英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋雑感 ~『将棋世界』を情報誌として考える~

2012-09-11 17:40:22 | 将棋
 『将棋世界』を専門誌として見る場合、何の不満もない。観戦記、自戦記、講座・研究など充実していて、大満足である。
 しかし、情報(普及)誌としてどうなのだろう?記事構成に疑問を感じることが多い。もちろん、ターゲットが有段者なので、普及と両立させるのは難しいが、工夫の余地は大いにありそうだ。そこで、僭越ながら、提言させていただきます。

1.カラーグラビア
 タイトル戦の対局風景が多くなるのは当然だと思う。「毎回同じような情景だ」という批判も考えられるが、最高の対局者が最高の舞台で最高の将棋を競うので、将棋世界に載る写真は、そういった最高の勝負を見事に写している。発行当時はさほど感じないが、1年以上経ってから改めて記事を読むと、その棋譜や写真から、その時の勝負が鮮明に思い出される。
 現在のカラーグラビアで不満に思うのは、「棋士が聞くプロ対談」がカラーページを何ページも占めている点。記事の内容は非常に面白いが、カラーページにするのはどうかと思う(7月号のマシンガンのような加藤九段のトークを受け止める飯塚七段のやや引きつった顔などは見どころはあるが)。双龍戦の予告記事のカラー2ページも勿体ない。
 では、カラーページにしたい記事とはどういうものなのか?
 少し前、記事内容を記事にした6月号、7月号を例にとると、マイナビ女子オープンが残念に感じた。
 対局場の庭園をバックに、対局前の上田女王と長谷川女流二段が普段着で並んで立っている記念写真がカラーで1ページあるだけで、あとはモノクロページ。上田女王の鮮やかな色の袴姿と長谷川女流二段の制服姿での対局姿がモノクロではもったいない。7月号ではカラーの上田女王の袴姿があるが、記事はモノクロ。女流王位戦もカラーは1ページだった。
 この他にカラーページにしたい記事は、全国高等学校将棋女子選抜大会。モノクロで4ページに記事で、黒っぽくて顔も判別しにくい小さい対局風景写真が3枚(個人情報保護のため?)と、大会入賞者と関係者の記念写真が1枚。参加者が知人に紹介する時に、もっと自慢できるような記事(写真)にして欲しい。
 7月号で言うと、小学生将棋名人戦。これもカラーは1ページだけ。2512人の小学生が参加しているのに、モノクロ4ページとは残念。トーナメント表も、東日本大会と西日本大会と合わせて26人。せめて1ページ全部割いてトーナメント表を載せてほしい。たくさん勝ち抜いてもベスト26に入っても、そこからの表だと一回戦で負けたみたいだし、出来るだけ多くの名前を載せれば、それだけで将棋世界を購読する親御さんもいると思う。(せこいか?)
 とにかく、アマチュア(特に女性や子供)の大会の記事はもっと充実させるべきである。

2.初心者向け記事や読み物
 ターゲットが有段者だと思われるので、その指針に反するかもしれないが、もう少し息抜きのページもあった方がいいと思う。現状は読みごたえがあり過ぎて、完読するのが大変。
 エッセイは内館牧子氏「月夜の駒音」1本。非常に面白いく楽しみにしているが、もう2本ほどあってもいいと思う。
 世間的な著名人は浮かばないが、書いて欲しい人はたくさんいる。
 まず浮かぶのは、ものぐさ将棋観戦ブログのshogitygooさん。私のブログを訪れて下さる方なら同意する方は多いはず。
 IT企業経営コンサルタントの梅田望夫氏も是非お願いしたい(って、そういう立場じゃないです)。
 佐藤王将、郷田棋王の日常生活に関するエッセイも是非読みたい。

 初心者向きの講座(読み物)も欲しい。私は子供に将棋を教えているが、ルールを覚えてから7~8級まで引き上げる入門本が全くないのが現状。この7~8級というのは、将棋がどういうものかとか、将棋の面白さがなんとなく実感できる棋力だと思う。ここが大きな分かれ道で、将棋は残念ながらこのステップ(階段)が非常に高い。 ほとんどの入門書が、駒の動きや反則などのルールを教えた後、いきなり手筋講座などが始まってしまう。せっかく、入門書を買ってもここで脱落してしまう人は多いはず。その高いステップの補助台になるようなものが欲しい。

3.過激な企画
 あまり過激だと、マイナス面も大きくなってしまうが、面白い企画モノが欲しいと思っていたら、双龍戦が始まった。1チーム2人でアマチームを含む5チームが選抜され、リーグ戦を行う。(将棋世界・週刊将棋合同企画)
 面白い企画で興味深く拝読しているが、やや温い。
 女流王座戦で、加藤奨励会1級が王座に就き、女流の棋力が話題になったのだから、「女流棋士対奨励会1級」や「女流棋士対アマトップ」の勝ち抜き戦などが見たい。
 勝ち星を供給する以外、存在価値の薄くなった男性棋士の現役続行生き残りリーグ戦も観たい。

4.「と金パーク」(読者と棋士が集う広場)
 巻末直前のページがで、おざなり化しているページ。まず、読みにくいレイアウトを工夫してほしい。巻末間近の「インフォーメーション」や「棋友ニュース」も同様。
 そういう現状であったが、7月号と8月号は目を疑った。「高級盤モニターレポート」が2ページ(そのうち半ページは「田名後三昧」←編集長記事)中、7月号では1ページ、8月号は1ページ半とを占めていた。
 同ページの下部に「皆さまの投稿をお待ちしております」とあるが、この「高級盤レポート」はモニターとしての義務のようなもの。これでは「広場」の意味を成していない。ページがないのなら、「田名後三昧」をカットすべきだろう。
コメント (4)
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