【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

何が真実なのか、「沖縄・外交」報道の真実を慎重に見極めたい

2016-04-03 13:31:11 | 政治・文化・社会評論
なにが真実なのか、報道の真実を慎重に見極めたい
                   櫻井智志


 私は、「①東京新聞の記事」をもとにこう書いた。
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「前説」
私はオバマを見誤っていた。
もともとリベラルな政治家が、アメリカ国内の支配層の政治力学で意にそまぬ政策も選択せざるを得ないと。
しかし、以下の記事を自宅で新聞で読み、幻滅と沖縄県民と日本への露骨な差別と偏見のオパマの認識を観じて、激しく憤りに変わった・・・
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 だが、後から「②琉球新報の社説」を読み、以下の一節に考えさせられた。

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②琉球新報の社説の一部分。詳細は後に掲載してある。

 『今回の会談でも「日米首脳は沖縄の負担軽減を進めることは合意した」のだそうだ。現下の沖縄で普天間の運用停止ほど強く求められている課題はない。それを放棄しておいて「負担軽減」とは、空々しいにも程がある。
 オバマ米大統領は辺野古移設をめぐる県と政府の訴訟について、なぜ和解に応じたのか尋ねた。それを日本政府は「移設計画の遅れに懸念を表明した」と表現する。

 だが、そう「翻訳」していいのか。これはむしろ、「辺野古移設計画の現実性に疑念を示した」ということではないか。

 オバマ氏が「(辺野古移設に)大きな支障がないようにしてほしい」と求めたことにもなっているが、本当だろうか。
 ジョセフ・ナイ元国防次官補や戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長など米側の「知日派」の中に、沖縄への基地集中に疑念を持つ人がいるのは周知の事実だ。だが日本政府の方が県外移設に抵抗しているのである。

 だから米大統領の辺野古移設要求という圧力を捏造(ねつぞう)し、県外移設論をつぶそうとしているのではないか。今回も「辺野古が唯一の解決策」と強調したのは日本側だけで、米側は「唯一」などとは一言も言っていない点に注意すべきだ。日本政府の印象操作に振り回されないようにしたい。』
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良心的な二つの新聞社ではあるが、どちらかが真実の度合いがうすいと感じた。二つの記事を並べるので、読者諸氏の判断を仰ぎたい。

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①【東京新聞】転載
米大統領「辺野古なぜ和解」 首脳会談で遅れ懸念
2016年4月1日 夕刊

 【ワシントン=金杉貴雄】安倍晋三首相は三十一日午後(日本時間一日午前)、オバマ米大統領とワシントンで日米首脳会談を行った。オバマ氏は米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う同県名護市辺野古(へのこ)への新基地建設問題に関し、日本政府が新基地建設に反対する沖縄県と訴訟で和解し、工事を一時中断したことに懸念を表明した。米側の意向を受け、安倍政権が県との交渉で強硬姿勢を強める可能性もある。


 オバマ氏は「辺野古移設が唯一の解決策と言いながら、なぜ和解に応じたのか分かりづらい。移設計画はどの程度遅れるのか、その間は普天間飛行場をどのような形で使用できるのか」とただした。


 首相は政府と県が訴訟合戦になり、今後も他の訴訟が起きることが予想されたと説明。「政府の立場は不変だが、一歩引いて冷静に精査する。『急がば回れ』の考えだ」と説明した。


 オバマ氏は「首相が戦略的な判断として対応しているのはよく理解している。信頼しているので、ぜひ大きな支障のないようにしてもらいたい」と述べた。


 首相は五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)について、世界経済とテロ対策が最大のテーマになると強調。「世界経済の持続的な成長に寄与すべく明確なメッセージを出したい」と述べた。環太平洋連携協定(TPP)については、首相が承認案と関連法案を国会に提出したことを説明。「日米でアジア太平洋のルールづくりを主導したい」と呼び掛け、米国の早期批准に期待を示した。オバマ氏は最優先の議会案件として取り組んでいると強調した。

◆対沖縄 強硬姿勢加速も
 <解説> 日米首脳会談でオバマ米大統領が米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設に反対する沖縄県と和解したことについて「なぜ和解に応じたのか分かりづらい」と異例に強い調子で日本政府に苦言を呈したのは、計画通り新基地が建設できるのかどうか、日本政府の説明に疑念が生じたためだ。

 日本政府は今回の和解について、この一カ月にわたって「新基地建設の考えは変わらない」「急がば回れだ」とあらゆるレベルで米側に説明してきた。

 しかし、今回の和解で政府は県と協議を行うのと並行し、知事の埋め立て承認取り消しの是正を指示するなど法的手続きをやり直さなければならない。最高裁で決着するまで約一年は工事は中断したままだ。

 普天間返還を合意してから今年で二十年。現在の日米合意通りでも少なくともあと六年以上かかる。今回の和解で、さらに時間がかかるのは確実。しかも、県側が法的な対抗措置を講じ続ける可能性がある。


 政府は参院選を意識し、県との対話姿勢を示すため和解に応じた。しかし、オバマ氏の発言を契機として安倍政権は外交・安保を理由に沖縄に対し強気の姿勢を鮮明にしかねない。 (ワシントン・金杉貴雄)

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②【琉球新報】転載

<社説>日米首脳会談 外交の名に値しない
2016年4月2日 06:02

 一体何をしに行ったのか。言うべきを言わず、伝えるべきを伝えないのでは外交の名に値しない。
 日米首脳会談で安倍晋三首相は米軍普天間飛行場の5年内運用停止について全く言及しなかった。沖縄の基地負担軽減について首相は常々「できることは全て行う」と述べている。だが「行う」どころか口に出しさえしないのだから、空約束も甚だしい。

 もう一度確認したい。2013年、当時の仲井真弘多知事に対し、安倍首相が5年内運用停止について「努力を十二分に行う」と述べたのは、仲井真氏が辺野古埋め立てを承認する前のことだ。その際、何かが条件という話は一切示されていない。

 政府は当初「全国の協力が必要」としていたが、15年夏には「地元(沖縄)の協力が必要」にすり替わり、最近では「辺野古移設への理解と協力が前提」と述べ始めた。

 自らが約束を果たさない責任を沖縄側の「協力」のせいにすり替えている。無責任極まりない。

 今回の会談でも「日米首脳は沖縄の負担軽減を進めることは合意した」のだそうだ。現下の沖縄で普天間の運用停止ほど強く求められている課題はない。それを放棄しておいて「負担軽減」とは、空々しいにも程がある。
 オバマ米大統領は辺野古移設をめぐる県と政府の訴訟について、なぜ和解に応じたのか尋ねた。それを日本政府は「移設計画の遅れに懸念を表明した」と表現する。

 だが、そう「翻訳」していいのか。これはむしろ、「辺野古移設計画の現実性に疑念を示した」ということではないか。

 オバマ氏が「(辺野古移設に)大きな支障がないようにしてほしい」と求めたことにもなっているが、本当だろうか。
 ジョセフ・ナイ元国防次官補や戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長など米側の「知日派」の中に、沖縄への基地集中に疑念を持つ人がいるのは周知の事実だ。だが日本政府の方が県外移設に抵抗しているのである。

 だから米大統領の辺野古移設要求という圧力を捏造(ねつぞう)し、県外移設論をつぶそうとしているのではないか。今回も「辺野古が唯一の解決策」と強調したのは日本側だけで、米側は「唯一」などとは一言も言っていない点に注意すべきだ。日本政府の印象操作に振り回されないようにしたい。

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私見

「日本政府の印象操作 」、この言葉に強く喚起されることがある。二者択一というよりも、多角的多元的な価値観に基づく解釈の必要性を感じた。とくにアメリカと日本の政府の虚言や非人間的政策に奔放されてきた沖縄県民の実態を最もよく知っている「琉球新報」「沖縄タイムス」の表現には、沖縄県民に即した詳細な事情を伝え続けてきた経緯もある。 (了)

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