英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

王座戦第2局 「将棋の難しさ……8手も得したのに」 その1

2012-09-07 17:16:17 | 将棋
【先手も飛車を2八→4八→2八と往復しているので、実際は6手得でした】

 羽生ファンからすると、「8手も損をして……」という昼過ぎの局面は、絶望感に覆われていたはずである。
 竜王戦での2度の敗北、王座戦の20連覇を阻まれた昨年、そして今期の第1局と、タイトル戦では負けたイメージしかない。その上、本局の大作戦負けである。

 戦形は後手の羽生二冠が角換わり四間飛車を採用。王位戦で藤井九段とまみえた戦形で、何かを掴みそれを渡辺竜王にぶつけたと思われた。



 注目点は4筋の歩を突いていること。ひと昔前なら、角交換はしているものの、4四の歩の位置は振り飛車の定番であった。しかし、現代将棋においては奇異に当たるらしい。『将棋世界』の10月号の勝又六段の『突き抜ける現代将棋』によると、角の打ち込みを消す4三歩型が基本形だそうだ(反面、手作りの難易度は高くなる)。
 さらに、同講座において「角交換四間飛車はマイナスの手を指さないことが重要」という藤井九段の思想を述べている。この思想は、本局に如実に現れることとなった。

 さて、4四歩型の羽生二冠の工夫は、何か誤算があったらしく、一人千日手を繰り返さなければならない羽目になってしまった。


 第1図(再掲載)と第2図を比べてみると、先手陣は▲8八銀、▲7九金、▲6八銀と穴熊の強化ができ、更に▲4六歩と仕掛けの準備も進めている。
 しかし、後手は全く手が進んでいない。△9二玉~△8二玉を3回繰り返しただけである。
「やる手がないですね」
という羽生二冠の局後の感想だが、着々と整っていく先手陣を見ているだけというのは、相当つらいものだったはずだが、許容範囲(逆転の射程圏内)と見ていたのかもしれない。とは言え、相手は渡辺竜王………


 更に第2図より、▲4八飛△1二香▲2八飛△9二玉と進み、ついに▲2四歩と動いたのが第3図。
 ▲4八飛~▲2八飛と間合いを計ったのが巧妙。単なる手待ちではなく、隙があれば▲4五歩と仕掛ける手を見ている。なので羽生二冠は△9二玉と形を崩せず、△1二香と待つしかなかった。
 そうして▲2八飛と戻す(▲4五歩と仕掛ける手もあった)。ここで、羽生二冠は困る。
「何かやると▲4八飛で手がない。△9二玉はすごく損だと分かっていた。パスしたいけど、パスがない」
と羽生二冠の感想。
 損な手(△9二玉)を指させて、満を持しての開戦だった。

 渡辺竜王の仕掛けに対し、羽生二冠は角を投入して持ちこたえようとした。
「プロ棋士が10人居たら、10人とも先手を持ちたいと言うでしょう」(飯島七段)
「つらい手」(羽生二冠)
だったが、
「しょうがなくなって攻めたんですけど」
と渡辺竜王は慎重。



 いろいろな攻め筋を含みにして、一旦、飛車を浮いて桂頭を桂頭をカバー。それらをすべて封じる手や、先手の攻めを上回る後手からの攻めも見当たらない。どうする?

 △8二玉! ついに4往復。8手損だ。
 しかも、既に仕掛けられている状態で、玉型を整えなければならないとは……つらい。
 ……と思ったが、この局面で一番価値の高い手である。それに、単なる守りの手ではなかったのだ。 

「その2」「補足・疑問」
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『トッカン 特別国税徴収官』 第7話、第8話

2012-09-07 16:09:03 | ドラマ・映画
第7話、第8話はそれぞれ、所得(売上)隠し相続税の連帯納付義務の話。
 しかし、豹変女(裏表女)の話を絡ませたため、その話が薄っぺらに感じてしまった。
 たとえば、売上をごまかしているのなら、仕入れ(食材、飲料水、おしぼりの数など)を調べ外堀を埋めていくのが常道であろう。確かに、現物(隠し口座)を抑える方が確実で手っ取り早いけれど。
 それに、隠している側も、贅沢しているのを隠さないのも不自然過ぎる。
 第8話の三姉妹の話も、長女次女が税金を払わない理由や三女に冷たい理由が、吹雪弁護士(及川光博)の「体裁」という一言で済ましてしまっている。以前は三姉妹が仲良くしていたのか?遺産相続時にどんな確執があったのか?など描かれていない。(三女も5000万も寄付とは気前が良過ぎ)
 そういった背景が描かれていないので
「家族がバラバラになってからじゃ、遅いでしょ。
 この家は、私に初めて家族をくれた家なんです」
とか
「家を取らないで」
という台詞も、真実味が薄いのである。

 私自身は多面的に物語が描かれるのは嫌いではない(むしろ好き)が、ぐー子(井上真央)の間接的妨害をしたとは言え、豹変女・錨(星野真里)とぐー子の関わりが薄いので、ドラマとしてはバラバラ感が大きかった。豹変ぶりは面白かったが、いなくてもいいキャラ・エピソードと思えてしまう。

 まあ、深く考えて観るドラマではないのかもしれない。
 鏡(北村有起哉)さんは不死身で、超能力者(思い出の絵の存在を知っていた)だし。

 
【ストーリー】「YAHOO! JAPAN テレビ」より
―第7話―

鈴宮(井上真央)らの次なるターゲットは、2千万円もの税金を滞納している銀座のクラブオーナー・豊成。
数年前に先代から引き継いだクラブを若者向けのガールズバーに改装し、
以降は経営不振を理由に一切税金を納めなくなった。
しかし店は繁盛しているようだという。
鏡(北村有起哉)は釜池(笠原秀幸)をガールズバーに潜入させ、
鈴宮と木綿子(鈴木砂羽)に豊成の身辺を洗うよう命じる。

木綿子にはほかにも気がかりなことがあった。
それは国立署から赴任してきた錨(星野真里)。
赴任わずか一ヶ月で滞納税1780万円を徴収し、金子(池田鉄洋)も一目置いているが、
前回の計画倒産案件の際、鈴宮に間違った情報を教えるなど、調査を攪乱してもいた。
木綿子は錨の様子に違和感をぬぐえず、直接疑問をぶつける。
だが錨は「何が言いたいのよ」と態度を豹変させ、非を認めようとしない。

そんなとき鈴宮は税務署の前で、錨が男ともみ合っているのを目撃する。
錨は「国立署で担当していた滞納者で、ストーカーだ」と話すが、
それを聞いた木綿子はある筋に探りを入れることにする――。

一方、豊成の身辺を洗っていた鈴宮は、その金遣いの荒さを目の当たりにし、
どこかに金を隠し持っているとの疑いを強める。だが、どうしても決め手がない。
鈴宮は意を決し、ガールズバーに面接に行くことにする。

精一杯のセクシー衣装……陸上用のタンクトップと短パン姿になった鈴宮は、
偶然居合わせた南部(木南晴夏)を巻き込んで面接に挑む。
面接官に「25点」と査定され、あっさり落とされてしまうが、
鈴宮は従業員の女の子たちから、重要な情報を聞き出していた。
なんと彼女たちが銀行で口座を作ると、店のマネージャーが買い取ってくれるというのだ。
豊成は彼女らの口座を隠し口座にし、店の売上げをごまかしているに違いない――。

鈴宮の報告を聞いた鏡は、豊成をSする決定を下す。
そのころ木綿子は国立署の同期から、錨が隠すある真実を探り当てていた――。

―第8話―
錨(星野真里)の夫に刺された鏡(北村有起哉)は、幸い命に別状はなかった。
すぐに仕事に戻ると言い張る鏡を、鈴宮(井上真央)は押しとどめて入院させる。

そんなとき金子(池田鉄洋)がトッカン案件を持ち込んできた。
主婦・百合子(濱田マリ)は父親から相続した1億円の遺産を
夫の会社の運転資金にし、相続税と延滞税を2千万余り滞納していた。
しかも妹の桃花(高橋かおり)も同じようにを滞納しているという。
総額4千万を超える巨額徴収に鈴宮は一瞬ビビるが、案件を引き受ける。

鈴宮はまず百合子に納税を頼みに行くが、カツカツで一銭の余裕もないと断られる。さらに百合子は「あの泥棒猫に遺産をやることはなかった」と毒づく。
次女・桃花にも、やはり払えるお金はないと突っぱねられる。
そして桃花もまた「泥棒猫に持っていかれなければ・・・」と口にした。
泥棒猫とは三女・久美子(入山法子)のことだった。

百合子たちは三姉妹で、三女の久美子も1億円を相続し、
母親・香代子(高林由紀子)は実家と土地と建物を相続していた。
二人はきちんと納税をしていたが、相続税には「連帯納付義務」というものがある。相続人の誰かが滞納している場合に、
他の相続人が連帯して納付しなければならないのだ。

鈴宮は「理不尽だ・・・」との思いを抱かずにいられないが、しかし法律は法律。
鈴宮はしぶしぶ香代子と三女・久美子に納税を頼みに行く。

母・香代子は現金の相続はなく、このままでは家を差し押さえられるのかと不安になる。久美子は自分の相続分のうち5千万は寄付してしまったこと、
残りは2千万しかないことを鈴宮に告げる。
そして「私はちゃんと税金を払っているのに、
姉妹の分を払わなければならないなんて理不尽だ!」と怒る。
鈴宮は返す言葉がなかった。

しょげる鈴宮に吹雪が声をかけてくる。
吹雪は弁護士で、香代子に頼まれて久美子の様子を見に来たのだ。
鈴宮は吹雪に「私だって税金を払った人からさらに取るなんて、
不公平をしたくない」と心情を吐露する。吹雪は「本当に徴収官?」と微笑み、
鈴宮に興味を持ったようだった。

そして鈴宮は吹雪から、久美子が養女であることを知らされる。
彼女たちの父親は生前、三人等しく幸せになることを望んでいたという。
しかしいま三姉妹は、遺産相続のせいでバラバラになっていた。

悩みつつ徴収部門に戻った鈴宮は、退院してきた鏡と鉢合わせる。
事情を聞いた鏡は、久美子の2千万をSすると言い出した。
一日待って欲しいと頼み込んだ鈴宮は、香代子に頼んで三姉妹を集めてもらう。
その場には吹雪も同席していた。

しかしバラバラになった三姉妹の溝はなかなか埋まらない。
このままでは久美子がSされ、さらに家族は壊れてしまう――。
悩む鈴宮に、解決策はあるのか――?!
コメント (4)
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