昔から日本海が見える風景が好きである。
そんな景色が見えるところに生まれ育ってみたかった。
鉛色の空から神々しい陽光が降りてきて海が輝く。
厳しき季節の安堵の瞬間。
1982年秋 五能線の車窓から
夕陽が山の端に隠れる頃
棚下集落の頭上を12のジョイント音が轟く。
新山男重連の健脚が遠ざかると
虫の声だけが残る秋の谷
2009年秋 棚下にて
冬の季節風が容赦なく吹きつける海。
列車が止まる様な時化の日でも船を出す。
沿線の主産業は漁業なのだ。
鉛色の雲の下で、
やがて荒れた海の季節を迎える。
1982年秋 五能線の車窓より
先日のヒガハスでの一枚。
秋の序章を感じる光景だ。
かつて何度も見てきた秋の収穫の風景は稲刈り、稲穂干し、脱穀の順番だったが
今やコンバインが刈り取ると同時に脱穀までやって、トラックに積むのが普通になった。
屋敷森がいろは坂の紅葉を思わせるようなきぬがわと鮮やかさを競う色に染まるのは師走の頃。
秋は短いと思いがちだが、始まったばかりのヒガハスの秋は三月以上かけてゆっくりとうつろうのである。
2017年9月 ヒガハスにて 1085M