幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「境界の町で」岡 映里著 ”リスクが高いから補助金が出ている”

2021-06-25 00:18:00 | 本の紹介
・この頃、東京電力は作業者に対する放射線管理を全くしていなかった。作業中にどれだけ被爆したかを記録するための「放射線管理手帳」を持たない作業員でも作業に従事することができた。
事故後1か月経て4月になってから放射線管理手帳を持つ作業員だけが作業できる環境に戻す動きが出てきた。

・福島県双葉郡双葉町、原発から3キロ地点の彼の事務所。
「原子力明るい未来のエネルギー」という、冗談みたいな標語が掲げられているゲートのすぐそばに双葉町役場がある。
彼の会社は役場からほどない場所にある。

・「町(双葉町)から原発全部が見える場所ってないんだよ」と彼は言う。
原発の見えない、原発の町なのか。

・東京電力福島第一原発の西門そばにあるデイリーヤマザキはガラスが割れていた。
「ATMやられてんだよ。あちこち。3月12日からおまわりさんみんな逃げちまったからな。この辺り他県ナンバーとか、福島のわナンバーのレンタカーとかたまに走っているけど、あれ全部盗難狙いだろうな」
第一原発の西門に入る手間で車を停めてくれた。

・Mさんと私の福島チームでは原発と、富岡町の夜の桜並木を撮ってこよう、ということになっていた。
300マイクロシーベルトまで測れるアロカの線量計は、ゲージをいっぱいにしても振り切っている。
「Mさん、線量計、針振りきっるよ」
「ほうか、ほんなら制限時間5分やな。あんた時計見ててや」
Mさんはカメラをたすきがけにしてトラックを降りて正門目がけて走りだした。

・「このガードレールは、昨日警察が慌てて置いていったんだけど。行けるかな」
お父さんは、車のハンドルを大きく切り、脱輪するすれすれまで車を崖のへりに寄せながら、ガードレールの脇を通過して勝手にバリケードを突破した。
「蛇の道は蛇。裏道があんのよ。こっから先が警戒区域内。オカさん、運がいいね」

・「この町はもともと賛成派しかいないよ。反対派は共産党ぐらいなもんで。俺は議員になってからは、原発のことは一番最初に勉強しないといけないと思ってやってきたんだけども、でもよ、勉強すればするほど、“原発はダメだ”っていう結論しか出ねえわけよ。それでも、町の根本は原発だっていうのは変わらないでしょ。町としてはもう第二原発が建ったあとで、“やっぱりダメだから即廃炉しよう”っていう論理は成り立たねえわけでしょ。だったら、最悪のときにどうするかシミュレーションを考えないとダメだと思ってたんだけど、日本って危機管理が全くなってない国なんだよ。そういうところにお金を惜しんでいたらダメだよと、議会でもなんでもよく言ってたんだけども」
「楢葉には反対派はいなかったんですか」
「反原発派ほんとに少数派だったわい。だから反対派は相手にされないわけよ。ハンガーストライキやって反対する人もいたけど、町の人は白眼視するだけで、ここは田舎だから」

・「うちみたいな農家でも、表立って原発反対と言える雰囲気じゃなかったですね。『そんなこと言ったらあいつは共産党だと墓の中までいわれるぞ』ってよく言われました。『でも、共産党は本当のことも言うけどな』ってつけくわえられるんですけど。あとは、友達が東電の男に恋愛で勝ったとか、東電社員が来る合コンには女がたくさん集まるとか、そういう話で」

・原発の事故に関しては、この土地に誘致したときから万が一の事故というのは想定していなければならないことだったと思います。

・私は「原発」の是非を問うためではなく、そこで生きている、生きていた「人」に逢いに福島に行っていたから。

感想
「自分を好きになろう うつな私がごきげんに変えた7つのステップ」岡映里著 瀧波ユカリ漫画 "少しでも行動を変えてみると世界が少しずつ変わってくる!”

危険な作業は現場の人がやっています。
実態は、その現場の人のお話から、わかってきます。

品質保証でも3ゲン(現場、現物、現実)、5ゲン(原理、原則追加)といいます。
まさに現場、現物、現実の一部なのでしょう。