当化する理由である。
 小沢一郎ではないが、CIAはとんでもない鬼っ子を東京に誕生させてしまったことになる。歴史認識で全く譲歩しない背景は、A級戦犯の怨霊がまとわりついているせいなのだ。
 財閥も本当に悪い。
2015年3月28日記

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私見
 福田康夫の父親の福田赳夫は、岩波書店の安江良介やTBSのニャースコープのキャスターをつとめた古谷綱正からも敬意を払われた保守政治家である。保守政治家と反動政治家とは異なる。
福田康夫は保守政治家で、安倍晋三は反動政治家である。
本澤二郎氏は、大平正芳の番記者ではなかったか。左翼ではなくて、リベラリストである。私は本澤氏の文章は好きでよく読む。

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