https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20171220000.html (神戸新聞)
博多発東京行き新幹線の台車に亀裂が見つかった問題を巡り、19日の会見で「脱線など大事故につながる恐れがあった」と認めたJR西日本。いくつもの異常を乗務員が察知しながら、なぜ約3時間も運行を続けたのか。乗客ら107人が犠牲になった2005年の尼崎脱線事故以降、「安全最優先」を掲げてきたはずのJR西の一連の対応に、専門家らからは厳しい批判が相次いだ。
問題の新幹線「のぞみ34号」は博多駅出発(午後1時33分)の約20分後に小倉駅を発車する際、乗務員が焦げた臭いに気付いた。同3時15分すぎに岡山駅から添乗した保守担当社員もうなり音を確認したが、東京指令所が「走行に支障がない」と判断し運行を続けた。
鉄道の技術に詳しい工学院大学の曽根悟特任教授は「岡山駅や新大阪駅などで停車した際、台車部分の点検もできたはず。なぜしなかったのか」と指摘。新幹線に乗務した経験があるJR関係者も「台車は列車走行の安全上、極めて重要な場所。今回は異常を知らせる警報ランプが点灯していなかったようだが、車掌による床下点検などはできたはずだ」と乗務員らの対応を疑問視する。
この日のJR西の説明では、台車側面の亀裂があと約3センチ広がっていれば台車が破断していたことが明らかになった。「破断となれば、高い確率で脱線などの大事故が起きる。高速走行する新幹線が脱線すれば、多くの死傷者が出る可能性が高い」と曽根特任教授。
さらに、岡山駅から乗った保守担当社員が停車駅での点検を進言したが、結果的に“黙殺”された可能性があることも判明した。曽根特任教授は「尼崎脱線事故を教訓とする会社にあってはならないこと」とした上で「事故の少ない新幹線は『在来線とは違う』との社内意識が国鉄時代から根強く、尼崎事故の反省や教訓が新幹線に浸透していない」とJR西が抱える構造的な課題にも言及した。
尼崎脱線事故で妻を亡くした西宮市の山本武さん(68)は「異常があれば原因が分かるまで列車を走らせないのは当たり前。台車の亀裂までは分からなくても、危険性があるのに運行を続けるなんて考えられない。尼崎脱線の教訓を生かさず、同じことを繰り返している」と語気を強めた。(小西隆久)
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/171219_02_kannkeishiya_3.pdf
○小倉駅発車時、7、8号車付近でパーサーおよび客室乗務員より「焦げたようなにおいがする」との申告があり、車掌による車内点検を行いました。車掌はその旨を東京指令所の指令員に報告しました。
○14:30 頃、指令員が岡山支所に対して車両保守担当社員の出動を指示しました。
○福山~岡山駅間走行中、パーサーがお客様(30 代男性)から 13 号車車内にモヤがかかっている旨の申告を受けました。パーサーからの報告を受けた車掌長は指令員に報告しました。
○岡山駅から車両保守担当社員が添乗して確認したところ、13~14 号車間で「うなり音」を確認しましたが、指令員とのやりとりのうえ、指令員が走行に支障するような音ではないと認識し、運転を継続しました。においは若干ありましたが、継続的なものではございませんでした。
○車掌は、においがしたりしなかったりという状況だったとのことであり、運転に支障がある状況とは認識しておりませんでした。
【参考】のぞみ 34 号各駅時刻
博多(13:33発)小倉(13:49着13:50発)広島(14:34着14:35発)福山(14:59 発)
岡山(15:15着15:16発)新神戸(15:49発)新大阪(16:01 着16:03 発)
感想;
”普段と違う”今回は、
・こげた匂い(小倉駅)
・うなり音(岡山駅)
・保守担当社員が点検進言(新神戸または新大阪駅)
・JR東海への引き継ぎの際に「異常なし」と伝達(もやや異音については一切触れていなかったことも判明した)
⇒
https://mainichi.jp/articles/20171214/k00/00m/040/150000c
新大阪駅でJR東海の運転士や車掌に交代し、京都駅を出た直後の同4時20分ごろ、車掌が異臭を確認。指令に報告し、名古屋駅で車両点検をすることになった。
同5時ごろ、点検で継ぎ手と車輪の間の「歯車箱」付近の油漏れが見つかった。小倉駅で異臭に気付いてから、約3時間がたっていた。
今回の亀裂は初めてのこととか。
経験がないことを100%防ぐことは不可能です。
その場合、大切なことは”普段と違う”ことが起きた時、どう対応するかです。
それに対応する力が特にJR西日本は弱かったのでしょう。
福知山脱線事故は、ATS設置遅れもありましたが、”人に厳しすぎる”対応が問題でした。
今回は、普段と違うこと、そして報告された事象への対応が不十分だったことかと思います。
航空業界ではCRMとして、
・気づいたことは報告する
・機長は報告されたことを検証する
・機長は乗員が報告しやすい風土/環境を創る
を徹底的に行っているそうです。
博多発東京行き新幹線の台車に亀裂が見つかった問題を巡り、19日の会見で「脱線など大事故につながる恐れがあった」と認めたJR西日本。いくつもの異常を乗務員が察知しながら、なぜ約3時間も運行を続けたのか。乗客ら107人が犠牲になった2005年の尼崎脱線事故以降、「安全最優先」を掲げてきたはずのJR西の一連の対応に、専門家らからは厳しい批判が相次いだ。
問題の新幹線「のぞみ34号」は博多駅出発(午後1時33分)の約20分後に小倉駅を発車する際、乗務員が焦げた臭いに気付いた。同3時15分すぎに岡山駅から添乗した保守担当社員もうなり音を確認したが、東京指令所が「走行に支障がない」と判断し運行を続けた。
鉄道の技術に詳しい工学院大学の曽根悟特任教授は「岡山駅や新大阪駅などで停車した際、台車部分の点検もできたはず。なぜしなかったのか」と指摘。新幹線に乗務した経験があるJR関係者も「台車は列車走行の安全上、極めて重要な場所。今回は異常を知らせる警報ランプが点灯していなかったようだが、車掌による床下点検などはできたはずだ」と乗務員らの対応を疑問視する。
この日のJR西の説明では、台車側面の亀裂があと約3センチ広がっていれば台車が破断していたことが明らかになった。「破断となれば、高い確率で脱線などの大事故が起きる。高速走行する新幹線が脱線すれば、多くの死傷者が出る可能性が高い」と曽根特任教授。
さらに、岡山駅から乗った保守担当社員が停車駅での点検を進言したが、結果的に“黙殺”された可能性があることも判明した。曽根特任教授は「尼崎脱線事故を教訓とする会社にあってはならないこと」とした上で「事故の少ない新幹線は『在来線とは違う』との社内意識が国鉄時代から根強く、尼崎事故の反省や教訓が新幹線に浸透していない」とJR西が抱える構造的な課題にも言及した。
尼崎脱線事故で妻を亡くした西宮市の山本武さん(68)は「異常があれば原因が分かるまで列車を走らせないのは当たり前。台車の亀裂までは分からなくても、危険性があるのに運行を続けるなんて考えられない。尼崎脱線の教訓を生かさず、同じことを繰り返している」と語気を強めた。(小西隆久)
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/171219_02_kannkeishiya_3.pdf
○小倉駅発車時、7、8号車付近でパーサーおよび客室乗務員より「焦げたようなにおいがする」との申告があり、車掌による車内点検を行いました。車掌はその旨を東京指令所の指令員に報告しました。
○14:30 頃、指令員が岡山支所に対して車両保守担当社員の出動を指示しました。
○福山~岡山駅間走行中、パーサーがお客様(30 代男性)から 13 号車車内にモヤがかかっている旨の申告を受けました。パーサーからの報告を受けた車掌長は指令員に報告しました。
○岡山駅から車両保守担当社員が添乗して確認したところ、13~14 号車間で「うなり音」を確認しましたが、指令員とのやりとりのうえ、指令員が走行に支障するような音ではないと認識し、運転を継続しました。においは若干ありましたが、継続的なものではございませんでした。
○車掌は、においがしたりしなかったりという状況だったとのことであり、運転に支障がある状況とは認識しておりませんでした。
【参考】のぞみ 34 号各駅時刻
博多(13:33発)小倉(13:49着13:50発)広島(14:34着14:35発)福山(14:59 発)
岡山(15:15着15:16発)新神戸(15:49発)新大阪(16:01 着16:03 発)
感想;
”普段と違う”今回は、
・こげた匂い(小倉駅)
・うなり音(岡山駅)
・保守担当社員が点検進言(新神戸または新大阪駅)
・JR東海への引き継ぎの際に「異常なし」と伝達(もやや異音については一切触れていなかったことも判明した)
⇒
https://mainichi.jp/articles/20171214/k00/00m/040/150000c
新大阪駅でJR東海の運転士や車掌に交代し、京都駅を出た直後の同4時20分ごろ、車掌が異臭を確認。指令に報告し、名古屋駅で車両点検をすることになった。
同5時ごろ、点検で継ぎ手と車輪の間の「歯車箱」付近の油漏れが見つかった。小倉駅で異臭に気付いてから、約3時間がたっていた。
今回の亀裂は初めてのこととか。
経験がないことを100%防ぐことは不可能です。
その場合、大切なことは”普段と違う”ことが起きた時、どう対応するかです。
それに対応する力が特にJR西日本は弱かったのでしょう。
福知山脱線事故は、ATS設置遅れもありましたが、”人に厳しすぎる”対応が問題でした。
今回は、普段と違うこと、そして報告された事象への対応が不十分だったことかと思います。
航空業界ではCRMとして、
・気づいたことは報告する
・機長は報告されたことを検証する
・機長は乗員が報告しやすい風土/環境を創る
を徹底的に行っているそうです。