平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

西郷どん 第26話 「西郷、京へ」~慶喜との再会 「一橋様」「忘れたか? 俺はそんな名じゃねえよ」

2018年07月16日 | 大河ドラマ・時代劇
 吉之助(鈴木亮平)はだいぶ腹が据わってきましたな。

 久光(青木崇高)に「わしは一橋も好かんが、お前はもっと好かん。下がれ!」と言われても、「はっ!」と言って引き下がる。
 せっかく慶喜(松田翔太)との会談の約束を取りつけて来たのに、久光に拒否され、「大義であった」と言われると、「有り難き幸せにございます」
 以前の吉之助なら久光に「それではこの国のためになりません」などと正論を言っていたのに、それをしない。

 吉之助は丸くなったのか?
 いや、今の久光に何を言ってもムダなことを吉之助はわかっているのだろう。
 目の前のことよりも長い視点で物事を見ている。
 まっすぐで熱い男が忍従を覚えた。

 一方、慶喜に対しては遠慮なく物を言う。
「また逃げるのですか!?」
「幕府が守るべきは幕府ではありません。民であります」
「強き者が弱き者を守る。ここには幕府も薩摩も長州もありません」

 この久光と慶喜の違い!
 慶喜に対してはかなり失礼なことを言ってるし、幕藩体制の否定みたいなことも言っている。
 吉之助は慶喜を〝腹を割って話せる人物〟と考えているのだろう。
 これらを受けて慶喜も怒ることなく、
「西郷、何だか似て来やがったな、斉彬殿に」
 ………………

 吉之助と慶喜の再会シーンはよかったですね。

 吉之助が「一橋様」と言うと、慶喜は「忘れたか? 俺はそんな名じゃねえよ」
 これを受けて吉之助が「ひい様」と呼ぶと、慶喜は「変わらんな、牛男」

 どんなに時間が経っていても、品川宿での友情は変わっていないのだ。
 ふたりの関係は〝薩摩藩士〟と〝将軍後見職〟ではなく、今でも〝牛男〟と〝ひい様〟。

 おそらく慶喜は孤独で不安だったのだろう。
〝攘夷〟を唱えても〝開国〟を唱えても生まれる敵。
 誰を信じていいかわからず、腹を割って話すことができない。
 一方で〝徳川〟の威信についてはこだわりがあり、諸藩を見下し、徳川を強くしようとした井伊直弼を再評価したりする。
 そんな慶喜にとって、吉之助は救いであっただろう。

 複雑な人物ですね、慶喜は。
 中園ミホ作品は単純明快な人物が多いのに、慶喜だけは複雑に描き込んでいる。
 慶喜と比べると、久光の描かれ方は可哀想。

 そんな慶喜の複雑さはラストでも。

「謝りたい、国父殿に。
 薩摩にはこれからも幕府と共に働いてもらわねばならない。
 こんな時だから心と心でつき合いたい。
 お前の熱き心、俺にくれ」

 何という歯の浮いた言葉!
 慶喜は〝薩摩を利用するモード〟に入りましたね。
 周囲が敵ばかりで幕府の威信が揺らぐ中、慶喜が考えたことは強藩の薩摩を味方にすること。
 今の幕府に井伊直弼の強権的なやり方をおこなう力はなく、他藩の力に頼らなければならない。
 そこで目をつけたのが薩摩。
 これで、自分と幕府の存続が保証される。

 というわけで、次回は〝禁門の変〟です。
 斉彬亡き後、この作品の陰の主役は慶喜なのかもしれません。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする