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菅野智之が「虎の穴」でリスクを冒す覚悟。上野由岐子の金言が響いた ”変えていく勇気”

2020-02-05 00:34:18 | 社会
https://news.goo.ne.jp/article/sportiva/sports/sportiva-0000088442.html 2020/01/24 (webスポルティーバ)
 時計は深夜の0時を回っていた。

 年が明けると福岡の八女(やめ)にある”虎の穴”に集ってくるピッチャーたちは、夜遅くまでビデオで撮影した自身のピッチングフォームをチェックしたり、マッサージを受けたり、バランス・トレーニングをしたり、シャドウ・ピッチングを繰り返したりと、思い思いの時間を過ごしていた。

“虎の穴”のボスは、コウノエ・スポーツアカデミーを主宰する鴻江寿治(こうのえ・ひさお)さんだ。この夜、鴻江さんが丹念に身体をチェックしていたのは、”虎の穴”にこの日から合流したジャイアンツの菅野智之だった。

 菅野は去年、エースナンバーの”18番”を受け継ぎ、5度目の開幕投手を務めた。しかし、一軍登録を3度も抹消されるなど一年を通して腰痛などのケガに苦しみ、プロ7年目にして初めて規定投球回数を下回ってしまった。

 それでも22試合に先発して11勝6敗と5つの貯金を作り、5年ぶりのリーグ制覇に貢献したのは菅野の意地だったろう。防御率3.89は、プロ2年目から2.33、1.91、2.01、1.59、2.14とハイレベルな数字を刻み続けてきたことを思えば物足りない数字ではあるが、それでも30歳になった菅野はもがき苦しみながらエースが背負う最低限の責任は果たした。その菅野が抱く今シーズンへの強い気持ちは、誰よりも鴻江さんが間近で感じ取っていた。鴻江さんがこう話す。

「結果が出た時って、何かを変えようと思っても変えられないじゃないですか。だからこそ、今がチャンスなんです。去年、イメージどおりのピッチングができなかったという自覚があるなら、今、変わらないと……そのために必要なのは、ちょっとした勇気なんです」

 鴻江さんが菅野にアドバイスを送る。その言葉に従って、菅野がシャドウ・ピッチングをする。鴻江理論によると、人間の身体は”うで体=猫背”と”あし体=反り腰”に二分され、うで体、あし体のそれぞれに合わせたフォームがあるのだという。うで体タイプの菅野は、腕よりも先に足を上げると左の骨盤が開いてしまうため、先に腕を動かして左肩のラインを意識しながら上体をひねらなければならない。しかし、その動きは今まで菅野が大切にしてきた感覚とは一致しない。
「もっと、もっと、そう、もっと極端に」

 鴻江さんが菅野を叱咤する。そうすることで左腰の開きを抑えることができるようになるからなのだが、この上体を大きくひねる動作に対して、菅野はなかなか違和感を拭うことができない。菅野はこう言って苦笑いを浮かべた。

「難しいですね……やっぱり長年の感覚がありますからね」

 すると、そのやりとりを見ていたソフトボールの金メダリスト、上野由岐子が菅野にこう声をかけた。

「長年、染みついた感覚を大事にする気持ちはわかるけど、でも、その感覚を捨ててまで変えたほうがいいかどうかの答えは、投げたボールが出してくれるからね」

 菅野はその言葉にハッとした。

 とにかくやってみよう、投げてみよう、そのボールを自分で確かめてみよう……そう覚悟を決めた菅野は、翌日、極端に上体を動かして体をひねるフォームでボールを投げた。そんな菅野の姿を見て、上野はこう言った。

「菅野選手はすごく悩んでいる感じで、戸惑いみたいなものを感じたので、メンタル的な話をしました。トップにいて、追われる立場だったり、地位を守らなければいけなかったり、いろんなものを背負う……背負った者にしかわからない感情とか、そういう感覚的な話ができたのは自分としてもよかったと思います。逆に自分もそういう経験をしてきたんだと思うと、あらためて自分の歳を感じましたね(笑)」

 30歳の菅野智之と37歳の上野由岐子。

 野球とソフトボールの違いはあっても、ともにチームを、さらには日の丸を背負うエースとしてマウンドに立ち続けてきた。そんな上野から菅野に授けられた金言——ケガに苦しみ、年齢とも戦いながら、それを乗り越えてきたからこそわかる「今こそ変える勇気が必要だ」という上野の言葉が、菅野に響かないはずはなかった。菅野がこう言っていたことがある。

「変化できなくなったら、そこまでですからね。もちろんリスクはありますよ。でも高みを目指すためにはリスクも冒す必要があると思いますし、常識に縛られずにアップデートしていかないとダメだと思います。自分にはまだ伸びしろがあるはずだし、だからこそ何か新しいことにチャレンジしていきたいと思えるんです」
著者:石田雄太●文 text by Ishida Yuta

感想
その道のトップまで行きついた人が感じること、体験から知ったことがあるのでしょう。

「今こそ変える勇気が必要だ」
変えて行くことがいつまでも必要なのでしょう。

ニーバーの祈り
変えられることを変える勇気を
変えられないことを受けいれる静音を
そして変えることと変えられないことを見分ける叡智を与えてください。