【現代思想とジャーナリスト精神】

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どす黒い「3A+S」時代の終焉:誰も筋書きを描いた訳でない。甘利氏落選、幹事長辞任で「3A+S」時代の終わり。「3A+S」はジャパンハンドラー達の受け皿でもあった。

2021-11-04 23:00:58 | 転載
【孫崎享のつぶやき】
どす黒い「3A+S」時代の終焉:誰も筋書きを描いた訳でない。甘利氏落選、幹事長辞任で「3A+S」時代の終わり。「3A+S」はジャパンハンドラー達の受け皿でもあった。
2021-11-03 08:1914


1:どす黒い「3A+S」時代が、多分誰の筋柿でもなく、誰の工作でもない形で終焉した。それはネット社会の「市民」の力で生じたと言える。

2:そもそもこの3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)連合が政治力を形成したのはいつからであったろうか。
 私は福田首相時代であったとみている。私の『戦後史の正体』を見てみたい。

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 それはウィキリークスが福田康夫首相と米国の間の摩擦を暴露したからです。
「米ブッシュ大統領、洞爺湖時にアフガンへ陸上自衛隊陸自の派遣要求」
「ブッシュ氏は首脳会談で福田康夫氏に“アフガンに中身のある支援をする必要がある”と強い調子で要求。
“陸自のCH47大型輸送機か軍民一体の地域復興チームを担当するか”と具体的に求めた。しかし福田氏は“陸自の大規模派遣は不可能”と返答した」。
洞爺湖サミットの時ブッシュ大統領と福田首相の間に相当の緊張が存在しています。

 その後、どうなったでしょうか。米側は福田首相の断りに理解を示し、諦めたでしょうか。あるいは、引き続き圧力をかけたでしょうか。
後者です。
 サミット後の7月15日と16日、東アジア担当国防次官補が訪日し、関係者に日本が行うべきアフガニスタン支援構想を提示しました。
米側は「福田首相はCH47大型輸送機の派遣等を拒否したが、米国は依然これを重視している。よって米国は次の案を提示する」と述べます。そして次の要求をしました。

(1)C-130(輸送機)およびCH-47(ヘリコプター)の派遣
(2)地域復興チームへ自衛隊員等の派遣、
(3)40床からなる医療ネットワーク(複数)の設置、
(4)アフガン選挙資金へ2億ドルの拠出
(5)アフガン軍、司法機関強化へ200億ドルの貢献、

加えて日本の指導者および国民がアフガニスタン支援の重要性にコミットすること。
 この圧力の中、 福田首相は「国民生活のために新しい布陣で政策実現を期してもらいたい」と述べて辞任しました。
多くの日本人には、この説明は意味不明です。
皆、唐突に政権を投げ出した福田首相を非難しました。
ウィキリークスのおかげで実態が判明したのです。
福田首相は自分の首と自衛隊の派遣と巨額の資金提供を引き換えにしたのです。
 米政府系住宅金融機関2社が経営危機を迎えていました。
この内、ファニーメイは多大な損失を出します。
2010年7月16日、ニューヨーク証券取引所の上場が廃止されています。2008年ファニーメイが経営危機を迎えた時、日本に融資の依頼が来ています。

 2008年9月6日毎日新聞は「外貨準備:政府が米金融2社救済案 08年8月に支援検討」という標題で次の報道を行いました。
 「米政府系住宅金融機関2社が経営危機を迎えていた08年8月下旬、日本政府が外貨準備を使って両社の支援を検討していたことが5日、関係者への取材で分かった。
入札不調に終わる懸念があった2社の社債数兆円を、日本政府が買い支える計画だった。
世界的な金融危機に陥る瀬戸際とはいえ、公的資金で外国の金融機関を救おうとしたことは極めて異例で、経済的に密接不可分な日米関係の特殊性を明らかにする事実といえる」
 当時の伊吹財務相が慎重論を主張したようです。
9月1日の福田康夫内閣の退陣表明で、政府が機能不全に陥ったため、実現しなかったといわれています。
 日本政府がファニーメイに融資をしていれば、ドブにお金を捨てる様なものでした。
 福田首相に「辞任することでファニーメイへの融資を止める」という意志があったかわかりません。
 福田首相が水面下で米国の圧力と戦っていたのです。

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 この時、日本の国内で福田下しが展開された。それを実施したのが、3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)連合であった。一時民主党政権になるが、鳩山潰しにも成功し、その後安倍長期政権を迎える。
 安倍政権は見事に、3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)の連携であった。

3:安倍首相をトップとする体制は、安倍首相の支持率が急落したことで、菅氏に引き継がれた。

4:菅首相は本年8月支持率急落をうけ、辞任した。

5;後任に世論上支持率の高い河野氏を排して岸田首相を首相に据えた。
 岸田氏は決して3Aの人々と良好な関係を持っているわけではない。安倍氏は幾度となく岸田氏に「次はあなた」といいつつ重要局面では岸田氏を裏切った。岸田氏の地盤である広島で、河井 案里氏を参議院議員にねじ込んだ。

 岸田体制で、3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)は党から縛る動きを見せた。
 副総裁に麻生氏、
 幹事長に甘利氏。
 安倍氏に近い高市早苗氏は政調会長。

 福山哲郎立憲幹事長は選挙期間中「岸田総理は大変失礼ながら、五人羽織だと思っています。後ろに安倍さんと、麻生さんと、甘利さんと、高市さんがいる。自民党は結局、変わらないのです。結局、変われないのです。」と述べていた。

 この扇の要が、甘利幹事長である。かつジャパンハンドラーの最有力受け皿でもある。
 10月29日付け読売新聞は「私は日本を率いているという自負がある。私がいなければ日本は立ちゆかない。経済界は全員わかっている。関係官界、優秀な教授陣はわかっている。」と発言している。

6:甘利という要をなくすることで、3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)体制は大きく崩れる。
 自民幹事長に茂木敏充氏 甘利氏後任、首相方針。マッキンゼー・アンド・カンパニー入社していたこともあり、軍事を中心とする「ジャパンハンドラー」と異なる米国パイプを有するものとみられる。

7:甘利氏は対立候補を15%程度引き離し、当選確実と見られた。
 彼自身「全国から落選運動を強烈にやられた」(10月31日、テレビ東京の開票速報番組)と述べている。
 又東京8区で「石原伸晃氏が東京8区で、野党統一候補となった立憲新顔の吉田晴美氏に敗れる。比例東京ブロックにも重複立候補していたが、復活当選しなかった。」状況もソーシアル・メディアと無関係ではない。

8:トランプはツイッターを駆逐し大統領になったが、今後ソーシアル・メディアをどう活用するかが大きい影響を与えていく。

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