英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』7月号 実戦に役立つ5手7手詰 その3 解答② (勝手さんへの挑戦状)

2012-09-18 18:30:40 | 詰将棋
「『将棋世界』7月号 実戦に役立つ5手7手詰 その3」
『将棋世界』7月号 実戦に役立つ5手7手詰 その3 解答① (勝手さんへの挑戦状)の続きです。


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 詰め手順は、▲2七角△同と▲1七歩△同と▲2五銀△同桂▲2六龍まで7手詰ですが、「玉方の4五の角がいなくても、詰め手順が成立します。とすると、4五の角は不要駒なのでは?」という疑問が生じました。で、4五の角の存在の意味を、わがブログの常連の勝手さんに問いかけ(挑戦状)を出したのです。
 詳しくは、『将棋世界』7月号 実戦に役立つ5手7手詰 その3 解答① (勝手さんへの挑戦状)。コメント欄に勝手さんの回答が寄せられ、ほぼ正解でした。お見事!

 では、順を追って説明します。
 初手の▲2七角は詰将棋らしい手ですが、実戦ならまず▲3八角(変化図1)を考えます。


 さて、合駒ですが、普通に歩合(2七歩・変化図2)をしてみましょう。


 以下、▲2七同角△同と▲1七歩△同と▲2五銀△同桂▲2六龍(変化図3)で正解手順と同じ手順で詰みます(合駒した歩が持ち駒に余ってしまいます)。

 また、▲3八角(変化図1)の時、すでに持ち駒に歩があるので、歩以外のものを合駒しても関係なく、上記の手順で詰みます。(歩以外の合駒だと、その駒を使って早詰めも生じます)
 となると、不完全作なのでは?という疑問さえ生じてきました。

 いえ、ちょっと待ってください。▲3八角(変化図1)に戻って考えましょう。


 合駒せずに、逃げる手は……ありませんね。ただ、まだ考えていない手があります。
              …………………………………そうです、▲2七と(変化図4)がありました。

 「移動合」という詰将棋でよく表れる手筋です。
 移動合は、駒を打つ合駒より、その地点への守備駒の利きが1つ少なくなるので、危険性は高いのですが、実戦では持ち駒の節約、また駒が移動したことによる玉の逃げ道が生じるという利点もあります(詰将棋においても)。

 さて、今回は、どういう違いが表れるのでしょうか?
 変化図4では▲1七歩が打ち歩詰めになってしまうので、2七のと金を取るしかありません。▲2七同龍は△同角成でやはり打ち歩詰めになってしまうので、▲2七同角と取ります。
これに△2七同角成と応じて変化図5。


 変化図5より正解手順と同じように▲1七歩△同馬▲2五銀△同桂▲2六龍で詰んでしまいます。
 あれれ?(←コナン調でしらじらしく)やっぱり詰んでしまいました。
 実は変化図5にカラクリがあったのです。△2七同角成ではなく、△2七同角不成(変化図7)と角を成らないのが妙手なのです。(変化図6がありませんが、数字の打ち間違いです)


 馬でなく角だと1七への利きがないので、▲1七歩が打ち歩詰めになってしまうので、詰みません。
 ちなみに、問題図(初図)で4五の角がいないと△2七との移動合の手筋を放っても、▲同龍(同角)で簡単に詰みます。

 4五の角の配置の意味は、▲3八角には4五の角によって△2七と▲同角△同角不成で打ち歩詰めで逃れ、初手▲3八角の駒余り詰の傷を消しているわけです。
 正解手順の裏に、玉方の移動合~成らずの妙防を盛り込んだ奥の深い作品でした。
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