平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

透明なゆりかご~子供を産むさまざまな母親の思い、結論を視聴者に委ねる巧みな作劇

2018年07月29日 | 職業ドラマ
 ドラマの出産シーンで泣けたのは初めてだった。
 大河ドラマでも、昨日の「半分、青い。」でも出産シーンはあったが、それは〝出来事〟であり〝ドラマ〟ではなかった。

 では、なぜ僕が泣けたかというと、母親のことを思い出したからだ。
 おそらく僕の母は僕が生まれたことを喜んでくれただろう。
 10ヶ月お腹の中で育て、痛い思いをして生んで、その時間、母は何を思い、考えたのか?
 母のそれまで歩んできた人生を考えると、〝喜び〟という言葉だけでは表せない、それ以上の思いがあったに違いない。
 この作品は、さまざまな母親の姿を描くことで、そんなことを考えさせてくれる。
 同時に、僕はそんな母の思いに応えられているのか、とも自問してしまう。

 ………………

 作劇も巧みですね。
 この作品では答えをはっきりと提示しない。
 答えは視聴者のひとりひとりに委ねられる。

 第1話の田中さん(安藤玉恵)は、添い寝中に子供を窒息死させてしまったけど、故意なのか? 過失なのか?
 第2話の女子高生・中本千絵(蒔田彩珠)は、いったん子供を捨ててしまったけど、両親が連れ帰った時、涙したのか? 拒絶したのか?
 第2話の菊田里佳子(平岩紙)は先天的な糖尿病で、子供を生めば失明などの可能性があったが、無事出産できたのか?

 僕はこう信じたい。
 田中さんは過失で子供を窒息死させてしまったし、中本千絵は子供の帰宅を喜んで抱きしめたし、菊田里佳子さんは無事に出産できた、と。

 さて、この作品をご覧になった方はどう考えられたでしょうか?

 同時に、この作品を見ると、子供を産むことを〝国への奉仕〟〝生産性の有無〟で片づける自民党・杉田水脈に腹が立つ。

コメント
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